2021.11.30

データ可視化とは

デジタル化が進み、ありとあらゆる情報がデータ化されたビッグデータの時代。企業が保有するデータも膨大な資産となり、社内外のデータをどう活用するかがビジネスに多大な影響を及ぼしています。

そのような背景から、「データ可視化」の重要性は年々高まっています。この記事ではデータ可視化の定義から、実施するメリット、そしてデータ可視化を成功させるためのポイントまで幅広く紹介いたします。

データ可視化とは?

データ可視化とは、数値などのデータをグラフ・図・チャート・イラストといった形で「見える化」し、情報の理解促進や、新しい法則・傾向の発見を促すことを指します。「データ可視化」のほか、「データ視覚化」や「データビジュアライゼーション(Data Visualization)」と呼ばれることもあります。

データは量が多ければ多いほど分析に時間がかかり、そこから規則性や意味を見出すのは難しくなります。特にビッグデータと呼ばれる膨大なデータは閲覧するだけでも大変ですし、パッと見ただけで正確な意味づけを行うのはまず不可能でしょう。

このように、数値の羅列では活用しにくいデータを分かりやすく表現することで、情報に対する理解を助け、隠れていた法則や傾向を明示し、業務効率の改善や課題の抽出、業績向上を実現するのが、データ可視化の役割になります。


データ可視化のメリット

データ可視化にはどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは4つのポイントに整理して、データ可視化のメリットを紹介します。

1. 意思決定の質とスピード向上

膨大なデータを分かりやすく可視化することで、課題に対する原因の究明や現状把握、改善点の発見がスムーズに行えるため、よりスピーディな意思決定が実現できます。また、さまざまなデータを組み合わせたり、比較したり、角度を変えて検証したりすることで、より深く、質の高い意思決定を行うことも可能に。変化のスピードが早く、未来予測も難しい今の時代、データ可視化をこまめに実施しながら、迅速かつ適切な意思決定を行うことがビジネスの成否を左右する重要なファクターになりつつあります。

2. 情報共有による業務効率化

データ可視化は、データから得られる事実や発見を、誰もが簡単に、直感的に理解できる形式で表現します。これを組織・チームで共有することで、データに対する個々人の認識のズレをできる限り解消し、組織・チーム内での共通認識が得られます。その結果、組織・チームとして取るべきアクションや方向性が統一され、意志の伝達もスムーズになるため、業務効率化につなげることができます。

3. 属人的スキルの解消

共通認識が得られるということは、「属人的スキルの解消」にも貢献することを意味します。可視化されていない数値の状態だと、個人のスキル次第でそれを分析するスピードも質も変わってしまいます(そもそもデータを活用せず、意思決定者の経験や勘に依存しているケースも少なくないのが実情です)。データ可視化はこのようなスキル・知識・経験の障壁をなくし、“素人”でもデータ活用を可能にすることが大きな特長。業務の属人化を防ぐことはもちろん、全社員のデータ活用を底上げすることにも役立てられるのです。

4. データ・ドリブンな未来予測の実現

データ可視化は現状把握や課題の抽出に活用できるだけでなく、数値の推移や変化の傾向をもとに将来の売上や需要を予測することも可能になります。これまでに蓄積されたデータや関連するデータを集めて機械学習にかければ、より高度な予測・トレンド分析も行えるでしょう。このような仕組みを確立することで、常にデータを根拠にした、いわゆるデータ・ドリブンな意思決定を実現し、未来に向けて先手を打ち続けることができるようになるのです。


データ可視化の方法

データを可視化する方法はいろいろあります。データ可視化の目的は、データ分析結果を誰もがひと目で分かる形で表現することなので、分析の種類に応じて適切な見せ方を選択することが非常に重要です。
ただ、近年はデータ可視化を自動化する「BIツール」を活用することが一般化しつつあるため、「どのような見せ方が最適か?」を考える機会は少ないかもしれません。

ここでは、データ分析の全体像を掴んでいただくために、「グラフ化」「グラフィック化」「色分け」の3つに分けてデータ可視化の方法を紹介します。

グラフ化

最も基本的なデータ可視化の方法。棒グラフや折れ線グラフ、円グラフ、積み上げグラフ、レーダーチャートなどを用いて、データ同士の比較や構成比、推移などを分かりやすくビジュアライズします。

グラフィック化

画像やアイコン、イラストを用いることで、より視覚的にデータの意味や解釈を表現します。多くの人が共通認識として理解しやすいインフォグラフィックは、データ可視化によく使われるアイコンの一つです。また、位置情報を活用して、地図上にデータを表示させる方法も一般的です。

色分け

データの違いや強弱を色で表現することで、データの意味や解釈を分かりやすく表現します。代表的な例はヒートマップ。例えば、WEBサイトにおけるヒートマップでは、ユーザーのマウスの動きを追跡し、そのログをもとにページ内でよく閲覧されている部分を色で表しています。

今回は、データ可視化の方法を分かりやすく紹介するために「グラフ化」「グラフィック化」「色分け」の3つに分類しましたが、例えば「国別の売上推移をレーダーチャートで表現し、各国のチャートに国旗のアイコンを付与し、日本のチャートを色で強調する」といったように、グラフやアイコン、色を組み合わせて可視化するケースもあります。

日々の意思決定には過不足のないシンプルなグラフが適切かもしれませんし、プレゼンテーションや提案の際は興味を引くビジュアルでデータを可視化したほうが有効かもしれません。用途やシーンに合わせて適切な可視化の方法を選択することが重要です。


そもそもBIツールの「BI」とは何か?

「BIツール」は大量のデータを効率的かつ正確に可視化する上で欠かせないツールになりつつあります。
そもそもBI(Business Intelligence)という言葉の歴史は古く、1986年にアメリカの歴史学者Richard Miller Devensが著書『Cyclopedia of Commercial and Business Anecdotes』の中で、とある銀行家が市場や顧客に関する情報をライバルよりも多く入手してビジネスを成功させたという文脈で「Business Intelligence」という言葉を世の中に生み出したと言われています。

その後、1958年にIBM研究所のコンピューター・サイエンティスト、H.P.Luhnが「A Business Intelligence System」という論文を発表し、事実である情報を正しく分析することがビジネスの意思決定に寄与することを提唱しました。その後、IBMを中心にコンピューターを活用したデータ管理システムや意思決定支援システムが次々と開発され、BIがビジネスに大きな影響を与えるようになります。

テクノロジーの発展とともに進化を遂げてきたBIツールは現在、経営や財務、営業、人事、マーケティングなどビジネスのあらゆる領域で活用されています。

ツールの役割や特徴もさまざまで、操作が簡単でレイアウトの自由度が高い「Tableau」や、レポーティング機能に優れた「Power BI」、帳票出力に強い「MotionBoard」、膨大なデータ管理や組織内外のデータの統合・分析に適した「Looker」「Dr.Sum」などなど。個別の課題やニーズに合わせて最適なツールを選択できる環境が整っているのです。


データ可視化のポイント

BIツールの普及によって、データ可視化を導入すること自体は容易になりましたが、もちろんツールを導入しただけで十分な成果が得られるとは限りません。データ可視化の効果を最大化させるためのポイントを3つ紹介します。

1. 「誰に?」「何を?」を明確にする

「可視化」という言葉から分かるように、データ可視化には「見る相手」がいて、可視化する「目的」があるわけです。

大前提として可視化したアウトプットは誰が閲覧するものなのか、誰に向けて可視化するものなのかを明確にする必要があります。そして、何のために可視化をするのか、どのような目的があるのかを整理することも大切です。「誰に?」「何を?」で用いるデータも、見せ方も大きく異なるので、まずはこの2点をしっかりと確認するようにしましょう。

2. データを正しく理解する

データそのものの意味を理解していないと、「誰に?」「何を?」にふさわしいデータを活用することはできません。
特にビッグデータはボリュームが膨大なので、その中から重要なデータを抽出し、データ同士の意味を正しく把握することが求められます。仮に前提条件が間違っていると、可視化したデータ自体にミスリードが生じてしまうリスクがあります。
可視化するデータは今回の目的や相手に合っているのか?データに過不足はないのか?少なくともデータ可視化を実行する人は理解する必要があるのです。

3. アウトプットをデザインする

データ可視化には、グラフや図を用いて客観的事実を分かりやすく伝えるだけでなく、人の情緒や感覚に訴えることができるという魅力もあります。

データや数値にはどうしても無機質で冷たい印象があり、苦手意識のある人はデータと聞くだけで身構えてしまうかもしれません。でも、多彩な色味や馴染みのあるアイコン・イラストを用いることで、無機質だった生のデータの見た目や形が変わり、より情緒的に、キャッチーに表現することも可能なのです。もちろん、情緒的な表現がノイズになる場合もあるので、先述した「誰に?」「何を?」にふさわしい表現が欠かせません。

ここで押さえておきたいのは、アウトプットを用途や目的、相手に合わせてデザインできるということ。時にはストーリー立てて情緒的に、時にはとことんロジカルに、最大の成果を得るためのアウトプットにとことんこだわることが大切なのです。


BIツールにおけるダッシュボードの重要性

先述したとおり、現在は多くの企業でBIツールを活用したデータ可視化が行われています。そして、ビジュアライズされた分析結果は一般的に「ダッシュボード」という形式で閲覧できるようになっています。

ダッシュボードの概念や種類はさまざまですが、データのアウトプットを担うダッシュボードの質は、データ可視化を有効活用する上で非常に重要なポイントになります。ここでは、ダッシュボードを選ぶ時のポイントを3つ紹介します。

1. オーダーメイドのダッシュボード

自分たちの要望やニーズ、データ可視化の目的に合わせて最適なダッシュボードを構築する必要があります。また、社内の体制や現状使っているツールなどとうまくシンクロできるダッシュボードでなければ、実用することは難しいでしょう。
BIツールはパッケージ化されたサービスが多いですが、その中でもダッシュボードを柔軟にカスタマイズができるもの、自分たちの要望に合わせてオーダーメイドで作れるものを選ぶと良いでしょう。

2. ダッシュボードのデザイン変更

「誰に?」「何を?」次第で用いるデータも、見せ方も大きく異なるとお伝えしましたが、それを実現するためには、ダッシュボードの表示内容は柔軟に変更できる状態であることが望ましいです。
経営メンバー向け、チームメンバー向け、クライアント向けなど、報告相手や会議内容に合わせてダッシュボードのデザインを変更できれば、よりスムーズに質の高い意思決定につなげることができるでしょう。


終わりに

データ可視化は、膨大なデータから迅速かつ最適な意思決定を導き出すために欠かせないもので、ビッグデータ時代のスタンダードとも言える施策です。

実際にDX化の一環としてBIツールを取り入れる企業も増えており、今後その重要性はますます高まっていくことが予想されます。データ可視化を実現するBIツールの質はもちろん、ツールだけでなく高度なデータ可視化を支援する専門家を活用することも、競争優位性につながるかもしれません。より高質なデータ可視化を行い、データ・ドリブンなビジネス成長を実現させましょう。

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