2023.07.25

国内電通グループ4社横断チームが支援する、電通未来曼荼羅2023を活用した新規事業構想

これまで、多くのクライアント企業の未来起点の経営戦略立案や新規事業、サービス開発に活用されてきた「電通未来曼荼羅」。2023年4月に改訂を行い、2030年を見据えた中期未来予測ツール「電通未来曼荼羅2023(以下、未来曼荼羅2023)」としてリリースされました。

本記事では、「未来曼荼羅2023」を使って新規事業構想を実施する流れをご紹介します。

※本記事は、2023年5月に開催されたオンラインワークショップを採録し、編集したものです。
※役職や肩書は記事公開時点のものです。

「未来曼荼羅2023」の特長 

「未来曼荼羅2023」は、「人口・世帯」「社会・経済」「科学・技術」「まち・自然」の4つのカテゴリーにトレンドテーマを網羅的に分類し、それぞれのトレンドの概要とデータ、関連トピック、それらが未来にもたらす変化や重要になる視点をまとめた中期未来予測ツールです。

下図のサンプルページでは、「人口・世帯」カテゴリーから「α世代の新たな価値観と教育」というトレンドテーマを取り上げたページを掲載しています。

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トレンドテーマの解説は、「DATA」「Topic」「未来へのヒント・視点」の3つで構成されています。「DATA」「Topic」はすでに現在兆しとして現れているコト・モノをまとめたものです。「未来へのヒント・視点」は、有識者へのインタビューや独自のリサーチ結果を兆しに加味し、将来起こると予測される事象やサービスを紹介しています。


「未来曼荼羅2023」を使うメリット

「未来曼荼羅2023」の活用方法については、以前にわれわれがお手伝いさせていただいた、株式会社ニチレイ様の基幹新事業開発プロジェクトの事例を以下の記事で詳しく紹介していますので、ご一読ください。

  • ニチレイはなぜ、新規事業のアイデア発想に「未来曼荼羅」を活用したのか?[2]

新規事業立ち上げの際に「未来曼荼羅2023」を活用する最大のメリットは、スピード感を持ってプロジェクトをスタートできるということです。不確実性の高い時代において、現在の常識にだけ基づいてアイデアを考えていては、わずか数年先の未来でさえ読み誤る可能性があります。そうならないためには、自分たちの業界の常識にとらわれず、幅広く、スピーディに仮説を考えていくことが非常に重要です。

「電通未来曼荼羅」は「曼荼羅」の名のとおり、幅広いトピックを対象に網羅していることが、ひとつの特徴です。中長期にわたる新規事業やサービスを考えるためには、自社が得意とする領域だけで考えるのではなく、社会とどうかかわっていくかという視点から検討する必要もあるからです。

そのためにも、まずは「未来曼荼羅」にひととおり目を通すだけで、検討すべき現状を把握できる内容になるように、トピックの取捨選択を行っています。

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「未来曼荼羅チーム」が、新規事業の成功まで一気通貫で伴走する

2023年より、電通デジタル、電通、電通コンサルティング、ITIDの国内電通グループ4社で横断組織を結成し、電通未来曼荼羅を活用した新規事業開発への取り組みを開始いたしました。VUCA時代に新規事業のグロースを成功させるには、探索、構想、計画、実行のシームレスな接続が重要です。

新規事業の探索から実行までを一気通貫で切れ目なく支援するために、「チーム未来曼荼羅」には専門性の高いテーマを深掘りしながら世の中全体を俯瞰している多数のメンバーが集まり、緊密に連携し、プロジェクトを進めています。

探索・構想フェーズでは、潜在課題の発見、アイディエーション、課題解決の方向性の策定を行います。計画フェーズでは、新規事業を世の中に出していくために必要となる業務の定義、ITの実装、コストの算出、組織形態、詳細な事業計画など、経営会議をしっかり通せるような経営計画の資料を作るところまでサポートをいたします。実行のサポートにおいては、マーケティングに限らず、業務のPDCAを回して、業務の代行も行っています。

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「電通未来曼荼羅2023」を活用した新規事業構想体験ワークショップレポート

それでは「未来曼荼羅2023」を使って、どのように新規事業の構想を進めるのか。
実際に体験していただくために行っているのが、今回のワークショップです。
今年は300名近い応募をいただき、オンラインとオフラインで体験ワークショップを行いました。

ワークショップの概要

高橋:参加者の皆様は、いくつかのグループに分かれていただき、「未来曼荼羅2023」を活用して課題を探索したり、仮説を作ったりすることを通じて、「未来曼荼羅2023」の活用方法について理解を深めるためのワークショップを行います。各グループに「チーム未来曼荼羅」のメンバーが1人ずつ付き、テーブルファシリテーターを務めます。

ワークショップは前半、後半の2部構成で行います。

前半は約40分です。ディスカッションテーマ(後述)を基に、「未来曼荼羅2023」を参照しながら①②③のステップ(下図参照)で未来の社会への影響が大きそうなトピックを推測し、生活者の行動と気持ちがどう変わっていくかを考えていただきます。

後半は10分です。生活者の行動や気持ちを基に、生活者に愛されるためのアイデアを考えていただきます。前半と後半の間に、今回のワークショップでは割愛した作業の紹介や、後半で行うアイディエーションのコツなどを少しお話しします。

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ワークショップ前半:未来の社会を見立てる

高橋:ディスカッションテーマは、「駅ナカのショッピングモールはどうしたらもっと愛されるか?」です。下記の設定を踏まえて、この仮想クライアントA社に関わる未来の見立てを行っていただきます。

仮想クライアントA社の設定、市場環境、課題感は下図の通りです。

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※ここでグループに分かれてワークショップ前半を実施(本記事では割愛)

未来視点による自社資産のインプット

加形:前半のワークショップが終了しました。実際の「未来曼荼羅2023」を使ったコンサルティングでは、前半のワークショップの後に「自社資産のインプット」という作業を実施していますので、その内容を簡単に紹介します。

「自社資産のインプット」の作業を行う際に大事なのは、思考の順番です。多くの場合、どうしても「今の自社で出来そうなこと」という意識が先にあって、「では未来で何が出来るか」と考えがちです。しかし、それでは本当の意味での新規事業開発には繋がりません。まず未来はどのような世界なのか見定める。その上で、その未来において自社では何をするべきかを考える。このような順番で考えていくからこそ、少し先の未来に応じたアイデアを出すことができるのです。

メンバー全員がきちんと「未来視点」になったところで、様々な部署の方たちにインタビューを実施して、現在の会社の資産や強みを見える化していきます。この手順を踏むことで、自社資産がただ調べるよりも何倍もの輝きを持って見える化されるはずです。

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以下の図は、見える化の作業の際に使うFMT(フォーマット)です。「ひと」「もの」「かね」「ちえ」「そしき」「こきゃく」について、インタビューを行います。

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続いて、自社資産を見据えながら、デスクリサーチや有識者ヒアリングを行い、「半歩先のチャンス」になりそうな未来のトピックを深掘りしていきます。

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さらに、見つけた「半歩先のチャンス」は、生活者インタビュー、有識者へのヒアリング、ディスカッションを繰り返し、より解像度を高めていきます。このプロセスを繰り返し行うことで、仮説だけでもかなりの数が出てくるはずです。

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なお、今回のワークショップでは、ここまでお話ししてきた自社資産のインプットの作業は省略して、下記の設定をクライアントA社の自社資産とします。

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ワークショップ後半:アイディエーション

高橋:ワークショップ後半では、前半で見立てた未来の社会と、クライアントA社の自社資産の情報を基に、アイディエーションを行います。この際に重要なのは、質より量です。様々なアイデアサポートツールを使いながら100本を目標にたくさん出していきます。

出てきたアイデアは、最終的にアイデア評価チェックリストで絞り込み、確度の高いアイデアをコンセプト化するという流れで進めます。

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アイディエーションのヒント

高橋:「普段アイデアを考える業務に就いていない人が、100個も考えられるものなのか? 」と思われるかもしれませんが、アイディエーションの際には、様々なツールやテクニックなどのアイデア刺激剤を使って、発想を広げたり、深めたりできるように工夫しています。

電通グループはアイディエーションメソッドを使いこなす会社です。実際のプロジェクトでは課題に合わせたメソッドで支援いたしますが、本日はそのほんの一部ですが、ご紹介いたします。

刺激材を使ったアイディエーション方法

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アイデア発想フレームワーク

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ワークショップ後半を実施後、グループごとにアイデアの発表を行いました。

本記事では割愛します。

生活者に愛される商品やサービスを創造し、クライアントの事業を成功させるという目標達成まで伴走できるのが、未来曼荼羅チームの強みです。新規事業の立ち上げをお考えの際は、まずわれわれにお声がけください。


脚注

[1] 近未来の事業構想を行う発想支援ツール「未来曼荼羅」とは何か?
電通デジタル加形拓也に聞く10の質問
https://www.dentsudigital.co.jp/knowledge-charge/articles/2020/0515-000427

[2]ニチレイはなぜ、新規事業のアイデア発想に「未来曼荼羅」を活用したのか?
https://www.dentsudigital.co.jp/knowledge-charge/articles/2020/0616-000503

[3] 未来曼荼羅を活用した新規事業構想を体験できるワークショップレポート
https://www.dentsudigital.co.jp/knowledge-charge/articles/2022/0803-miraimandara

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