2021.04.09

ヘルスケア産業以外も巻き込んで患者の「より良く暮らす」を支えたい〜電通アイソバー(現 電通デジタル)「HACS - Healthcare And Customer Solution -」〜

人生が100年続くと言われるほどの長寿大国である日本。それは同時に、年齢を重ねるにつれて本人またはその周囲の人たちが何らかの形で医療に関わり続ける、ということを意味します。 これを医療の側から見ると、「医療機関と製薬会社が良いお薬を提供すればすべてが解決する」という分かりやすい図式だけでなく、患者を取り巻くあらゆる事柄を踏まえて中長期的に「より良い暮らし」を一緒に模索し、追求する時代がきた、と解釈できるでしょう。そして、その過程では、今まで考えられてきたヘルスケア産業以外のセクターとの相互協力が欠かせなくなる、とも考えられます。 そうした中で、「患者、医師や看護師などの医療機関、製薬会社」に、電通アイソバー(現 電通デジタル)のようなデジタルマーケティングに携わる立場の視点が加われば、新たな価値が提供できるのではないか? と考え、生まれたのが「HACS(Healthcare And Customer Solution)」です。

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CXデザインファームだから「HACS」が誕生した

HACSでは、「患者、医師、製薬会社」という従来のヘルスケア産業に、「個」のバックグラウンド読み解いてペイシェントジャーニー(患者の過ごし方)を想像し、アプローチを変えていく、というマーケティングの手法を得意とする電通アイソバー(現 電通デジタル)の力を掛け合わせることで、患者がそれぞれ今まで抱えていた課題や未だに認知していなかった問題を一緒になって超えていくような取り組みを進めています。

この枠組みを実際に進める上で、「それぞれの領域におけるプロフェッショナルがお互いにコラボレーションし、Co-Creationすることが大切だと考えています」と語るのは、電通アイソバー(現 電通デジタル)CXストラテジー1部部長の前田千広と同部のプランニングディレクター 神松あやです。

加えて、「これまでも製薬会社のみなさんや医師のみなさんが、有益な情報を伝えようと多くの努力がされてきました。しかし、やはりその情報の手触り感については様々な制約などもあり、難しい部分もあったのだと推察されます。

一方、私たちは、伝えたいことのうちどこを伝えるか、あるいは、どのように情報を手元に届けるのか、という“違い”によって、受け取った人々のモチベーションが大きく変わるということを『CXデザインファーム』として経験し、理解してきました。そうした新しい体験をヘルスケア産業に携わる方々に理解してもらうことで、患者さんに対してより良いコミュニケーションとその先の豊かな体験をもたらしたいと考えています」と、続けました。

● 実際にどのような座組みとフローで進めていくかについての詳細はこちら
ペイシェント・セントリックの視点がビジネスを変革させる〜CX時代のヘルスケア×デジタルマーケティング〜


Co-Creationする存在は必然的にヘルスケア産業以外にも広がる

HACSでは、前述のようなヘルスケア産業とデジタルマーケティング業界のコラボレーションだけでなく、より広い産業とのCo-Creationも重要になってくると考えています。

その理由について、神松は次のように語りました。

「例えば、近年多くの人が悩みを抱える睡眠について考えてみましょう。睡眠の薬剤を服用する人にとって、それだけでなく、睡眠の管理ができる“何か”が必要になってくるかもしれません。患者さんに寄り添って共感型のコミュニケーションを続けることで課題解決を目指していくことが今日求められていると考えています」。

その際、患者自身へのインタビューやリサーチを通じて、患者の日常を丁寧に理解すべくジャーニーをもう一度紐解く機会もあるかもしれません。また、それに基づいてどういったコンテンツが最適なのかを改めて洗い直してウェブサイトの改修を行なったり、LINEのチャットボットツールでヘルスケアのサポートプログラムを作って「より良い暮らしに近づきたい」と思った患者に寄り添えるサービスデザインを考えたりすることもあるでしょう。

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電通アイソバー(現 電通デジタル)だけでは対応しきれないことも出てくると想像できます。そのために、調査会社やコンテンツを考える上での専門家、新しいテクノロジーをサービス化できるスタートアップ企業やソーシャルメディア運用のサポーターなどとのパートナーシップが重要だと考えています。

しかし、上記に限らず、より大きな広がりも考えられるかもしれません。
このことについて神松は、「ヘルスケアという括りでは、スポーツメーカーや食に関わる産業のみなさん、など、もっと大きい広がりができればと構想しています」との見通しを語りました。

また、前田は、「意外に感じるかもしれませんが、旧来型の業界構造が確立してしまっている領域こそ、CXデザインのアプローチが有効であると考えています。それというのも、まず業界の課題感として『変えていかなくちゃいけない』という変革の機運が高まり、そういった業界こそCXデザインがユーザから求められており、他社との差別化になるからです。そのため、過去のことを一旦考えず、まっさらな状態で新しいことにチャレンジできるのではないか? と思っています」と付け加えました。


ヘルスケアはより身近に、パーソナルに。

最後に神松は、「ヘルスケアについて、このコロナ禍で随分と意識が変わったと感じています。教育や飲食、スポーツや家電など、人々の生活のあらゆる場面にヘルスケアの考え方が取り入れられようとしているため、あらゆる業界とヘルスケア業界が密接につながることになったり、また今後は社会の中で、ヘルスケアを含むウェルネス(「輝くように生き生きしている状態(1961年、米国 ハルバート・ダン医師)」)やウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを意味する概念:世界保健機関WHO) の発想が重要な価値となるように思います。

一方、医療崩壊という言葉が日常の中で聞かれるようになった今日、個人のヘルスケアへの意識の高まりや人として生きる上での必要要素としてのヘルスケアという考え方が、より根付こうとしているようにも感じられます。
そうした転換期にある私たちだからこそ、HACSによって患者さん視点のソリューションメイキングを軸に、業界は問わず、幅広くスケールしていきたいと考えています」と締め括りました。

確かに、これまでヘルスケア産業として挙げられていた製薬業界や医療機関だけでなく、生命保険や機械メーカーなど“異業種”による新たな提案が増えています。それらを個々の提案としてではなく、患者を中心に考え、「より良く暮らす」を叶えるためにどの部分で何ができるのかを考えCo-Creationしていけば、QOL(クオリティー・オブ・ライフ)の向上だけでなく、ビジネスにとっても新たな機会創出が期待できることでしょう。

電通アイソバー(現 電通デジタル)は、CXデザインファームとしての知見と、様々な企業との繋がりというアセットを生かして、この「HACS」で人々の「より良く暮らす」を推進していきます。

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