コロナ流行によって様変わりした生活者のニーズや購買行動に対応するため、リテール業界、特にリアル店舗にとってデジタル変革は急務の課題となっています。こうした中、電通デジタルはリアル店舗に携わる事業者に対して、生活者のインサイトを踏まえたDX支援を推進していく目的から、生活者のリアル店舗およびデジタルサービスの利用実態に関する定量調査を本年より開始しました。なお、本調査で対象とするリテールの業態は、生活者にとって身近であることに加え、コロナ禍でより大きな影響を受けていることが予測される6業態(コンビニエンスストア、ドラッグストア、スーパーマーケット、百貨店、外食、銀行)としています。
今後、本調査を経年で実施していくことで、生活者のリアルな動向を常に把握し、事業者への長期にわたる最適な支援を目指します。
2021.12.02
株式会社電通デジタル(本社:東京都港区 代表取締役社長執行役員:川上 宗一 以下、電通デジタル)は、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の拡大をきっかけにリテール業界において加速的に進行しているDXへの支援に向け、生活者の実態について調査すべく「リテールDX調査(2021年版)」を実施しました。一部調査結果を発表します。
調査の実施背景と目的
本調査結果の考察
調査結果から、コロナ収束後に生活者がリアル店舗に求めることは、実物に触れることによる「確信」と「驚き」であることがわかりました。
コロナの影響を受け、生活者がリアル店舗に足を運ぶ頻度が下がりました。その理由のTOP3は「人との接触を避けたいから」「1度にまとめ買いするようになったから」「インターネットサービスの方が便利だから」と、いずれも感染を回避するための行動変化と読み取れます。
また、感染対策の手段として、モバイルオーダーやセミセルフレジといったデジタルサービスの導入が加速し利用者が増えたことがわかり、生活者のデジタルシフトが一気に進んでいます。
リアル店舗への来店頻度が下がったと回答した約6割の生活者は、コロナ収束後も来店頻度は元に戻らないと答えており、デジタルチャネルの利便性を充実させることは、引き続き重要であると言えるでしょう。
一方で、来店頻度は元に戻ると答えた残りの約4割は、主な理由として「実物を見て購入したいから」という、以前は当然のように行っていた体験価値を挙げています。さらには、「非日常的な世界観の体験」、「思いがけない商品との出会い」といった、リアル店舗ならではの予想を超える驚きを伴う体験価値を生活者が求めていることがわかりました。
こうした生活者のインサイトより、今後、顧客体験をアップデートさせていくためには、実物に触れることによる「確信」と「驚き」を活用させていくことの重要性が示唆されます。コロナ禍によって生活者のデジタルシフトが加速する今、リアル店舗に携わる事業者は、非接触・効率化のためだけでなく、リアルならではの強みを活かしたDX推進が求められています。
主な調査結果
1. コロナ流行によるリアル店舗来店頻度の変化と減った理由
■どの業態においても、来店頻度が増えた人よりも減った人の方が多く、特に外食分野では約6割弱、百貨店では約4割弱、来店頻度が減ったと回答。
Q. コロナ前とコロナ後で店舗に行く頻度に変化はありましたか。(%:n=600)
■来店頻度が減った理由 TOP3 は、「人との接触を避けたいから」「1 度にまとめ買い(まとめて手続き)するようになったから」「インターネットサービスの方が便利だから」。いずれも感染を回避するための行動変化と捉えられる。
Q. コロナ前とコロナ後で来店頻度が減ったとお答えいただいた方にお伺いします。コロナ前とコロナ後で来店頻度が減った理由は何ですか。(全業態平均TOP3/n=600 ※複数回答可)
2. コロナ収束後の来店頻度とリアル店舗に戻る理由
■コロナ収束後には、来店頻度が減った人の4割以上が以前のようにリアル店舗に来店すると回答。特に外食分野では約7割は、来店頻度が戻ると回答する結果に。一方で、銀行のみ「今のまま変わらない」という回答が約8割近くあり、業態ごとのリアル店舗への来店需要の差が伺える。
Q. コロナ前とコロナ後で来店頻度が減ったとお答えいただいた方にお伺いします。コロナ収束後、来店頻度は変化すると思いますか。
■リアル店舗に戻る理由は、店頭で物を購入する業態では「実物を見て購入したいから」が最も多い結果に。また「様々な商品を比較して購入したいから」という理由の割合も高かった。
Q. コロナ禍が収まった後、来店頻度が元に戻る理由は何ですか。(全業態平均TOP2/n=600 ※複数回答可)
■百貨店では約4人に1人が、外食では上位を占める回答で、リアル店舗の「非日常的な世界観の体験」、「思いがけない商品との出会い」といった五感を通して選ぶ・楽しむことや、新しい刺激を得ることに価値を感じ、来店したい生活者がいることが浮き彫りに。
Q. コロナ禍が収まった後、来店頻度が元に戻る理由は何ですか。(上位回答順 ※複数回答可)
3. デジタル技術の利用状況
■コロナ禍で、生活者がセミセルフレジ(商品登録のみ従業員が行い、顧客自身が精算機で決済するレジ)やモバイルオーダーといった非接触・無人化を目的としたデジタル技術に触れる機会が増え、デジタルシフトが進んだことが明らかに。
Q. 利用したことがあるデジタルサービスは何ですか。また、いつから利用していますか。(%:n=600)
電通デジタルは、本調査の結果を踏まえたリアル店舗における顧客体験の高度化に加え、そこで働くスタッフの従業員体験の最適化も視野に入れ、課題精査や顧客体験設計、マーケティングシナリオ作成などのサービスを通して、コロナ禍で大きな打撃を受けたリテール事業者に対する本質的な事業変革を目的としたDX推進と、その先にいる生活者に寄り添った顧客体験の実現に貢献してまいります。
今後もリテール業界に求められる顧客への新たな価値提供を創造し、短期での成果創出と中期的なビジネス変革の両輪を目指します。
本調査の業態別詳細を含む全ての調査結果に関しては、下記までお問合せください。
お問い合わせ先:cud@group.dentsu.co.jp
調査概要
調査対象者 | 15~69才の男女 |
---|---|
算出用サンプル数 | 600サンプル(年代ごとに100サンプル) |
調査対象者の住所 | 東京都、名古屋市、大阪市 |
調査対象者の職業 | 会社員、パート/アルバイト、自営業/自由業、公務員、医療関係者、専業主婦・主夫、学生、年金が主な収入の方、お勤めでない方、その他 |
調査時期 | 2021年8月11日~8月18日 |
主な調査項目 | ・デジタルサービスの利用経験 ・現在のリアル店舗来店頻度 ・コロナによるリアル店舗来店頻度の変化とその理由 ・コロナ収束後のリアル店舗来店頻度 |
以上
このリリースに関するお問い合わせはこちら