2023.05.17

SnowflakeとCDPは、どう違うのか?

5つのポイントで比較してみた

顧客基盤、分析基盤を構築するにあたって、Snowflakeを選択肢として検討する企業が増えています。その際によく聞かれるのが、「SnowflakeとCDPはどう違うのか?」という質問です。実際、ここ数年ツールが進化を続けた結果、各製品の機能やカバー領域が重複し始めています。本記事では、電通デジタル 白髭良がCDPとSnowflakeを比較しつつ違いを解説します。

なお、「CDP」という言葉は、「ソフトウェアとしてのCDP製品」を指すケースもあれば、「ITインフラとしてのCDP(顧客基盤)」を指すケースもあります。本記事では、ソフトウェアとしてのCDP製品を「CDP」、ITインフラとしてのCDPを「顧客基盤」と呼ぶこととします。

※この記事は、2023年2月に開催されたウェビナーの内容を採録し、編集したものです。
※役職や肩書は記事公開時点のものです。

CDPとSnowflakeの特長

白髭良 : CDPは、さまざまな顧客データを統合・活用するための製品です。顧客基盤や分析基盤として利用することで、オンライン/オフラインで一貫した顧客体験を提供することが主な目的です。

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一方、Snowflakeは元々、分析基盤を構築するために作られたクラウド型のデータウェアハウスとして誕生しました。一番多い活用方法はビッグデータの分析基盤です。

Snowflakeは、近年さまざまなワークロードが追加されたことにより、Data Cloudへと進化しています。Data Collaboration、Data Engineering、Applicationといったワークロードを使うことで、顧客基盤を構築することも可能です。

SnowflakeとCDPは、どちらも顧客基盤、分析基盤として活用できます。では、その違いは何なのか、比較しながら順番に説明します。


①カバー可能なシステム領域と料金体系

データを蓄積、管理するプラットフォームに求められる領域は、主に データレイク、データウェアハウス、データマート の3つです。

  • データレイク:ローデータを含むあらゆるデータを蓄積
  • データウェアハウス: SQLで加工できるような状態にしたデータを管理
  • データマート:特定の施策や分析に利用できるデータとして構築

Snowflakeはすべてのデータ領域をカバーできる製品仕様、料金体系になっています。CDPは、データレイク、データウェアハウスの領域はカバーできるものの、場合によっては費用が高額になるケースがあります。

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Snowflakeはストレージとコンピュータリソースが分離されたアーキテクチャになっていて、それぞれ必要な容量だけを従量課金で利用することが可能です。

CDPは固定費用の料金体系の製品が多いです。ストレージとウェアハウスのサイズが固定化されているので、例えばストレージは大量に利用するが、ウェアハウスのサイズは少し抑えたいといったケースだと、少しもったいない使い方になります。


②データベースの処理方式

SnowflakeはOLAP(オンライン分析処理)、CDPはOLTP(オンライントランザクション処理)です。大まかに言うと、Snowflakeはビッグデータの分析処理を得意とし、CDPはリアルタイムに発生しているデータの同時処理を得意としています。

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まだ一般公開されてない機能(2023年5月8日時点)ですが、Snowflakeの新ワークロード「ユニストア(Unistore)」は、OLTPにも対応したデータベースです。これが実現すると、SnowflakeはOLAP/OLTP両方に対応した製品となり、これまで以上に利用シーンが拡大していくと予想されます。

システム領域、料金体系、データベースの処理方式、これらを比較すると、ビッグデータの蓄積、分析処理はSnowflakeの方が得意と言えます。


③外部システムとの連携

CDPは幅広くさまざまなツールとの連携を想定しているので、Snowflakeよりコネクターの数が多いです(コネクターの数は製品により異なります)。

Snowflakeは、BIやAIなどとのコネクターは豊富ですが、MAや広告系プラットフォームとのコネクターは、あまり用意されていません。主な外部システムとの連携方法は、以下のとおりです。

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ただし、大事なのは、自社が連携したいシステムと最適な方式、頻度で連携できることです。コネクターの数や連携方法でSnowflakeとCDPを比較するのは、それほど有効ではありません。


④外部データの活用

CDPでもSnowflakeでも、3rdパーティデータを購入してシステムに取り込むことはできます。

CDPは、外部データの活用にデータクリーンルームを利用できるベンダーも出てきています。大手のプラットフォーマーのビッグデータを活かせる点は、非常に魅力的です。

対してSnowflakeは、独自のマーケットプレイスでデータの売買が行えます。グローバルで1,300点以上ものデータセットが公開されていますし、日本でもデータを公開する企業が増えてきています。

企業により必要なデータが異なるため、外部データの活用についてSnowflakeとCDPを単純に比較することは難しいと言えます。


⑤顧客データの統合・管理・可視化

顧客データの統合・管理・可視化は、SnowflakeよりCDPの方が得意です。CDPは顧客基盤の構築に特化した機能を複数持っているためです。製品によっては、顧客の行動データなどをリアルタイムに取得して、マーケティング活動に活かせるツールも増えてきています。

また、改正個人情報保護法に則って同意管理を運用するにあたっては、CDPの多くがシェアの高いCMP(同意管理プラットフォーム)と連携する機能を持っています。CMPが標準装備されている製品もあります。


ユースケースに応じた製品活用方法

これまでの説明を踏まえ、SnowflakeとCDPをどのようなユースケースで活用していったら良いのでしょうか?

まずは、Snowflakeで分析基盤を構築するケース。ビッグデータの蓄積・管理・分析が得意なSnowflakeの一番スタンダードな使い方です。

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続いて、CDPで顧客基盤を構築するケース。CDPが得意とする顧客データの統合・管理・可視化を活かす、一番スタンダードな使い方です。

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次に、Snowflakeで顧客基盤を構築するケース。データ量が多くない企業が、スモールスタートで始めたい場合に最適です。

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それから、SnowflakeとCDPを併用して運用するケース。2つの製品を導入するコストは発生しますが、Snowflakeで分析基盤を、CDPで顧客基盤を構築することで、互いの良いところを活かせます。

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最後に、導入済みのCDPに加え、Snowflakeを追加で導入するケース。処理の重い分析やデータをSnowflakeに移行することでパフォーマンスを向上させ、コストを抑えることができます。最近一番ご相談が多いケースです。

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基盤構築において最適な製品を選定するために

顧客基盤や分析基盤を構築するにあたり、最適な製品を選定するには、まず課題を整理し、解決手法をまとめ、テーマ別に分けます。

続いて、データを用いてどのようなことを実現したいかを検討し、テーマに沿って製品への要求事項をまとめていきます。

要求事項をまとめたら、導入候補の製品を対象に実現可否を確認し、ライセンス費用や導入費用を検討しつつ、適切なツールを選定していきます。

その結果、自社に最適な製品が何なのか判断する、という方法をおすすめしています。

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Snowflakeの導入、活用、運用に興味のあるお客様は、こちらのページからご連絡ください。

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