
電通デジタルは、2022年6月に発表された
「Salesforce Partner Award 2022」において、
「Japan Partner of the Year <Marketing Cloud>」を
3年連続で受賞。
また、セゾン自動車火災保険株式会社様との
取り組みである「CRM革新プロジェクト」が評価され
「Innovation Partner of the Year」を初受賞しました。
受賞を記念して、
「CRM革新プロジェクト」の担当者である
セゾン自動車火災保険株式会社・渡部道生様と
電通デジタル 西田健太朗に、
プロジェクトの取り組み内容、
成果を上げることができた要因などを聞きました。


Innovation Partner of the Year受賞、3つの評価ポイント
3年連続受賞と
Innovation Partner of the Yearの
初受賞おめでとうございます。
受賞の率直な感想をお聞かせください。
「嬉しい」の一言に尽きます。
Salesforce Marketing Cloudの販売・導入について、3年連続で日本国内No.1パートナーと認めていただき、私自身も担当メンバーの1人としてすごく光栄で、誇りに思います。
Innovation Partner of the Yearは、電通デジタルとしても初めての受賞で、嬉しいと同時に恐れ多いという気持ちです。
3つの点でご評価いただきました。
1点目が、フルクラウド化に向けたチャレンジングで先進的なプロジェクトである点です。
- ● オンライン行動ログを整えるCDP(顧客データ基盤)
- ● オンラインでのマルチチャネルコミュニケーションを担うSalesforce Marketing Cloud
およびMarketing Cloud Personalization - ● オフライン
- ● 金融企業・保険会社のコンタクトセンターでの応対ログを保持するFinancial Services Cloud(FSC)
これらを相互データ連携する基盤を、フルクラウドで構築した先進性を評価していただきました。
2点目が、セールスフォース・ジャパン製品群の導入による成果の大きさです。
2021年度、セゾン自動車火災保険様の自動車保険について、契約継続率を88%から90%に改善できました。
3点目が、本プロジェクトで取り組んでいるデータ連携基盤が、「AIによる解約予兆検知」といった新たなオポチュニティ創出の第一歩となった点です。
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3つの課題と解決アプローチ
私たちセゾン自動車火災保険がミッションとして掲げているのは、「デジタルで保険を体験することが当たり前の世界をつくり、お客様の豊かな人生の実現をサポートしつづける存在」になることです。
そのミッションを達成するために目指しているビジョンは、
- ● デジタル技術とリアル接点を通して、お客さまの抱える不安やリスクを明らかにすること
- ● 顕在化した不安やリスクを解消する商品やサービスを、一人ひとりのお客様に合わせて提供すること
これらを相互データ連携する基盤を、フルクラウドで構築した先進性を評価していただきました。
このようなビジョンのもとで、2023年度を視野に「トッププロ代理店品質」を備えたダイレクト保険会社」を目指しています。
そのためには、「価値の進化」「手段の進化」が必要です。
「価値の進化」とは、CRM構築により、お客様のことを深く理解し、最適なコミュニケーションにより最適なタイミングで一人ひとりに合わせた商品やサービスを提供すること。
「手段の進化」とは、デジタルとリアルを融合させ、価値をお客様へ正しく届ける1to1コンサルティングを実現することです。
この2つの進化を実現するための第一歩が、今回の受賞で高い評価をいただいた「CRM革新プロジェクト」です。
1つ目の課題は、「弊社からのコミュニケーションが画一的・一方的なものに留まっていた」という点です。
ご契約者様に対するメールも一斉配信で、一人ひとりに対する最適化はできていませんでした。
2つ目の課題は「オン・オフチャネル分断による機会損失」です。
例えば、電話でのお問い合わせで把握したお悩みやニーズをデジタルでのアプローチに活かす、逆に、デジタルでの行動を踏まえてコンタクトセンターでの対応を変える、そのような顧客対応ができていませんでした。
3つ目の課題は「施策のリアルタイム性の欠如」です。
一例を挙げると、「解約可能性の高そうな契約者を行動から判別し、タイムリーに手を打つ」といったことが実現できていませんでした。
「コミュニケーションが画一的・一方的なものに留まっていた」という点に対する解決アプローチは「顧客データにもとづく、顧客視点でのシナリオ配信」です。
具体的には、基幹システムが保有する契約情報、Salesforce Marketing Cloudで得られるデジタル反応情報などにもとづき、契約満期前のシナリオ、車両保険の訴求シナリオ、新規見積もりフォローのシナリオ、これらのきめ細やかな最適化を目指しました。
「オン・オフチャネル分断による機会損失」に対する解決アプローチは、「オンオフ横断での統合的なアプローチ」の実現です。
コンタクトセンターのオフラインチャネルでの顧客応対管理のソリューションとしてFinancial Service Cloudを導入し、オンラインチャネルでのコミュニケーションを司るSalesforce Marketing CloudおよびMarketing Cloud Personalization、そしてオンライン行動を把握するGoogle アナリティクスとの間でのデータ連携基盤を構築し、オンオフ横断アプローチの実現を目指しています。
「施策のリアルタイム性の欠如」に対する解決アプローチは、「Marketing Cloud Personalizationの活用によるリアルタイムアプローチの実現」です。
解約防止に関しては、予兆のある契約者に対してMarketing Cloud PersonalizationによってWebサイト上でメッセージを出す、さらにはSalesforce Marketing Cloudからのメール、あるいはコンタクトセンターからのフォローコールを行うなど、タイムリーかつチャネル横断でのアプローチを目指しています。
この3つの解決のアプローチを、セゾン自動車火災保険様と一緒に進めております。

現時点で実行・検証済みのものは1つ目の解決アプローチ、すなわち「顧客データにもとづく、顧客視点でのシナリオ配信」となります。
施策の効果もありまして、契約の継続率はプロジェクト前の88%から90%に改善しました。
上積みがあと10%程度しかない中での2%アップというのは非常に大きな数値です。
まだ短期間での計測のため予断は許しませんが、これまでのところ非常に良い手応えを感じています。
これらに加えて、これから「オンオフ横断での統合的なアプローチ」「Marketing Cloud Personalizationの活用によるリアルタイムアプローチ」も順次実行に移していきますので、一層の成果拡大を期待しています。
プロジェクトのこれまでの成果


プロジェクト体制が大きな成功要因の一つと考えています。
今回のプロジェクトにおいては、セゾン自動車火災保険様も電通デジタル側も、「マーケティングチーム」と「システムチーム」を一体化したプロジェクト体制を構築しました。
これにより、顧客目線・ビジネス目線での仕組みづくりと、迅速なPDCAサイクルが実現できています。

電通デジタルの強みは何でしょうか?
私たちの強みは、マーケティングの施策をシステムで具現化する支援にあります。
ユーザーの顧客体験向上を起点に、事業成果につながるマーケティング施策立案からプラットフォームの設計、構築、運用までを一気通貫でご支援いたします。
セールスフォース・ジャパン製品に関しては、業種業態問わず、さまざまな企業への導入支援を提供してきた実績があります。
プロダクトとしては、特にMarketing Cloudを得意としており、2020年から3年連続でPartner of the Yearを受賞しています。
Marketing Cloud PersonalizationやMarketing Cloud Customer Data PlatformといったMarketing Cloudの新プロダクトにもいち早く取り組みを行っています。
また、昨年合併した旧電通アイソバーはCommerce Cloudを、グループ会社の電通国際情報サービスはService CloudやSales Cloudなどのコア製品を得意としています。
密接な連携によって、マルチクラウドをフルカバーできる体制も大きな強みです。
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事業パートナーとして、事業成長を達成するまで伴走する
現在は「継続率の向上」を目指した取り組みを行っていますが、今後はそれに加えて「クロスセル」や「生産性向上」にも取り組んで行く予定です。
「クロスセル」については、「自動車保険の一本足からの脱却」ということで、火災保険、医療保険、さらにはペット保険やスマホ保険など、お客様の「安心」をトータルでカバーしていくことを目指しています。
そのためのアプローチとしては、ご契約者に対してそれらさまざまな保険の必要性や有用性の気づきを与えるようなコンテンツを提供し、その閲覧履歴などを踏まえて、具体的な保険商品をタイムリーにご提案していく、ということを想定しています。
このような施策の実現においても、Goolge アナリティクスのサイト行動にもとづいて、Salesforce Marketing Cloud、Marketing Cloud Personalization、Financial Service Cloud等で契約者にアプローチできる基盤が大いにパワーを発揮します。
「生産性向上」については、現在、コンタクトセンター等において人手をかけて対応している様々な顧客フォロー業務のオートメーション化を目指します。
車両入替検討のフォロー、契約継続後の車両入れ替え漏れのフォロー、未入金者への契約解除予告などのイレギュラー対応にかなりの工数が割かれているため、これらをデジタル化することで、貴重な人的リソースをよりプロアクティブな活動にシフトすることを目指しています。
この実現においても、システム間のデータ連携、プロセス連携がその土台になります。
電通デジタルの支援に対してはどのような評価・感想をお持ちですか?
コンサルティングファームやシステム開発会社とは違い、顧客体験を中心としたプランニングやプラットフォーム開発を、あらゆる領域で複合的に手厚いご支援をいただき、大変心強く感じています。
これからも弊社の事業パートナーとして、事業成長を達成するまでしっかり伴走していただきたいと思っています。
今後ともよろしくお願いします。
嬉しいお言葉、ありがとうございます。御社のビジネス課題解決に向けて、今後もさまざまな領域でお手伝いできればと考えています。

テクノロジートランスフォーメーション部門
CRMソリューション事業部 コンサルタント
コミュニケーションプランニング領域を主とし、データテクノロジーを活用したシナリオ設計や、デジタルマーケティング戦略の策定など様々な業界におけるコミュニケーション設計支援を担当。
事業推進部 マーケティング推進役
最適なタイミングで最適な提案をデジタルで実現する世界を目指し、現在、継続率の向上とクロスセルを目的に部門を横断したコミュニケーション強化施策全体を推進。