2022.09.07

「ビジネス×体験×テクノロジー」電通デジタルに聞く、企業変革の具現化に必要な3つの視点

日本企業にとって待ったなしの課題でありながら、全体の把握も部分ごとの理解も難しいのがDX。これはDXの対象となる領域が幅広いためだが、ビジネス(BX)・顧客体験(CX)・テクノロジー(TX)という3分野でのトランスフォーメーションに着目すると「効くDX」が見えてくる。

BX・CX・TXの推進に取り組む電通デジタル ビジネストランスフォーメーション(BX)部門トランスフォーメーションディレクタールーム事業部長の松井崇司氏、CXトランスフォーメーション部門CX戦略プランニング第1事業部事業部長の田川絵理氏、テクノロジートランスフォーメーション(TX)部門 CRMソリューション事業部 第2グループの佐藤晃氏に、経営課題の解決に必要な3つの視点について聞いた。

DXに着手した企業が直面している課題

──経営環境が急速に、大きく変化するなか、日本企業は幅広い領域で迅速な変革を求められています。変革の実現に不可欠なのがDXですが、取り組む企業は増えていても成功例はまだ限られているのではないでしょうか。企業にとって、DX推進課題にはどのようなものがありますか。

松井 崇司(まつい・たかし)ビジネストランスフォーメーション部門トランスフォーメーションディレクタールーム事業部長。リテール・自動車メーカー・金融業界を中心に顧客体験を軸としたBPR/デジタルマーケティング戦略/データ利活用戦略等の業務に従事。近年はID戦略をコアとした顧客体験設計、コンタクトセンター化構想、データ利活用戦略策定を支援。大規模PJTにおける全体統括業務の推進に取り組んでいる。部門を横断するトランスフォーメーションの型の整備、実案件のリードを行う。

松井崇司氏(以下、松井) : 各部門での業務効率化やコスト削減が主目的になっているDXがまだ多くあると感じています。DXの狙いが部分最適化にとどまっていて、部門ごとにサイロ化が起きてしまう例もあります。一方で、トップダウンによって全社的な改革を目指すDXも増えてきていますが、それが現場になかなか浸透していないといった課題もあるようです。

田川絵理氏(以下、田川) :  多くの企業が顧客/生活者の価値観や社会の変化への対応を求められていますが、テクノロジーの導入や変革自体が目的化し、表層的な顧客体験の刷新にとどまってしまったという課題に直面し、変革プロジェクト立て直しのご支援機会をいただくこともあります。

佐藤晃氏(以下、佐藤) :  私の担当しているテクノロジーの分野から見ると、企業の最大の課題はDXを担当する人材の確保です。せっかく現場へのツールの導入まで漕ぎ着けても、それを運用し、改善していく人材が社内に足りない。できるだけ内製化するよう上から言われても、実際には外部にアウトソースするしかないというケースもよく見られます。

──そうした課題に対して各社はどのように対応しているのでしょうか。電通デジタルはビジネス(BX)、体験(CX)、テクノロジー(TX)という3つの分野から、どのようなソリューションを提供していますか。

松井 : BXというビジネス全体のトランスフォーメーションを担当する身として、たとえクライアント企業の依頼が一部門についての案件だとしても、部分最適だけで終わらせないように心がけています。全体を俯瞰して捉えることがBXだという考えです。

一方、DXが会社全体で取り組む経営アジェンダと位置づけられているケースでは、田川さんの担当しているCX(顧客体験)のトランスフォーメーションは非常に有効ですよね。変革に成功している企業には、自社の顧客層の変化を起点として発想しているところが多いと思います

田川 絵理(たがわ・えり)CXトランスフォーメーション部門CX戦略プランニング第1事業部事業部長、トランスフォーメーションリードルーム エグゼクティブトランスフォーメーションディレクター。電通入社後、消費財や商業施設のブランド戦略、商品開発支援~コミュニケーションデザインまで、マーケティング戦略プランナーとして従事。2016年に電通デジタルに出向し「ファン・マーケティング」の体系化〜導入・運用を推進。現在は「顧客体験(CX)の変革を起点にしたDX推進」をミッションとし『Social Pain Compass』『Fan Farming CX』他の提唱・導入を起点に、企業のマーケティングの高度化・変革を支援。

田川 : 企業にとっての資産であり、組織をまたぐ共通言語となるのは「顧客」です。顧客価値の創造を目的とする自社らしいDXを実現するためにも、顧客である生活者の変化や期待を捉えることが、変革の第一歩であり、われわれが価値を発揮できるポイントのひとつです。このコロナ禍で多くの不便や不自由、不安に直面した生活者は、そうした社会課題に向き合い、いち早く解消しようとする企業やブランドを支持する傾向を強めています。多様化する顧客の課題や価値観を捉えて自社の存在意義を問い直し、パーパスに立脚した顧客体験のあり方を再設計する。より包括的で骨太な変革が求められていると思います。

松井 : 全社的なトランスフォーメーションとなると非常にたくさんのステークホルダーを取り込み、巻き込むプロジェクトになるので、成果を出すことは簡単ではないですよね。

田川 : そうですね。変革を推し進めるにあたって重要なパーパスやビジョンですが、その浸透・定着がなければ、経営層と現場、既存事業と新規事業組織、ビジネスとIT組織が連携できないまま断絶してしまったり、変革そのものの推進や成果の創出を阻んでしまったりするように思います。

松井 : 電通グループは、生活者の実態を把握することで、広告に限らず幅広い分野でクライアント企業の課題を解決してきた文化があって、それは電通デジタルにも受け継がれています。“顧客基点”での全社的なBXをご提案できるのは当社ならではだと思います。

佐藤 晃(さとう・あきら)テクノロジートランスフォーメーション部門CRMソリューション事業部第2グループ。2011年4月新卒でSIer入社。ETLを用いたデータ整備やデータ統合案件を担当したのち、MA/BI案件を担当。2017年12月電通デジタル入社。金融、小売、自動車、教育など業界問わずSalesforce Marketing Cloudの導入、運用案件に従事。Salesforce Marketing Cloudコンサルタント。現在はSalesforceだけではなく、CDPとの連携案件のPM業務をメインで従事。

佐藤 : TX部門は「ツールやシステムを導入したら終わり」ではなく、運用を開始してからのプロセスを重視してソリューションを提供しています。PDCAを回して改善していく過程に寄り添って、「クライアント企業のチームの一員となって伴走する」という体制です。私自身、今担当している金融機関に週2日は常駐して担当者と一緒に、ツールの使い方からシステムの改修の方向決めまで相談しながら進めています。

また、担当領域に関わらず、クライアント企業とダイレクトに接点をもち、マーケティングや事業革新のためのテクノロジー活用を推進しています。ほぼ全てのプラットフォーマーと強固な関係構築ができているため、クライアント企業にとって最善のご提案・実現が可能です。

そこまで深く広く提供できるSIerやコンサルティングファームは少ないので、これは電通デジタルの強みですね。


企業変革を具現化する「3つのX」

──DXを部門ごとの業務改善の課題にせず、企業の総体的な変革、価値を高めるための取り組みと位置づける。そのため、企業のマネジメント層と現場レベルがシンクロしてDXに取り組む──このような体制をクライアント企業で実現させるために、電通デジタルはどのような働きかけをしているのでしょうか。

田川 : 変革プロジェクトのプロセスに、全従業員が変革への意識と自覚、誇りをもって取り組むための”従業員体験”の組み込みも、重要な視点と捉えています。

パーパスやビジョンが形骸化しないために、その策定プロセスにおいても、経営層から現場まで組織間を横断し、できるだけ多くの従業員を巻き込むワークショップスタイルを推奨しています。全従業員が自社の社会的存在価値を問い直す過程・体験を通して、変革の全てにパーパスの息吹が注ぎ込まれるようプロジェクトをデザインしています。それぞれが込める想いやアイデアを発散し、議論がより闊達化するよう、各企業の文化や参加メンバーの特性に応じてフレームワークにも工夫を重ね、ファシリテーションしています。

松井 : 現場が動かなければDXをやりきることはできませんが、現場とマネジメントにはギャップが生まれがちです。そこを埋めるために電通デジタルを使っていただくという意識がわれわれにはありますし、そこに電通デジタルの事業機会があると考えています。マネジメント層が対象になるコンサルティングと、現場が対象になるテクノロジーなどの仕組みやプロセス導入の両方を手掛けることができて、その両方をつなげることができる。これは電通デジタルがお手伝いするDXの強みです。

佐藤 : 私たちTX部門は、そういった変革のプロジェクトデザインを形にするのが仕事です。別の言い方をすれば、自分たちは翻訳家のようなもの。マネジメントと現場の間にも、エンジニアとユーザーの間にも、共通言語というのはなかなか生まれにくいので、その間を、誰にでも分かる言葉で橋渡しする翻訳家です。ビジネス変革や顧客体験をテクノロジーに落とし込むのは、そういう作業ではないかと思います。

松井 : その感覚、すごくよく分かります。ある金融会社では、顧客体験向上のためにコールセンターの改革を行いました。コールセンターはその会社のビジネス上での立ち位置を見直す上でも、顧客のリアルな声を聞ける貴重な場であり、その改善は経営層の課題でもありました。“顧客基点”にビジネス全体を見直すと簡単に言っても、現行業務がある中での改革では足元のビジネス改善といったオペレーション領域までしか手が回らないケースも多いと感じています。経営層が求める“顧客基点”の改革が本質的な意味でどのようなことを指すのか、時にはクライアント企業に常駐し、伴走しながら共通言語化し、全体戦略を擦り合わせていく作業が大きな鍵となりました。

田川 : 顧客と社会への価値創出を基点に、経営と現場、ビジネスとテクノロジーといった組織間の距離を埋め、人と人、人と企業をテクノロジーでつないで「既存事業の高度化」と「自社らしい新事業創造」の双方を具現化する。企業の持続的な成長を、ご支援し続けていきたいですね。

専門人材の不足やビジョン浸透の不徹底、既存事業と新規事業の組織のサイロ化、ビジネスとテクノロジー部門の連携不足など、DXの成果創出を阻む壁は多く存在します。こうした課題に対応するべく、電通デジタルは2022年5月に「ビジネス×体験×テクノロジー」を統合する知見を持つトランスフォーメーションディレクターを集め、トランスフォーメーションリードルームという組織を新設しました。企業変革の唯一無二のパートナーとして、当該領域をより一層強化しています。

電通デジタル自体の組織も変革しながら、企業と顧客、そして社会の持続的な成長に貢献していきたいと考えています。

※この記事は2022年6月7日にBusiness Insider Japan に掲載された記事を転載しています。

https://www.businessinsider.jp/post-254684

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