大西:ECは構築して終わるものではありませんし、成長させていくためには当然ながら日々の運用も重視しなければなりません。
しかし、運用にリソースが取られてばかりでは、顧客コミュニケーションや商品企画など、ほかの重要な業務にリソースが割けなくなり、元も子もなくなってしまいます。そこでぜひ、Shopifyの運用上の強みについてお聞かせいただきたく思うのですが、いかがでしょうか?
田村:まず、Shopifyアプリ導入の手軽さがあげられます。たとえば、どこかのECサイトがMA(マーケティングオートメーション)ツールを導入するとなると、一大プロジェクト化してしまいますよね。その点、Shopifyは「ちょっと新しくリリースされたShopifyアプリのMAツールをつないでみようか」というぐらい、ハードルがほぼないままにマーケティング施策が始められ、PDCAを回すことができます。ほかにも、「マウスをボタンに重ねたときの表示を改善したい」といった細かな要望も、パッケージのショッピングカートだとかなり費用がかかってしまいますが、Shopifyはアプリさえ出ていればすぐに改善できる。運用も経験した立場として、そこが一番の魅力だと思いました。
大西:数百万円もかかったカスタマイズとなると、作ったら資産にしなければいけないため、1つの機能追加ですらとても手軽には着手できませんし、作ったからには例え効果が出なくても、やめるにやめられなくなってしまう。そうやってカスタマイズを重ねていくと、減価償却のコストもずっと上がり続けていってしまいます。一方で、Shopifyはシステム自体だけでなく、ほとんどのアプリも月額制なのでチャレンジしやすいですし、不要と思えば外せば良いだけなので、「やめる」という選択肢があることもメリットだと思います。
髙田:いろんなディベロッパーがアプリを開発しているので、アプリ同士で互換性がないものもあることには少し気を付けないといけませんが、アプリの説明文に「このアプリとは互換性があります」と書かれていますし、互換性のあるアプリはどんどん増えてきています。説明文で確認しながら、いろいろと試していくといいですね。
田村:Shopifyは毎週のようにリリース情報が出ているほどなので、その展開の早さにワクワクしますし、期待も大きいです。日本の業態にマッチしたアプリも、これからますます増えていくでしょうね。
大西:EC運用においてもShopifyはアプリで手軽にチャレンジができ、スムーズにPDCAが回せられるとなると、今後EC担当者の仕事が改善していくのではないかと感じました。EC担当者の仕事を振り返ると、ツールベンダーを探しては、導入するための改修をして――という作業に年中手を取られているように思います。でも、ECは良い商品と、良いコミュニケーションが大事なはずなので、それは違うんだろうなと。お客様に喜んでいただくための仕事に力を注げるプラットフォームを、皆さんが求めているのではないでしょうか。ひたすら登録作業に従事しているスタッフの業務も、できれば改善したいと思っているはずです。
髙田:私も、1日100商品を毎日登録していく作業に従事した経験がありますから、同感ですね。
大西:これからはEC事業に携わる皆さんが、お客さまのための仕事に向き合えるような仕組みが必要なんだと思います。
田村:お客様とどういうコミュニケーションを取って、何をどうやって売って、いかに喜んでいただけるか――それがECの仕事だと再認識しないといけないですね。
大西:まさにおっしゃる通りで、プラットフォームやショッピングカートの改修ばかりを続けることがECの仕事ではありません。だからこそ、「ECの仕事」という観点からしても、Shopifyという中核システムに対して自分たちのやりたいことや欲しい機能が手軽に備わっていく仕組みは面白いと思うのです。Shopifyのやり方やスタンスに合わせて自社の業務を設計でき、そしてShopifyを使ってお客様に喜んでいただくという発想が持てる企業であれば、Shopifyを使って着実に成功していけるのではないかと思いますね。