2022.10.06

Google Cloudでアクセスログデータを活用し、顧客を「見える化」する統合分析環境「Smart Analytics Platform」

情報収集や購買、コミュニケーションの場がよりオンラインへと置き換わる中、データ活用の重要性はますます高まっています。データ活用を事業成果へと結びつけるためには統合分析環境が必要です。本記事では、アクセスログデータ活用に向けた理想的なデータ分析環境を実現する「Smart Analytics Platform」の概要や活用方法を、電通デジタル 江田祐哉が紹介します。

※この記事は、2022年6月に開催したウェビナーを採録し、再構成したものです。

日本企業の半数以上がデータ活用に課題意識

コロナ禍以降、多くのものがオンラインに置き換わっています。情報収集や購買、オンライン会議が一般化しました。動画視聴は1週間で平均2.4時間も増加[1]、インターネットの通信量はコロナ禍前の2倍になりました[2]。オンライン上の行動が増えた分データも増え、企業はその利活用が求められるようになってきました。そのためにはデータ活用のための基盤構築が不可欠です。

しかし、ガートナーの調査によると、日本企業の約60%がデータ活用に課題意識を持ち、そのうち20%が経営課題として認識しています[3]。データを活用したいけれど、実際には十分に活用できず、成果につなげられていないのが実状です。


データ分析環境の「3つの問題とITP規制」に対する解決策

データ活用を行い、事業成果につなげるまでには、3つの問題があります。

1. データを正しく収集できていない
自社サイトはあるが、自社サイトのアクセスデータなどを正しく収集できていない。

2. データが散らかっている
データごとに異なる部署で管理され、まったく違うデータベース環境に蓄積されている

3. 実務に活かしきれていない
データ分析スキルや人的リソースが不足し、活用まで手が回らない

それぞれの問題を解決するひとつの手段として、アクセス解析ツール、データウェアハウス、BIツールがあります。

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アクセス解析ツールはWebサイトのアクセスログを収集するツール、データウェアハウスはデータを集めて整理・集積し、統合化することができ、BIツールはグラフや表でデータをわかりやすく可視化するツールです。

しかし、昨今ではアクセス解析ツール活用に「アンチトラッキング対応」という課題が生じています。

プライバシー保護を目的とした各国の規制強化に伴い、ブラウザ側のITP規制などで計測やトラッキングに制限がかかるようになってきました。3rdパーティCookieが排除され、「ユーザー数が正しく計測されない」「施策の効果数値が正しく測定されない」「リマーケティング広告配信ができない」などの問題が発生しています。

そうしたアンチトラッキングに対し、私たちは次の2つの対応策を提案しています。

1. Cookieのサーバーサイド化
ITPの規制を受けないようCookieに策を講じます。Cookieを送信する際に、例えばサーバーサイドGTMを使用して自社ドメイン配下に設置したサーバーを経由させることで、ITPの影響を回避することができます。

2. 顧客IDに基づく1stパーティデータの取得
Cookieを使わず、ユーザーごとに固有の顧客IDに基づいて、精度の高い1stパーティデータをできるだけ多く収集していきます。


理想的なデータ分析環境を実現する「Smart Analytics Platform」

しかしながら、ツールを導入すれば課題が解決するというわけではありません。データ収集ツール、統合ツール、可視化ツールを連携し、誰でもデータ分析が利用できる環境を作る必要があります。そのための理想的なソリューションが、Googleプロダクト同士を連携させた「Smart Analytics Platform」です。

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○データ収集プロセスでは、New GA360を活用

「データ収集プロセス」ではGA4の有償版「New GA360」を活用し、ユーザーの行動履歴やPV(ページビュー)、コンバージョンなどWebサイトの状況を把握します。

GA4は、会員IDなどの固有IDを用いて、コーポレートサイトや会員サイトなどのWebサイトとアプリをまたいだ”クロスプラットフォーム”でのユーザー分析が可能です。さらに機械学習の機能があり、例えばECサイトで商品を購入しそうなユーザーや離脱しそうなユーザーを予測して広告を配信したり、売上予測を行ったりすることもできます。

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○集積・統合化プロセスでは、BigQueryを活用

「集積・統合化プロセス」には、Google Cloudツールの「BigQuery」を活用します。CRMデータ、広告データ、アクセスログデータなどを1つの”箱”に集約することで、効率的に分析が行えるようになります。さらにIDなどの各データソース共通のキーで統合できれば、新たな切り口での分析が可能となります。つまり、データ集積・統合によって分析の幅が広がり、新しい発見が得やすくなるというわけです。

「BigQuery」はGoogleのデータウェアハウスです。データの処理速度が速く、各種データの連携が非常に簡単などの特徴があります。Google アナリティクスと連携しやすく、クエリをたたいてデータを抽出したり、ストレージする際にも安価に利用できます。また、YouTubeやGoogle 広告、アプリ、オフラインのデータも集積・統合が可能です。何よりもゼロからデータベースをスクラッチ開発する必要がなく、スピーディにデータ分析の環境を構築できることが大きなメリットです。

BigQueryはGoogle Cloud Platformの製品群の1つです。Google Cloud Platformには他にもストレージや機械学習製品などがあり、さまざまな機能が低コストで利用できることに加え、将来的な拡張性・柔軟性においても優れています。

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○可視化プロセスでは、Lookerを活用

最後の「可視化のプロセス」では、BIツール「Looker」を用います。随時指標のモニタリングを行い、KPIの進捗を把握できるので、スピーディにデータの確認が可能になります。

「Looker」には次のような特長があります。

  • 外部データベース(例えばBigQuery)に直接接続できる
  • 「LookML」でデータ定義を統一できる
  • ダッシュボードをURLで共有でき、Slackのスケジュール配信にも対応
  • Lookerから直接外部ツールへのデータ連携・活用が可能
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以上、「Smart Analytics Platform」における3つのプロセス(①データの収集、②集積・統合化、③可視化)は互いにシームレスに連携することができます。そして、ゼロからつくるのではなく、各ツールをうまくつなぐことで、理想的なデータ分析環境を実現できます。


Google Cloud™ プレミアパートナーである電通デジタルが提供する価値

「Smart Analytics Platform」の導入により、少人数での分析基盤構築・運用が可能になり、環境維持費を抑えることができます。また、データ統合によって組み合わせ分析が可能になり、新たな視点・発見が得られ、データの集計や分析にかかる負担を軽減し、効率化できるというメリットを享受できます。

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電通デジタルは、2018年にGoogle Cloud Platform セールスパートナーを取得、2022年には上位資格であるプレミアパートナーに認定されました[4]。Google Cloud を活用したデータ基盤の構築・開発で高い専門性を有しており、多数の実績があります。

皆様の会社においては、すでに使用しているツールがあったり、プロセスの一部分のみに課題があったりする場合もあるかと思います。そうした場合も、最適なプラットフォームを設計し、提案することが可能です。ぜひ、ご相談いただければと思います。


●脚注(出典)

1. ^ "ライムライト・ネットワークス、「オンラインビデオの視聴状況 – 2020」調査結果を発表". ライムライト・ネットワークス.(2020年11月16日)2022年8月19日閲覧。

2. ^ "我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算". 総務省.(2021年7月21日)2022年8月19日閲覧。

3. ^ "ガートナー、日本企業のデータ利活用に関する調査結果を発表". ガートナー(2021年6月10日)2022年8月5日閲覧。

4. ^ "Google Cloud™ プレミア パートナー認定を取得". 電通デジタル(2022年3月3日)2022年8月5日閲覧。

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