2023.09.15

オープン初日で売上1,000万円超!個人顧客向けブランドECサイトで熱狂的なファンづくりを目指す

株式会社オカムラ

オフィス家具メーカー大手のオカムラは、2023年3月、ブランドECサイト「OKAMURA Lifestyle Store」をローンチしました。電通デジタルは、コンセプト設計から、サイト構築、運用、コンテンツの企画・運用まで、一気通貫で伴走支援しています。「オカムラのチェアやデスクなどの家具を個人向けに販売しつつ、ライフスタイルに関する情報を発信し、熱烈なファン作りを実現したい」という想いに、電通デジタルはどのように応えたのか?オカムラのご担当者様と電通デジタルの担当者に聞きました。

  • 急速に伸長する在宅ワーク用家具の市場において、オカムラならではのやり方で個人のお客様と接点を持ち、BtoC市場での認知度を向上したい
  • 販売パートナーとの関係性を維持したい
  • 十数年にもわたってオカムラの製品を使い続けてくれる「熱狂的なオカムラファンの個人ユーザー」を獲得したい
  • そのために、購買や利用の体験価値を高める施策や体験を共有する仕組みを構築したい
  • BtoCの事業経験が少ない

  • オカムラ様を取り巻く市場環境やチェア購入層の定量的調査の実施
  • オカムラ様の中にある、今後のありたき姿を可視化・共有化するためのワークショップの実施
  • カスタマージャーニーを設計し、段階を踏んでCXを向上させるデジタル接点の最適化戦略を提案
  • 個人顧客向けのブランドECサイトを構築
  • メディアコンテンツの企画・制作・プロデュース

  • OKAMURA Lifestyle Store 限定で、フラッグシップモデル、「コンテッサ セコンダ」の20周年アニバーサリーモデルを販売し、完売
  • グランドオープン初日で売上1000 万円超を達成 
  • オカムラ様のBtoC事業の本格的なスタートにおける統合的なプロデュース(ブランドECサイト構築、ロゴデザイン、サイトデザイン制作、メディアコンテンツ制作)

個人顧客との接点として、オウンドECサイトを提案

――「OKAMURA Lifestyle Store」を立ち上げるにあたり、抱えていた課題と背景について教えてください。

御手洗千陽氏(以下、御手洗):オカムラは事業売上の9割以上がBtoB(法人向け)で、これまでBtoC(個人向け)の接点をほとんど持っていませんでした。しかし、近年のリモートワーク機会の増加を背景とし、日本でも拡大しつつあったBtoC市場へももっと対応していくべきだという認識は数年以上前から持っていました。

そんな中、2020年にコロナ禍となり、在宅ワーク用の家具需要が爆発的に増えたことを契機として、今後のオカムラのBtoC事業を大きく展開していくために、個人顧客とのデジタル接点を作っていくことが急務となりました。

当時、デジタル接点の構築にあたり、オカムラが抱えていた課題は3つありました。1つ目は、BtoC市場での認知度向上。2つ目は、弊社で「ECパートナー」と呼ぶ販売ディーラーとの共栄。3つ目は、BtoCでの事業展開の経験値が乏しかったということです。ECサイトをはじめとした顧客接点の構築に際しては、これらの課題を解決したいと考えていました。

株式会社オカムラ
オフィス環境事業本部 事業戦略部 CXデザイングループ グループリーダー
御手洗千陽氏
本件プロジェクトを含む、新規事業開発に従事

田上由美子氏(以下、田上):個人向けの製品は、これまで主にECパートナー経由で販売していたため、ファンコミュニティーを作る機会がありませんでした。BtoC事業に際しては、製品を売るという行為の前に、お客様にオカムラのことを知ってもらい、ファンになってもらうという営みが絶対に必要だと思いましたし、それを踏まえた施策を要望していました。

ECパートナー様との共栄で言えば、ECサイト内に、「正規ECパートナーショップ」や「全国オカムラ製品取り扱い店舗一覧」のリンクも設置しており、これはオカムラのことを知っていただいたユーザーが、このECサイト以外の場所で製品を購入いただくことを促すもので、そういった買われ方は、当社として好ましいことだと考えています。

株式会社オカムラ
オフィス環境事業本部 ライフスタイル営業部 部長
田上由美子氏
BtoC事業責任者

――こうした課題に対して、電通デジタル側からはどのような提案をしましたか?

延命敬一郎(以下、延命):オカムラ様からは、上記のような背景に基づき、「デジタルチャネルを活用して個人顧客との接点を作り、最適化したい」というご相談を受けました。

そこで、ビジネス環境や顧客の定量調査、オカムラ様とのワークショップを行い、カスタマージャーニーを設計し、段階を踏んでCXを向上させるデジタル接点の最適化戦略をご提案しました。戦略の大きな方向性についてはご了承頂いた上で、上記課題を解決するための具体的な施策として、個人顧客向けのECサイト「OKAMURA Lifestyle Store」を構築し、2023年3月にグランドオープンしました。現在は「OKAMURA Lifestyle Store」でどのようにオカムラ様の世界観を表現していくか、様々な試みを行っているところです。

延命敬一郎(電通デジタル)

――「OKAMURA Lifestyle Store」のEC機能はShopifyで実装されているとのことですが、Shopifyを採用した理由は何でしょうか?

延命:新規事業はPDCAのスピードが重要です。様々な変化に対応できる柔軟性があり、かつスピードと拡張性に優れたShopifyが最適だと判断しました。

また、緋田をはじめとして、電通デジタルにはShopifyを得意とするプロフェッショナル人材が多数在籍しています。われわれの強みを大いに生かすことができるという点でも、Shopifyを提案させていただきました。

Shopifyで実装したブランドECサイトの購入ページ
Zoom

ECサイト上で世界観を伝え、ファンになってもらうための工夫とは

――「OKAMURA Lifestyle Store」の制作に際して、苦労した点などがありましたら教えてください。

延命:ECの機能を持ちながらも、オカムラ様がお客様に伝えたい世界観をサイト上で正しく表現することが大切です。この「世界観の表現」という点で、デザインが担う役割は重要で、そのデザインおよびそこに備わるコンテンツの総合的なディレクションを本間が担当し、それらを含めたECサイト全体の仕組みを構築する作業は緋田が担当しています。

本間彩加(以下、本間):サイト制作にあたり、オカムラ様から「ECサイトだけど、重視したいのは売上ではない。オカムラを知ってもらいファンになってもらえる場づくりをしたい」と伺って、今までに経験のないことを求められ、正直どうしたらいいのだろうと戸惑いました。

試行錯誤の末、今回のオカムラ様のサイトは「ブランドECサイト」と定義しました。ECサイトではなく「ブランドECサイト」を作り上げるには、ブランド性と世界観を持たせることが必要です。

まず検討したのが情報設計です。これまでオカムラ様ではBtoB向けのwebサイトしかないため、toC向けに情報を整理して、個人向けに必要な情報・適切なボリュームを構築側の緋田とも議論しながら検討し、ワイヤーフレームに落とし込んでいきました。
その上で、オカムラ様が伝えたい想いや世界観をECサイト上で表現するために、デザインとしてどのように見せるか工夫しました。

大きな特徴は、コンテンツ群が一番目立つところに掲載されているところです。ここがオカムラ様の今回のこだわりである「まずは知ってもらい、ファンになってもらいたい」という気持ちの現れで、一般的なECサイトとは少し違うところかなと思います。

オカムラの世界観を表現した「OKAMURA Lifestyle Store」トップページ
Zoom

もうひとつ大変だったのが、掲載するコンテンツ制作です。想いはあるけれどそれをどう言葉で定義し、記事として表現していくか。メディアコンセプトの設計からオカムラ様とは何度も議論を重ね、全員が同じ方向を向いていけるよう明文化しました。そして、読者へオカムラ様の企業・人・製品の良さを少しでも知っていただけるよう、記事制作にあたりました。ここが一番苦労したところかもしれません。よりよいコンテンツづくりのために定期的に見直しを図りアップデートしているのですが、今も現在進行形で、生みの苦しみと向き合っています。ただその分いい記事が出来た時や、それが読者に読まれていることが結果として出た時は、苦労した分チーム全体で喜び合え、その瞬間が一番うれしい時ですね。

本間彩加(電通デジタル)

緋田真子(以下、緋田):ECサイト構築で大変だったことは2つあります。1番大変だったことは、SKU(製品の受注や在庫管理を行うときの最小の管理単位)の多さです。プロジェクトに入る前に「製品数は10シリーズぐらい」と伺っていたのですが、いざ始まってみるとSKUが4万強もあると知り、驚きました。シリーズ数は確かに少ないのですが、細かな仕様の違いにより、SKUだとそれぐらいの数になってしまうのです。

そこで、まずは御手洗様のお力を借りて、製品理解から始めました。例えば、オカムラ様のチェアには非常に様々なオプションがあります。ヘッドレストの有無、アームレストの有無、昇降機能の様々なパターン、製品カラーによって異なるオプションなど、たくさんの選択肢があります。それらの情報を整理し、どのように情報設計をすればチェアを選ぶお客様にわかりやすく、製品のことをよく知ってもらえるのか、スムーズに製品を選び購入につながるのかを考えるのが 、一番苦労したポイントでした。

もう1つは運用設計です。将来的には電通デジタルのサポートなしで、サイト運営をしていただくことを前提に、オカムラの社員の皆様の利便性や使いやすさ、管理のしやすさを意識しました。ECの運用は流動的でスピード感も重要なので、プロジェクトの中でも特に重きを置いていた部分です。

緋田真子(電通デジタル)

サイトの完成度の高さに、社内から大きな反響

――「OKAMURA Lifestyle Store」がオープンして3ヵ月たちますが、どのような手ごたえを感じていますか?

田上:「OKAMURA Lifestyle Store」グランドオープンを記念して、オカムラのフラッグシップシーティングである「Contessa Ⅱ(コンテッサ セコンダ)」の20周年アニバーサリーモデルを100台、サイトにて限定販売しました。20万円を超える価格にもかかわらず、完売しました。

このアニバーサリーモデルは、「OKAMURA Lifestyle Store」のために特別に企画・製作された製品です。内輪の話になりますが、以前なら、個人顧客向けに小ロットでこのような製品を作ることはあり得ませんでした。「OKAMURA Lifestyle Store」を制作する過程で、電通デジタルの皆さん、御手洗さんのがんばりで、BtoC事業に対する会社の理解が深まったおかげかなと思っています。

本間:製品単価が高いこともありますが、オープン初日にここまで大きな売上を上げた経験は初めてだったので、内心すごく興奮しました。

緋田:グランドオープン当日、公開と同時に次々とアニバーサリーモデルが売れていくのを見て、初速のすごさに驚きました。しっかりとしたコアファンがいて、愛されている製品だということがわかりましたし、ECとしても大きな可能性があると実感しました。

――社内、社外からの評判・評価はいかがですか?

御手洗:社内では「BtoB事業一辺倒だったオカムラが、個人のお客様に寄り添ったこんなに完成度の高いオシャレなECサイトを作れるとは思っていなかった!」という驚きの声がいろいろな人から聞けました。

田上:私以外のスタッフや、会社の製品部、工場の人もこんなスピードで売れるとは思っていなかったようで、全体的には初日の成果は驚きを伴った反応が多かったです。

オカムラは「メイドインジャパンのものづくり」にこだわりを持っており、国内の製造工場に熟練の職人を多く抱えています。今回のアニバーサリーモデルはオカムラで最高級の腕を持つ塗装職人が担当し、非常に特殊な塗装を施しています。長年の経験で培った技術を披露し特別な製品を作ることができただけでなく、それがきちんと売れたということに非常に喜んでいました。これからBtoC事業を進めて行くにあたり、インナーマーケティングの観点からも大きな成果があったと思います。

夢や理想を実現してくれる、信頼できるプロフェッショナル集団

――これまでの電通デジタルの支援に関してはいかがでしょうか?

田上:優秀な方が多いですね。プロジェクトのステップごとに適切な人を、プロデューサーの延命さんが次々アサインするのをみて、すごいタレント集団だなと思いました。

また、どの段階においても、常に、関係者全員がゴール設定を共有できている。プロジェクトの進行中、ことあるごとに「ファンとはどのような人か?」といった根本的な問いかけを繰り返して、方向性を微調整し、常に正しい方向へ導いてくださる延命さんの根気強さ、辛抱強さには感服しています。

私たちにとっては新規事業である個人向けのデジタル施策に関して、いろいろな理想や夢を語ってしまうこともありますが、そういった話にもきちんと耳を傾けた上で、オカムラが今、何をすべきか、戦略と施策をセットできちんと提案してくれる。私たちにとっては、唯一無二のありがたいパートナーだと思っています。

御手洗:私たちは歴史ある日本のものづくり企業として、たくさんのプロフェッショナル人材を抱えていると自負していますが、実は、業界が全く異なる電通デジタルさんにも、私たちと似たような雰囲気を感じる場面があるんですよ。

「この領域に関しては、この人に任せれば間違いない」という各分野のプロフェッショナル人材が本当にたくさんいらっしゃるんだな、ということを、プロジェクトを通じて何度も感じました。今回のような長期プロジェクトでは、非常に多くの方に携わっていただいていますが、新たなメンバーが途中から加わっても安心して仕事をお任せできます。

今後、プロジェクトが進んでいった先に、例えばSNSやメタバースの活用、リアル店舗への展開など、「OKAMURA Lifestyle Store」を起点とした様々な施策へ派生していく可能性があります。しかし、どんなに難しそうな相談を持ち掛けても、電通デジタルさんならそのときそのときの状況に応じて最適なプロフェッショナル人材で対応し、上手に料理してくれると期待できます。

延命:オカムラ様の夢や理想をどう具体化していくかが、我々の腕の見せ所です。ECサイトでの購買体験を通じてファンを作り、利用体験価値の共感の輪を広げ、少しずつ、しかし着実に、熱狂的なファンを増やしていく。 その実現のために、我々も精一杯伴走させていただきたいと思っています。

EXPERTS

エキスパート

コマース部門 プロデュース部 第2グループ
シニアコマースコンサルタント

延命 敬一郎

コマース部門 コマースデザイン事業部 第3グループ
コマースプランナー

緋田 真子

コマース部門 プロデュース部 第1グループ
コンサルタント/プランナー

本間 彩加

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