普段、Web解析のプロが、どのようにGA4を使って分析しているのか、知りたい人も多いのではないでしょうか。
本記事では、HAPPY ANALYTICS 小川卓氏と電通デジタル 馬場健至が、電通デジタルのオウンドサイトをリアルタイムで解析し、GA4を活用した課題の発見方法と改善策の考え方を紹介します。
普段、Web解析のプロが、どのようにGA4を使って分析しているのか、知りたい人も多いのではないでしょうか。
本記事では、HAPPY ANALYTICS 小川卓氏と電通デジタル 馬場健至が、電通デジタルのオウンドサイトをリアルタイムで解析し、GA4を活用した課題の発見方法と改善策の考え方を紹介します。
※本記事は、2022年11月に開催したウェビナーの一部を採録し、編集したものです。
馬場 : まず今回のオリエンシートは以下のとおりです。
依頼内容は「セミナーLPの改善施策を提案してほしい」。最近、GA4関連のセミナー開催および参加者が多いので、リード獲得数を増加させる改善施策が欲しいということです。
対象LPは、私、馬場が講師を務めるGA4セミナーのLPで、申し込みの募集期間は約1カ月です。
集客施策は主に2つ。メルマガと、関連ページに表示される誘導ポップアップです。今回、広告は配信していません。
依頼主が具体的に知りたいことは、「対象LPの集客数」「スマートフォンとPCの集客の差」「対象LPのパフォーマンス」「コンバージョンまでのユーザーの動き」です。
馬場 : 解析を始める前に気をつけるポイントがあります。「いきなりGA4を開いて見ない・先に見るのはWebサイト」です。
すぐにGA4を見てもよく分からないことが多いです。先にWebサイトと対象のWebページを見て、ユーザーの気持ちになってWebサイトやWebページを見ておくと、GA4でデータを見る際に理解が深まります。
馬場 : では、対象のLPを見ていきましょう。私が気になったのは、タイトルとファーストビュー画像の順番です。逆の方が良かったかなという感じもします。画像のテキストも、もう少し引きがある言葉でも良いかもしれません。
小川 : このLPへの集客チャネルは、メルマガと他のGA4関連記事ページですね。GA4関連記事ページにポップアップを出して、LPへ誘導していたのですね。
馬場 : そうです。
小川 : 集客の内訳と、どちらがより成果を出しているのかを、GA4で見てみたいです。他に、Webサイト内からLPへの流入経路はありますか?
馬場 : グローバルナビゲーションに「EVENTS & SEMINARS(イベント・セミナー)」があり、ここからもLPへ流入する可能性があります。
小川 : セミナーの申し込みを増やす施策は、大きく分けて2つ。LPへの集客を増やすことと、LPのコンバージョン率を上げることです。この両方の観点で見た方が良いでしょう。
LPへの集客を増やすには、LPにたどり着きやすくするために、他のページをどのように直せば良いのかを考えます。コンバージョン率を上げるには、LP自体を改善します。
この2つの観点を考えながら、GA4での分析に着手していきます。
馬場 : ではここからはGA4を使って分析を進めます。「探索」の「自由形式」を開いて、次のディメンションと指標を追加します。
[ディメンション]
[指標]
小川 : 「セッションのデフォルトチャネルグループ」にフィルターを適用して、LPへの流入の内訳を調べてみると、ほぼメールです。ただ、エンゲージメント率はメールが少し低めです。
「セッションの参照元/メディア」を表示してみると、メールのメディアは「news letter」と「operational mail」の2種類あります。
「operational mail」の方が、エンゲージメント率や滞在時間など、効果が良いようです。この2つがどのように違うのかは、実際に配信したタイミングやメールの内容を別途確認する必要があります。
馬場 : なぜ「operational mail」の効果が良いのかが分かれば、改善施策を立案できますね。
小川 : 次に、デバイスごとの流入を見てみましょう。「モバイルトラフィック」「desktop」のセグメントをかけて比較してみると、どうでしょうか?
馬場 : 圧倒的に「desktop」が多いですね。
小川 : セミナー申し込みなので、仕事中に申し込んでいるケースが多いのかもしれません。あと、リモートで働いている人が多いということ影響があるかもしれません。
小川 : さらに、メールとそれ以外のチャネルの流入の割合を見てみましょう。集計期間中、このLPに来訪したのは全部で約1,300セッション。そのうち、直接LPに来訪したのが約980セッション。ということは全体の3分の2がメールからの流入で、残りの3分の1がWebサイト内の他のページからの流入です。
Webサイト内の改善施策を考えると、サイト内からの誘導をもう少し強められて、メールと同じぐらい集められたら、さらにセミナー申し込み数が増えるかもしれません。
小川 : 次にWebサイト内のどのページからLPに流入しているのかを分析します。「経路データ探索」を使って、「終点」でLPのページタイトルを選択します。
Webサイト内では、「イベント・セミナー」からの流入が一番多いですね。その次が他のセミナーのLPです。「イベント・セミナー」はそれなりのボリュームがあります。これをどうすれば増やせるかは、Webページを見ながら考えてみなくてはなりません。
小川 : 先ほどの分析では、LPへの流入の3分の1がサイト内からの流入でした。LPへ流入している記事ページの一覧を見ると、GA4やGTM関連の記事ページが多いですね。
各ページからの流入数を少しずつ増やせれば、合計で100~200はLPへの流入を増やせそうです。施策としてはポップアップがいいのか、記事本文に誘導文やバナーを入れる方法がいいのかは、A/Bテストで試してみてもいいと思います。
1つひとつのページからの集客は少なくても、積み上げていくと、「イベント・セミナー」と同じぐらいの集客数は稼げるのではないでしょうか。記事を見てLPに来訪する人は、より成果につながりやすいのではないかという仮説が立てられます。
小川 : 次に、このレポートに対して、「お申し込みありがとうございました」というページタイトルでセグメント(申し込み完了)を適用します。すると順位が変わります。先ほどの流入元ページ一覧と比べてみて、順位が高くなったページが「よりコンバージョンしやすい流入元ページである」と言えます。
馬場 : なるほど、そうですね。
小川 : あとは、先ほど作ったページタイトルのレポートから、いったんフィルターを全部外して、「申し込み完了」セグメントを適用します。すると、申し込んだ人がよく見ていたページのランキングが出てきます。この数値と、申し込みしなかった人、または全体の数値をダウンロードして、それぞれ割り算をすると、各ページの貢献率の数値を出せます。
このときに貢献率を比較する対象とすべきは、他のセミナーLPや記事ページです。相対的に貢献率が高いページに何か特徴があれば、それを参考にして他のページを改善していきます。
小川:次に、「経路データ探索」で、LPと他のページの行き来がどれぐらいあるかを見てみましょう。行き来の数はそれなりに多そうです。他のセミナーのLPをけっこう見ていますね。行き来をしているということは、ユーザーはどのセミナーが自分に合っているかを知りたいのだと思います。
そのように仮説を立てると、LPに掲載すべきは比較表です。GA4のセミナー一覧を作って、何が学べるか、初心者向けか中級者向けかを一覧で比較できるようにすると良いかもしれません。
小川 : 「イベント・セミナー」を見てみましょう。 終了しているセミナーは、「終了」という表示にした方が良いかもしれません。「受講したくてクリックしたのに終了していた」となると、悲しいかなと思いました。
馬場 : 終了したセミナーページはそこで行き止まりになっていて、そのまま離脱されてしまいそうなので、対策が必要ですね。
小川 : そうですね。各ページの一番上に「このセミナーは終了しました」というテキストを入れて、「最新のセミナーはこちら」いうリンクを入れると良いですね。
小川 : 今回は都合により見られませんが、スクロールの深さとコンバージョンの関係を見たいです。申し込みフォームは常に右上に表示されているので、申し込もうと思えば、すぐに申し込めます。ユーザーは、概要のテキストを読んでいるのか、概要を読むと申し込み率が上がるのかは、気になるところです。経験上は、概要を読んで判断している人が多いので、概要をきちんと入れておくのは大事です。
あと、これまで私が実施してみて効果があった施策は、繰り返し同じセミナーを実施する場合は、前回の参加者の感想や、アンケートの回答、満足度やNPS®のスコアを入れておくと良いです。そうすると、納得して申し込んでいただけます。
馬場 : ありがとうございます。けっこうたくさん改善施策が出ました。
馬場 : 時間を区切ってリアルタイムに分析をしてみましたが、けっこう改善示唆が出てきました。GA4だけで分析するというより、GA4を見ている時間とLPを見ている時間が半々ぐらいでした。
小川 : GA4には、他にも細かいレポートがたくさんあります。さらに深掘りをする場合、例えば、メルマガごとの違いの理由を深く分析してみたり、コンバージョンしたユーザーがどのページを見ていたかを分析したりすれば、もう少し改善示唆が出てくると思います。
基本的にはページを見て、経路レポートを見て、またページを見て、原因を追究して仮説を立て、改善示唆を出していくという流れです。
馬場 : 分析して終わりではなく、しっかり改善して、どう変わったのか、効果はあったのかを調べるまでが分析です。今回の改善示唆をフィードバックして、改善した結果どうなったのかを次回、半年後や1年後に分析してみたら面白いのではないかと思います。
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