「フラコラ」ブランドで化粧品や健康食品のダイレクト販売を手がける協和は、顧客一人ひとりの「美と健康」の課題に寄り添う「Only for Youの御用達」をかなえるべく、ECシステムをSalesforce Commerce Cloud(以下、SFCC)にリプレイスしました。なぜSFCCを選んだのか、電通デジタルはリプレイスをどのようにサポートしたのか、株式会社協和 向田浩文氏と電通デジタル 足立比呂に聞きました。
なぜ美容ブランド「フラコラ」は、ECシステムをSalesforce Commerce Cloudにリプレイスしたのか?
株式会社協和
テレビCM、テレビショッピングをやめ、顧客接点をすべてデジタルに
――SFCCの導入に至るまでの経緯を教えてください。
向田 弊社はこれまでテレビCM、テレビショッピング中心のマーケティングを展開してきましたが、代表の堀内(泰司 代表取締役)の方針で4年前にそれを一切やめて、デジタル推進、DXを進めていくことになりました。堀内は、「今はスマートフォンひとつあれば何でもできる時代なのだから、顧客接点をデジタルに切り替えるべきだ」と考えたようです。
デジタル化への対応の一環として、7年ほど前に他社のECシステムを導入していましたが、より大きな事業転換を見据える中で、そのシステムと運用体制では対応しきれないことが多くなってきました。そこで、SFCCへのリプレイスを実施することになったのです。
SFCCを選んだ一番大きな理由は、グローバルに対応している点です。Salesforce Customer 360の下にさまざまなソリューションがオブジェクト化されていて必要な組み合わせを導入できるし、APIの技術も飛躍して、通信速度も速い。DXを進めていくためにも最適な選定だったと考えています。
Salesforce導入サポートで、一番信頼と実績のある電通デジタルに
――パートナー企業として電通デジタルを選んだ理由を教えてください。
向田 弊社にはSalesforceの知識がまったくなかったので、「一番信頼と実績のある会社にお願いしたい」とセールスフォース・ジャパンに相談したところ、電通デジタル(当時は電通アイソバー。2021年7月に電通デジタルと合併)を強く推薦されました。そのような経緯から、コンペではなく、指名でお願いしました。
――SFCCの導入に際して、電通デジタルはどのような提案をしたのでしょうか?
足立 要件定義に先立ち、現状の課題と今後の展望を伺っていたので、CX設計、プラットフォーム、デザイン、コミュニケーションプランを含めたご提案をしました。大きな柱は2つ。1つは、新規顧客の獲得から継続までを一貫して行う仕組みにすること。もう1つは、以前のシステムでは難しかったサブスクリプション販売にも対応できる仕組みにすることです。いずれも、細かくPDCAを回して、施策をどんどん改善していきましょうとご提案しました。
SFCCであれば、複雑なサブスクリプションにも対応できる
――SFCCを導入してみていかがでしたか?
向田 私が所属している情報戦略グループからすると、フロントエンドとバックエンドの切り離しができた点は、非常に助かっています。
以前のシステムはオールインワンだったので、どちらかに障害が出るとシステム全体に影響が出ていましたが、SFCCに切り替えたことで、お客様にご迷惑をかけることが少なくなったのは大きなメリットだと思っています。
もう1つのメリットは、弊社の多彩な販売方法に対応したシステムになったことです。例えば、「初回限定」のオファー(特典)をつけるのは定番の販売方法ですが、オファーの付与にはそれ以外にもさまざまなパターンがあります。
また、弊社は「定期便」「エイジングケア3.0」という、いわゆるサブスクリプション商品を展開していますが、そのメニューの種類が多く、それをSFCCで実現できるようにするために、電通デジタルには開発でかなりご助力いただきました。
――「定期便」「エイジングケア3.0」のメニューについて、もう少し詳しく教えてください。
向田 「定期便」というのは、お好きな商品を1つサブスクで購入していただくサービスですが、その間隔を30/60/90日と選べる上、任意の期間だけ商品を変更することも可能です。
「エイジングケア3.0」は「定期便」をさらに拡大したサービスで、複数の商品を組み合わせて定期便で購入できます。さらにこのサービスで選択できる商品は美容アイテムだけでなく、無形サービスも含まれます。無形サービスとは、美顔、美髪、美ボディー、疲労回復を軸にした動画コンテンツや、プロによるアドバイスを総称したものです。「定期便」にも対応できるように、現在電通デジタルに開発を進めていただいています。
3つのフェーズで段階的にSFCCにリプレイス
――SFCCにリプレイスするという今回のプロジェクトの内容を教えてください。
足立 本プロジェクトは3つのフェーズに分けて実施しています。
第1フェーズは2020年1月から始まり、トップページ、商品一覧ページ、商品詳細ページの3つ、いわゆるECサイトのフロント部分のみをSFCCにリプレイスしました。
2020年8月からの第2フェーズでは、静的ページ、FAQ、利用ガイド、サービス説明ページなど、残り全部のページのリプレイスを実施し、2021年5月にGo Live(稼働開始)となりました。
最終フェーズである第3フェーズは、基幹システムのリプレイスです。第2フェーズ進行中の2020年後半から並行して行っており、現在も継続中です。基幹システムの移行に関しては複数の他社によって進められており、電通デジタルは第3フェーズ後半から、API部分の仕様調整に関する領域で参加しています。
――本プロジェクトにおける電通デジタルの対応はいかがでしたか?
向田 追加要件をかなりお願いしたのですが、足立さんの冷静かつ慎重な判断により、開発をスムーズに進めていただきました。
足立 ありがとうございます。個人的には、第2フェーズまではベトナムのオフショアメンバーが開発を担当していたため、言葉の壁や商習慣の違いなどから、協和様からいただいた要件や目的を理解してもらうのにとても苦労しました。最終的に協和様の意図した実装まで漕ぎつけることができたのは、がんばった点かなとは思います。現在は国内パートナーにスイッチし、さらに確実に遂行できる体制で進行しています。
SFCCをフル活用し、Only for Youの実現に伴走する
――今後のフラコラ事業の展望をお聞かせください。
向田 弊社では経営方針として「Only for Youの御用達経営」という言葉を掲げています。より健康で、より美しくありたいと願うお客様のために、一人ひとりのニーズに寄り添って、その時々に必要なサービスを提供する存在であり続けたいということです。
その経営方針を実現するための具体的な施策として、「フラコラプライム」というサービスをしっかり展開していきたいと考えています。
これは、「定期便」「エイジングケア3.0」に続き、オリジナルコンテンツやIoTデバイスを通じたメニューを活用できるサブスクリプションサービスです。このサービスを介して、お客様とOnly for Youでつながるという世界観を作り上げていくことが、今後の目指すところです。
そのためにも、今回導入したSFCCをしっかり活用して、One to Oneマーケティングを強力に推進していきたいと思っています。
フェーズ3が終了したら、ECのフロント部分は、お客様の利便性向上を目指した改修を実施したいと考えています。スマートフォンさえあれば何でもできるというUXをベースにして、SFCCをもっと使いやすく進化させていきたいですね。電通デジタルにも、今後はSFCCを活用したOnly for You でつながる世界をご提案いただきたいです。
足立 電通デジタルでは2023年1月の組織改編により、Salesforceを専門に担当する部署が新設されました。今後よりいっそうSalesforceに関してはこまやかに、かつ包括的なご提案ができるようになります。また、電通デジタルでは、例えばTreasure DataのようなCDP、CRM関連のソリューションも扱っており、それらも含めた横串でのご提案も可能です。今後も、協和様のご要望を伺いながら、Only for Youの世界観実現に向けて、伴走したいと思っています。
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