2024.09.30

一気通貫で「番組との出会い」強化を実現

スカパーJSAT株式会社

2022年7月にフルリニューアルしたスカパー!公式サイト。この大規模プロジェクトに対し、電通デジタルでは、戦略立案・クリエイティブ・システム開発という幅広い専門性を生かして支援をしました。

背景

スカパー!公式ウェブサイトをユーザーにとってわかりやすくサービスを伝え、体験を向上すべくリニューアルし、同社がKGIとして掲げるデジタルシフトを推進したい

ソリューション

戦略立案/要件定義チーム、クリエイティブチーム、システム開発チームがそれぞれの専門性を生かし、サービス横断でプロジェクトを推進

成果

リニューアル前に比べてウェブサイト経由の申し込みが125%に増加。加入者に対するNPS調査も6.1から6.4に上昇した。デジタルシフトが進み、電話対応減に寄与

社員インタビュー

スカパー!の強みを生かしたリニューアル案を提案

――電通デジタルとして、リニューアル前のスカパー!公式サイトの課題をどのように捉え、提案をしたのでしょうか?

長谷川:スカパー!の強みである、コンテンツの魅力をうまく伝えきれていないと感じました。当時、サービスを申し込むには、最初にスカパー!の3つのサービスを選択する必要があったのですが、それぞれのサービスの違いが非常に複雑で、理解するのが難しいものだったのです。ユーザーは、見たい番組があるからこそ加入を検討するはず。そこで、「番組との出会い」から始まる体験を作っていきましょうというのが我々の提案でした。

――リニューアルを2段階に分ける提案をしたことも、クライアント企業の決め手になったそうですね。

長谷川:第1段階は既存ページの中から特に改修効果が高く、大きな課題となっているページの改善。具体的にはプランの魅力が伝えられ、契約プランを選ぶ際のサポートができるページの作成です。そこから第2弾では、システムも含めてフルリプレイスを提案しました。

実は、最初はCMS(Contents Management System:コンテンツ管理システム)と各種データの関係性までが見えていない部分があったのですが、細かいヒアリングを行ったところ、裏側にある番組データやユーザーデータとの連携が必要になるなど、本格的なシステム開発が必要だと分かってきました。そこで、私たち戦略立案チームと西岡が所属するサイト設計チームだけでなく、栗原が所属するシステム開発チームにも合流してもらうことになったのです。

理想を追求した戦略とデザインをシステム開発チームが実現

――その後ローンチまで、各チームがどのような役割を担っていったのか、教えてください。

長谷川:私たちは、戦略立案/要件定義を担当しました。「番組との出会いを強化する」というコンセプトをぶらさずに、他のチームと合意を取りながら進めていきました。

また社内のスカパー!ユーザーへのヒアリングやカスタマージャーニーを作るなどして、ユーザー視点でサイト回遊時の課題点を洗い出し、ウェブサイト全体の情報を整理していきました。

リニューアルコンセプト
Zoom

西岡:クリエイティブチームでは、長谷川さんたちが作ってくれたウェブサイト全体の戦略をもとに、スカパー!らしさを失わず、今の時代にあった使いやすいデザインに落とし込んでいきました。またスマホファーストのデザインに対応することも今回の大きなテーマだったので、最適なCTAの大きさや表現、配置などにも、かなり気を使いましたね。

ある程度のデザインができあがったところでモックを作り、被験者を集めてプロトタイピングテストも実施しました。カスタマージャーニーで意図した動線できちんと進んでもらえるかを確認するのが目的でした。

長谷川:この第1段階の改善フェーズで、小さな改修をしながら、要件定義の際に立てた仮説を検証できたのは大きかったです。分析だけでは決めきれなかったことが分かり、第2段階のフルリプレイスの際に反映させることができました。

リニューアル後のプラン・セット一覧ページ
Zoom

――そして、いよいよシステム開発に進むわけですね。

栗原:戦略もクリエイティブも理想を追求してクライアント企業と合意を得ているものに対して、フィジビリティ(実現可能性)を取るのに最初はかなり苦労しました。スカパー!には、約70というチャンネルがあり、24時間365日、番組データを取得して番組表に落としこまなくてはいけません。スカパー!のシステムは非常に複雑なもので、その整合性を取りながら、CMSをカスタマイズ開発していくことは困難を極めました。

また、フルリニューアルにあたりCMSを刷新する必要があったため、切り替え時にはクライアント企業側の運用チームに大きな負荷がかかることになってしまいました。その調整に時間がかかってしまったのが反省点です。ただ、今では、使い勝手が良くなったと評価いただいています。

長谷川:これは非常に珍しいことなのですが、設計の段階からシステムに詳しい方がクライアント企業側に多くいらっしゃいました。この情報設計であれば、このデータとこのデータを組み合わせれば実現できるなどと提案をしてくださるので、最初から具体的な設計の話ができましたね。

西岡:ただ、戦略立案とクリエイティブ部分で多くの時間を使ってしまい、栗原さんチームのスケジュールをかなり圧迫してしまいましたよね。

栗原:戦略立案/要件定義のときから一緒に入っていて共通認識があったからこそ、私たちシステム開発の大変さを理解してもらえていると感じました。また、他チームのこれまでの思いや苦労も分かっていたので、なるべくそれを汲み取っていきたいというチームの意識はありましたね。そうしたみんなの思いを頼りに、なんとか佳境を乗り越えられたと感じています。

各チームの専門性を領域横断で提供する

――各チーム、どのような強みを発揮できたと感じていますか?

長谷川:前述の通り、データに深い理解を持っているクライアント企業だったので、戦略設計の段階で細かく定義でき、全体のストーリーはブレなく設計できたと感じています。ただ、どうしても進める中で私たちとクライアント企業との認識のずれは発生してしまうもの。その際にも、最初のコンセプトにしっかりと双方の共通認識があったからこそ、クライアント企業と丁寧に話ができ、踏ん張ることができたと思っています。

西岡:クリエイティブに関しては、電通デジタルへの信頼の高さを感じました。デザイン面では一度も大きな変更依頼をいただいたことはなかったですし、大変満足しているというお言葉ももらえました。

栗原:私たちのチームでは、「暗黙の了解のまま進めない」という文化があります。しっかりとクライアント企業とコミュニケーションした上で、要件定義以上のドキュメントを出し、合意を取ることを意識してやっていましたね。

体制面では、クライアント企業の複雑なシステム仕様を正しく理解できるエキスパートを配置し、その社員を中心にチームを動かすようにしていました。さらに、プロジェクトが進む中でエキスパート自身の知見がさらに深まったり、その知識がメンバー間にも展開していったりしてチーム全体が強くなっていったのも、大きな強みになったと思います。

――そうした各チームの専門性を、領域横断でクライアント企業に提供できるメリットをどのように感じましたか?

西岡:各領域にプロフェッショナルがいるのと、クライアント企業の課題に合わせて、時には領域の垣根を越えて支援体制を構築しているので、チームビルディングをしやすいというのは大きなメリットだと思います。「あのチームのあの人と、このチームのこの人は、前にも一緒にプロジェクトをやった実績があるから、今回もお願いしよう」などと具体的な話ができるのです。

長谷川:情報設計が終わって、クリエイティブが出てくるタイミングでは、こちらの意図が正確にデザインに反映されているか心配になることもあります。ただ、社内チームであればクオリティが担保され、戦略コンセプトにブレがないものが上がってくると分かっているので、とても進めやすいですね。常に一気通貫したクオリティの高いアウトプットが出せるのは、クライアント企業との信頼形成にもつながると思います。

栗原:ローンチまでは、クリエイティブチームの西岡さんにクライアント企業との対外的なやり取りをお願いしていたのですが、ローンチ後は、保守や追加開発のフェーズとなり、さらに直近ではシステム改修へのご要望が多いこともあり、開発効率を上げるためにも私たちシステム開発チームがフロントとして直にお話させていただいています。

その中で、これまでのクライアント企業とのやり取りや経緯などを密に連携できるのは強みですよね。このように、体制を柔軟に変更できるのも、領域横断でサービスを提供するメリットだと思います。

左から栗原 健太、長谷川 みのり、西岡 優

――ローンチ後、改善効果としてどのような結果が出ましたか?

長谷川:ウェブサイト経由の申し込みがリニューアル前と比較して125%に伸びました。また、リニューアル前後で、加入者にNPS調査(身近な人に推奨したい度合)をしたところ、全体で6.1から6.4に上がりました。

栗原:クライアント企業からは、可用性がかなり上がったという評価をいただいています。また、デジタルシフトをKGI(重要目標達成指標)に掲げる中で、加入受付やお問い合わせの電話対応が減り、ウェブサイト経由の比率が高まってきていると聞いています。

――今後の目標についてお聞かせください。

西岡:今後も改善ができる余地は多くあります。よりデザイン面の統一化など、全体的なご提案をしていきたいと思っています。

長谷川:「番組との出会い」というコンセプトを掲げてリニューアルを進めましたが、数年前時点のものになっています。その当時としては最善の提案でしたが、スカパー!のサービス内容も変化していますし、コンテンツの楽しみ方は時代とともに進化します。より新しい「番組との出会い」体験を提案し、アップデートしていきたいですね。

栗原:2023年度にシステム基盤の刷新が行われたことで、スカパー!の配信と放送が融合し、ユーザー体験が向上しました。これにより、ユーザーへ提供できる価値の幅が広がったので、より電通デジタルとして様々な領域の強みを生かし、クライアント企業のデジタルシフトに寄与していきたいです。

電通デジタルが提供する4つのコアサービス

スカパー!公式サイトにおいて、戦略立案からサイト設計、さらにシステム開発まで3つの電通デジタルのチームが連携し一気通貫で支援
Zoom

クライアント企業の声

スカパーJSAT株式会社 メディア事業部門 コミュニケーション本部 コミュニケーションデザイン部 フロントデザインチーム

安永 風太氏(チーム長)、鎌田 脩平氏

複雑な要件にも柔軟に対応、高い提案力が電通デジタルの強み

 電通デジタルは、スカパー!サービスの複雑さから生じる多くの要件や課題に、柔軟かつ迅速に対応してくださりました。私たちの細かい要求にも、本当に親身になって取り組んでいただいたと感じています。スマートフォンの利用率が急増する中、ご提案いただいたモバイルファーストのサイト設計は、ユーザー体験の向上に大きく繋がりました。今後とも、UI/UXの改善や新しい技術、デザインを提案していただき、高い成果を生み出すサイト作りを期待しています。

エキスパート

トランスフォーメーション部門 トランスフォーメーション事業部

長谷川 みのり

エクスペリエンスプロデュース部門 ビジネスリード第2事業部 第1グループ

西岡 優

テクノロジートランスフォーメーション第2部門 デジタルエクスペリエンスプラットフォーム事業部

栗原 健太

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