昨今、広告活動の投資対効果(ROI)の評価方法の1つとしてMMM(Marketing Mix Modeling)が再注目されています。
プライバシー保護意識の高まりの中で、WebブラウザのCookieの利用規制が進んでいることにより、従来の広告のコンバージョン計測やアトリビューション分析が正確性を失いつつあることがMMMに対するニーズの高まりの背景にあります。
今回、 Google Japan と協働でMMMに関する調査を実施し、MMMの分析プロセスや分析時に留意すべき点と課題について MMMガイドブック として取りまとめました。
ガイドブックは主に下記のような章立てで構成されています。
- CHAPTER1: MMMの概要
- CHAPTER2: MMMモデリングの基礎
- CHAPTER3: MMMにおける検索広告のモデリングに関する考察
- CHAPTER4: 電通グループのMMMのケイパビリティ
CHAPTER1では、MMMに対するニーズが高まる背景にあるプライバシー保護の潮流や各種規制、MMMの理論的な概要や分析のアウトプットイメージについて説明しています。
CHAPTER2では、データ選択・クレンジングからモデルの検証・利用までの一連の分析プロセスを説明しています。多重共線性の検知や欠損値の扱いなど統計モデルの基礎的な概念から、アドストックや反応関数の組み込みなどMMM独自の理論的概念まで詳細に記載しています。特に、モデルの検証プロセスについて、モデルの予測精度などの単一指標のみではなく、アドストックやROIの推定結果が当該の広告メディアの特性と照らしして違和感がないかなどの視点も含めて複眼的に評価することを提唱しています。
CHAPTER3では、主に「検索広告」を含むマーケティングミックスにおいてMMMを分析する際の留意点や課題を実際の分析事例からの示唆とともに整理しています。検索広告はその他の広告(例えば、TVCMやWebの動画広告などブランドの認知拡大目的の広告)や第三者要因によって検索行動が喚起され配信量に変化が起こる、などの点で特殊性があることからデータの選定やモデル構造に対して留意すべき点が多いと考え、これらに焦点を当てた調査を行いました。
CHAPTER4では、電通グループが持つMMMのサポート体制や、広告代理店として持つ広告メディアやその取扱いに関する知見、独自データなどに基づくケイパビリティについて説明しています。
多くの企業が自社のマーケティング活動のROIを正しく評価し、より良いマーケティング活動を目指すための足掛かりとなるように本ガイドブックをこのページで公開します。
本ガイドブックはMMMに関わる分析手法や課題を網羅的に記載しているものではありません。それぞれの手法や分析事例には課題点もあり、そのうちのいくつかについてはガイドブック内でも触れています。
分析における既存の課題や新たなる分析手法については、今後も広告主や媒体社とともに継続的に研究と議論を重ねていくことが重要だと考えています。
このガイドブックは以下からダウンロードして閲覧いただくことができます。
※ガイドブックの公開に先駆けてGoogle Japan から発表された、MMMの特徴や今回の共同調査について紹介した記事(Think with Google、2023年7月)も併せてご覧ください。
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