2021.02.19

CXの発想で新しいヘルスケアソリューションを目指す! 〜患者の「より良い暮らし」を支える電通アイソバー(現 電通デジタル)「HACS -Healthcare And Customer Solution-」〜

多くの人にとって、コロナ禍による影響だけでなく、何らかの形で医療と関わり続けることは他人事とは言えません。そして、疾病の中には、「製薬会社が作った医薬品が医療機関によって提供されさえすればすべてが解決する」という分かりやすいものだけでなく、患者を取り巻くあらゆる事柄を踏まえて中長期的に「より良い暮らし」というゴールを一緒に目指していく必要があるものも少なくありません。 そのゴールに向かう過程において、「患者、医師や看護師などの医療機関、製薬会社」に加え、電通アイソバー(現 電通デジタル)のようなデジタルマーケティングの視点が加われば、新たな価値が提供できるのではないか? そう考えて誕生したのが「HACS(Healthcare And Customer Solution)」です。

※所属・役職は記事公開当時のものです。

電通デジタル CXストラテジー本部 / CXストラテジー1部 CXストラテジー部
部長

前田 千広

電通デジタル CXストラテジー本部 / CXストラテジー1部
ストラテジープランニングディレクター

神松 あや

マーケティング視点で見た「医療の現場でのペインポイント」

ここ数年、電通アイソバー(現 電通デジタル)は、製薬や医療業界との繋がりを増やしてきました。そして、現在、製薬業界が目を見張るほどの変革期に直面していることを知る機会を得ました。

例えば、新興バイオテック企業の台頭やデジタルトランスフォーメーション(DX)の波が押し寄せていることは“外からの変革”の象徴的な事柄だと言えるでしょう。

一方、“業界内で起きている変化や課題”も当然ながら無視できません。

「これまで医師に新薬の情報を伝える役割を担ってきたMR(医療情報担当者)の方たちが、コロナ禍の影響などもあり、その機会を減らさざるを得ない状況になっている」という事実は目下の課題だと言えるでしょう。また、製薬会社から患者に対しての情報伝達にもジレンマがあるようで、より上手く正しい情報を伝える方法はないか? と長く模索してきたとの声も聞かれます。

とはいえ、医薬品や医療に関する情報の量自体は非常に多いのはご存知の通りです。
「しかし、だからこそ、情報過多の状態になっていて、結果的にどれが正しい情報なのか判断できないほどになっている」と語るのは、電通アイソバー(現 電通デジタル)CXストラテジー1部部長の前田千広です。

このことは、医師にとって「忙しい中で多くの情報をインプットしようとしてもきちんと咀嚼(そしゃく)できないままになってしまう。新薬に対してアプローチする余裕がない」という問題に繋がり、患者にとっても「適切な医療へのアクセスの“障壁”になってしまい、早期発見・早期治療の機会を逸してしまうリスクにもなりかねない」という問題に連なると言えるでしょう。

「医師にとっては情報過多、患者さんにとっては自分の持ちうる選択肢の幅やより良い治療へのアクセスへの障壁、製薬会社にとってはコミュニケーションの難しさ……このように、三者三様のペインポイントが医療の現場には存在するのだと気付きました」と、同部のプランニングディレクター 神松 あやは指摘します。

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CXの発想は「より良い暮らし」を支えられるはず!

前述の通り、多くの「障壁(フリクション)」が見られる現状ですが、「ヘルスケアの領域はもともと人を中心に課題解決に挑む領域。だからこそ、CX(カスタマーエクスペリエンス/顧客体験)デザインの発想を役立てれば、今ある問題を解決してより良い方向に進めるようサポートできるのではないか」と、前田と神松は気付いたと言います。

「We are the CX Design Firm.」を掲げる電通アイソバー(現 電通デジタル)では、これまで、「ブランドと一人ひとりの顧客が永く繋がり続けるための“特別な関係性”を生み出す」というCXデザインを考えの中心に据えてきました。そして、良質なCXデザインはいつでも、心を動かす「Motivation」と、スムーズにゴールに向かうための「Frictionless」が揃っている、と説いてもきました。

この発想を基点に、「マーケティングやコミュニケーションプランニングで培った知見を活用し、モチベーションを高め、人の心が動き出したときにつまずきをなくすべくデジタルの力を用いる、というアプローチをヘルスケア領域に提案しています」と、神松は電通アイソバー(現 電通デジタル)だからできるこの領域での貢献について語りました。

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それを実践するにあたり、肝心なのは、「医師と製薬会社と患者のうち、誰が中心となる存在か?」を改めて明らかにすることです。

「製薬や医療業界のクライアントとお話しする際、患者さんとはどういう人を指すのでしょうか? という問いかけをさせていただいています。
製薬や医療業界のクライアント側でもたくさんの調査を行なってはいらっしゃいますが、やはり『特定疾患をもった患者群』というこれまでの捉え方でアプローチの方法を考えようとしていると感じます。
しかし、私たちは患者さんたちが果たすもっと大切な役割の部分、つまり、会社員や経営者、誰かの父母、学生、といった『個』に着目する必要があると感じ、そのような視点を持ち込むことがブレークスルーになるのではないかと考えています。それぞれの立場によって、情報の伝え方や必要とする情報は変わってくるものでしょう。だからこそ、『患者さんとは誰なのか?』という問いの理解度を深めなければならないと考えています」と、前田は語ります。

加えて神松は、「患者さんを中心に据えた時、『治療とは、病院で医師との間で行われるもの』という“当たり前”をもう一度捉え直さないといけない、との考えが生じるでしょう。仕事をしたり、お子さんのお世話をしたり、家でゆっくりテレビを見ていたり、そういう日常の中にも治療は入り込んでくるものだと捉えると、どのような治療やソリューション、情報の提供の仕方、それらを包括した体験の設計の仕方はもっと暮らしに寄り添う姿になっていくはずだと思っています」と述べました。

「個」のバックグラウンド読み解いて、ペイシェントジャーニー(患者の過ごし方)を想像し、アプローチを変えていく、というのはまさにマーケティングの知見が生きる部分だと言えます。

さらに、現状では難しいところもありますが、もし製薬会社などのサイト内の動きなどのデータを活用できれば、適切な情報を伝えたり、次のマーケティングにデータを生かしたりすることもできるかもしれません。


すでにペイシェント・ファーストのCREATIVE は始まっている

前述のような取り組みは、これまでの「患者、医師、製薬会社」に電通アイソバー(現 電通デジタル)のようなマーケティングを主とする企業が加わり、それぞれがプロフェッショナリズムを果たすことで取り組むことができるチャレンジです。

二人は、「HACSの約束としては、『データによるUNKNOWN NEEDSの可視化』『FRICTIONLESSなUX設計』『ペイシェント・ファーストのCREATIVE』の提供をし、患者さんの医療生活における未だ見えていないニーズなどを洗い出して、日常にシームレスに入り込むような生活者(患者さん)に寄り添ったコミュニケーションを開発していきたいと考えています」と、HACSの存在意義を語りました。

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特に、情報のどの部分をどのように伝え、人々の心を動かすのかを考える「ペイシェント・ファーストのCREATIVE」は、電通アイソバー(現 電通デジタル)の得意領域です。

例えば、あるクライアント企業と行なったコミュニケーション戦略の見直しとLINEのチャットbotツールを活用したヘルスケアのサポートプログラムや、体調不良や悪習慣によって現れる「生活習慣臭」を測定してその数値を健康習慣の改善に応用するといったことは、「ペイシェント・ファーストのCREATIVE」な取り組みの一例だと言えるでしょう。

これらの事例は近日公開のウェビナーレポートにてより詳しくご紹介します。ぜひご期待ください。

今後、電通アイソバー(現 電通デジタル)は、CXデザインファームとしての知見を生かし、データとクリエイティブの力で患者視点の新しいヘルスケアソリューションの提供を推進していきます。

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