2023.06.09

ラジコ流 CDP活用の極意

KARTE導入1ヵ月でスピード実現したデータ連携施策とは

CDP活用を成功させるカギは「クイックウィン」。

月間ユニークユーザー850万~900万人を超えるラジオ配信プラットフォーム「radiko(ラジコ)」では、CDPとKARTEを活用してマーケティング施策を実践し、KARTE導入1ヵ月でCRMの成果を上げました。

本記事では、CDP・KARTE活用のリアルなストーリーや、PDCAの高速化、事業成長を加速するための具体的なポイントを、株式会社radiko プロダクトオーナー 帆苅晃太氏、株式会社プレイド PMM 矢ノ目亮氏、電通デジタル コンサルティングマネージャー 羽田裕哉が紹介します。

※本記事は、2023年4月に開催されたウェビナーを採録し、編集したものです。
※役職や肩書は記事公開時点のものです。

ラジコ流CDP活用の極意

課題はユーザーの離脱防止と復帰促進

帆苅 : 当時、ラジコCDPには、2つのログが入っていました。1つが聴取ログ、もう1つが行動ログです。

「聴取ログ」は、音源再生中、1分に1回の間隔で発火されるログ、「行動ログ」は、アプリやWebサイトのユーザー行動をトリガーに、フロント側から発火されるログです。この2つのログは、共通のIDをキーにして自由に組み合わせて活用することが可能です。

カスタマジャーニーの中で、ユーザーはさまざまな理由で離脱します。KARTEを導入することにより、ユーザーの離脱防止と復帰促進を積極的に行いたいと考えていました。

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離脱を防止するには、アプリ内の体験を継続的に改善する必要があります。一方で、離脱してしまったユーザーに復帰してもらうには、アプリ外の体験を継続的に改善しなくてはなりません。

ラジコのCDPのデータを使って、離脱防止と復帰促進のためのCRM施策を実施したいと考え、KARTEを導入しました。

KARTEを導入した3つの理由

KARTEを導入した理由は、主に3つあります。

1つ目は、CDPとの自動連携です。CDPでセグメントを抽出して、施策を実行して、分析をする。これを簡単に自動連携して、さまざまな施策をライトに試したいというニーズにマッチしていました。

2つ目は、人的リソースです。弊社は、社内リソースが乏しかったため、SDKの実装、CDP連携、施策設定支援などのサポートが充実していてほしいという希望がありました。

3つ目は、モチベーションです。CRM施策は、長く粘り強く取り組まなくてはなりません。どうせなら、使いやすくてストレスがなく、使うたびに気分が上がるUXであってほしいと思っていました。

これらを軸に、候補に挙がった3社の製品を比較検討した結果、すべての項目で高評価だったKARTEに決定し、導入を進めました。

KARTEを使ったCRM施策(1)PUSH通知施策の自動化

KARTEを導入してまず、CDPとKARTEを自動連携し、3種類のPUSH通知を自動化しました。

1つ目のPUSH通知は、レコメンド訴求です。ユーザー一人ひとりに「おすすめ度」が高い番組を、PUSH通知でレコメンドできるようにしました。

2つ目のPUSH通知は、最新回訴求です。ラジコの番組には、1週間の聴取期限があります。期限内に放送回を聴き逃さないように、PUSH通知でお知らせする仕組みを実現できました。

3つ目のPUSH通知は、完全聴取訴求です。ラジコの番組は、聴取を開始した番組は、24時間を経過すると聴取できなくなる制限があります。そこで、聴取を中断したユーザーを抽出し、期限が来る前にPUSH通知でお知らせする仕組みを作りました。

ただ、3つのPUSH通知をたくさん打ち続けると、PUSH通知をオフにされてしまいます。そこはユーザーの属性ごとに配信頻度のメリハリをつけ、ユーザー体験を損なわないように配慮しました。こうした頻度設定も、KARTEなら簡単に実現できます。

この施策によってどれぐらい効果が出たのか、第1回の施策後に調査した結果が以下の図です。

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オレンジ色で書いてある部分が、PUSH通知を送ったことで、統計的に有意な効果が見られたKPIです。各KPIに対して一定の効果が得られましたが、満足はしていません。現在も、より高い効果を目指して、KARTEで改善を実施中です。

KARTEを使ったCRM施策(2)ラジコサーベイ(β版)

ラジコサーベイとは、ラジコアプリ内で簡単なブランドリフトアンケートや実行動計測を行い、ラジコオーディオアドの効果を計測するサービスです。

CDPでラジコオーディオアドの接触/非接触ユーザーの抽出を行って、KARTEに連携し、KARTEのアンケート機能を利用してブランドリフト調査を実施します。調査の結果は、CDPに戻して集計を行い、クライアント(広告主)に提示しています。

KARTEのアンケート機能を使って実現しているのですが、若干複雑なワークフローになっています。設計運用に関しては電通デジタルに支援をお願いしたことで、スムーズに実行することができました。


サービスグロースのためのデータドリブンPDCAサイクルのポイント

「使いやすい×本質的」のバランスの良いKPIを定義する

羽田 : データドリブンPDCAで、CDPのデータを活用してサービスをグロースさせていくために、まず大事なのはKPI設計です。

ラジコ様では、「開封率」「CV率」「翌月継続率」「MAU」などのKPIを精査していますが、使いやすさと本質的かどうかは相反する関係性にあります。PDCAをうまく回していくためには、私たちが「アドホックKPI」と呼ぶバランスの良いKPIを設定する必要があります。これがラジコ様支援の根幹の考え方です。

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このアドホックKPI設計の事例を挙げます。例えば、「翌月継続率」は「MAU」につながる非常に重要なKPIです。では、どうすればユーザーが翌月継続してくれるのか、分析したところ、「1ヵ月の聴取日数」がもっとも影響していることが分かりました。

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「4日」のところで明らかな変曲点があります。つまり、「1、2、3日」の人を「4日」まで成長させることが、MAUをグロースさせる重要なポイントだということです。そこで「月4日聴取率」をアドホックKPIと定めました。

ただ、このようにアドホックKPIを定義するには、筋の良い仮説と地道なデータ分析が必要です。

初期仮説は、社内でプロダクトのことをよく知っている方から出していただくことが近道です。ラジコ様で言えば、帆苅様にあたります。その上で、データ分析をして仮説が正しいか検証し、良いアドホックKPIは何なのかを決めていきます。

今回のプロジェクトでは、仮説作成からデータ分析、アドホックKPIの策定まで、電通デジタルでご支援しました。

CDP連携は目的ではなく手段

CDPを活用してサービスをグロースさせていくための、次のポイントは、CDPとKARTEのデータ連携です。

ラジコ様では、CDPのリコメンドデータをKARTE側に連携して、リコメンド配信するというデータフローになっています。

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CDPからKARTEへの連携にはちょっとした注意点があります。シンプルな連携はスムーズにできますが、ロジックが複雑になると次第に連携コストが上がってくるという点です。

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例えば、①のレコメンドはパーソナライズされた訴求で、かなり効果がありました。ここからさらに効果を上げるために、少しロジックを改善した②や③のレコメンドを実施しようとすると、連携のコストは増えてくる一方で、効果はだんだん薄れてきます。

CDP連携は、目的ではなく手段です。KARTE自体、とても優秀なプラットフォームなので、CDP連携をしない施策でも十分な効果が出る可能性もあります。むやみにデータ連携するのではなく、ユーザー視点で求められているポイントにフォーカスするように心がけたいところです。

スピーディに効果検証を行えるKARTEの便利な使い方

最後に、効果検証に使えるKARTEのTipsを1つ紹介します。

ABテストで差が出なかったとき、次の打ち手がなくて手詰まりになるという経験はないでしょうか? KARTEとCDPのデータと掛け合わせて、さらに細かい分析をすることはできますが、データ連携に工数がかかります。

そのような場合は、KARTEの配信フィルターでコントロール群を作れば、データ連携をせずに、CDP側で簡易分析が可能となります。

例えば、KARTE側にユーザーIDを飛ばして、IDがaで始まるユーザーをフィルターで配信から除外し、コントロールグループを作れば、CDP側でも分析が可能になります。クイックに傾向の分析をしてみたいケースにご活用ください。

今回紹介したような配信設定の工夫をしておくと、KARTE、CDPの両方で効果検証ができ、PDCAのスピードが向上します。KARTE導入済みの方はぜひお試しください。


CDPとMAを活用してイメージどおりの施策を実行する方法

矢ノ目 : 今回の取り組みでKARTEが担った役割は、CDPのデータを柔軟に簡単に施策に連携するという部分です。

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CDPとKARTEのようなマーケティングツールを連携する際には、スキーマ調整の制約が大きな障壁となりがちです。

例えば、必須のデータ項目が複数存在したり、カラム名に指定があったり、データの加工に工数がかかったりするなどがよくあるパターンです。

その点、KARTEは、スキーマの制約を限りなく排除する仕様になっています。ユーザーを一意に特定できるキーと紐づいたデータであれば、ひとまずKARTEにつなぎ込んでいただくことで、あとはKARTE側で自由にデータの整形が可能です。

KARTEの強み(1)データ連携の自動化

CDPからデータ連携・活用する上で、KARTEの強みを3つ、ご紹介します。

まずはデータ連携の自動化です。ジョブフローという機能で、一つひとつのデータ連携を組む仕様になっています。設定にコーディングは不要で、画面操作のみで完結できます。

KARTEの強み(2)画面操作で完結するターゲティング

次は、施策の対象ユーザーのターゲティングを、画面操作だけ、つまりノーコードで完結する仕組みです。

いったん全てのユーザーデータを網羅したマスターリストを組みます。続いて、PUSH通知を配信したいメンバーの条件を画面上で指定します。このような操作で、ゴールド・シルバー会員にのみ、このPUSH通知を送るというような、配信リストの準備ができます。

KARTEの強み(3)画面操作で完結する施策設定

続いて、作成した配信リストに対して、PUSH通知を作って配信する流れ、そこも全てノーコードで対応できるようになっています。 PUSH通知の文面にユーザーごとの値をもつ変数を埋め込むことも可能です。


まとめ

CDP/MAを活用してイメージどおりの施策をスピーディに実行するには、まずスキーマの制約を極力抑えた上で、データ連携をなるべく簡単な設定で自動化してしまうことが大事です。

考えた施策が最初からズバリ的中、ということはめったにありません。施策の効果を上げるには、ノーコードでターゲティングできたり、直感的な操作でクリエイティブが作れたりといった、検証学習サイクルをよりスピーディに回す環境の構築が重要となります。

羽田 : CDPのデータを活用したマーケティング施策の実施をお考えの方、KARTEの導入をご検討中の方は、以下のお問い合わせフォームからご連絡ください。

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