2024.04.26

本当に重要なデータを見極め、クリエイティブとデジタルを融合する

Brazeで実現するマーケティングトランスフォーメーションとは

企業と顧客を繋ぎ、究極のOne to Oneコミュニケーションを実現するソリューション「Braze」。Brazeを使って、マーケティングトランスフォーメーションを実現するためには、どのような発想が必要なのでしょうか。Brazeの吉永敦氏と電通デジタルの赤堀亮介が、両社の強みを掛け合わせることでどのようなシナジーが生まれるのか、語り合いました。

マーケティングを革新するソリューション「Braze」

-最初にBraze(ブレイズ)の会社概要とソリューションについて教えてください。

吉永:Brazeは、2011年にニューヨークで創業した会社です。ビル・マグヌソンとジョン・ハイマンという2人の創業者が、ハッカソンのイベントで優勝したことをきっかけに生まれました。提供しているソリューション「Braze」は、デジタル上のコミュニケーションであっても、一人ひとりが少し嬉しくなるような体験(ハイパーパーソナライゼーション)を構築するための、カスタマーエンゲージメントプラットフォームです。

Brazeは「金属のろう付け」という意味なのですが、この名の通り、企業と顧客のつなぎ目となるような究極のOne to Oneコミュニケーションを実現し、社会に実装していくことを目指しています。

-Brazeの特徴は何でしょうか?

吉永:マーケティングオートメーションに分類されるソリューションです。例えば、気になっていた商品が入荷したことや、観ていたドラマの新しいエピソードが始まったことなどを顧客に対しプッシュ通知することができます。

ただ、メールでもメッセージアプリでもたくさんプッシュ通知がくるのは、気持ちが良い体験ではありませんよね。そこでBrazeでは、アプリやWebサイトだけでなく、メールやSNSなど含む様々なチャネルの配信を、一つのプラットフォームで管理できるようになっています。それぞれのユーザーにとって、必要なチャネルに的確なタイミングで配信することが可能なのです。

また、スケーラビリティも非常に優れており、ブラックフライデーやサイバーマンデーなどの大規模なセール時期であっても、安定してメッセージが発信できるのも大きな特徴です。日本のエンタープライズ企業にも安心して使っていただけるサービスとなっています。2020年に日本進出して以来、すでに70社ほどの日本企業に導入していただいております。

吉永 敦氏(Braze株式会社 プロダクト&グロース本部 シニアグロースエンジニア)

-AIによる分析、高度な自動化も10年ほど前から取り組まれているそうですね。

吉永:顧客がアプリを利用したりWebサイトを閲覧したりした際の行動データを取得します。そのデータをAIが分析し、それぞれのユーザーにとって適切なタイミングでメッセージを配信することできます。

データを取得してからメッセージを配信するまでに、平均してわずか1.1秒という短い時間で判断できるというのも大きな特徴です。つまり、セグメントが常に動的に変化しているということになります。例えば、8時59分58秒に会員登録を完了した人に、9時ちょうどのタイミングでリマインドが通知されるようなことはありません。


パートナーと共に日本のマーケティング文化を変えたい

-Brazeの活用支援体制として、パートナープログラム「Braze Alloys(ブレイズ アロイズ)」を実施されていますね。

吉永:パートナーの種類は2つに分かれており、我々と技術的に連携する「テクノロジーパートナー」と、導入や運用の支援をしていただく「ソリューションパートナー」です。電通デジタルさんは、「ソリューションパートナー」として今協業しています。日本国内だけでも現在20社ほどに参加していただいており、マーケティング業界でのエコシステムを拡大しているところです。

我々が課題として感じているのが、日本企業の多くがチャネルごとに組織を最適化してしまっている点です。LINE担当、SNS担当、メール担当など縦割りになってしまっているのです。

グローバル企業では、ライフサイクルマーケティングマネージャーなどといった肩書きも生まれており、チャネルを統合してマーケティングを考える方向になってきています。Brazeであれば、それが可能です。マーケティングの上流から社内システム再構築や組織の変革までサポートできる電通デジタルと一緒に、日本のマーケティング文化を変えていきたいと思っています。

-こういったBrazeのパートナー制度がある中で、電通デジタルはソリューションパートナーとして今年「Braze Torchie Awards 2024」において
Rising Star of the Year」部門を受賞しました。電通デジタルとしてクライアント企業にどのような支援をされているのでしょうか?

赤堀:MAを活用したデジタルマーケティング領域において、多くの支援実績があります。プランニングからデリバリーまで一気通貫でご支援ができる専門人材チームがあるのが我々の強みです。マーケティング活動に悩みを持つクライアント企業様の現状の施策の課題解決に向けて、Brazeの革新的なソリューションを活用した新たな施策を積極的に提案しています。

※Brazeを導入している企業および個人を表彰する制度。様々な課題や困難に向き合いながら、マーケティング主導で大きなビジネスインパクトをもたらした企業、そしてマーケティングチームを牽引するリーダー、チームを讃えるアワード


より良い顧客体験を実現するために重要なこと

-そのようにクライアント企業への支援を推進する中で、現状の施策に対しどのような悩みが多いのでしょうか?

赤堀:やはりよく聞くこととしては、多くのマーケターは自社で実施している施策をどうすれば今よりも効果の最大化ができるのかということです。改善をするうえで重要になるのがデータですが、今はテクノロジーの進化もあって、比較的データが集めやすくなっています。そのため、とりあえずデータを集めようとなってしまいがちです。ただ、データが増えれば増えるほど、その管理や運用のコストは上がります。そこで重要になるのが、自社のマーケティング活動にとって、最も重要なデータは何かを突き詰めること。つまり、事前の「データプランニング」が極めて大切になってくるのです。

データを価値に変換するためには、事前のデータプランニングが極めて重要
Zoom

-マーケターにとって最も重要なデータとは、どのように考えたらいいのでしょうか?

赤堀:マーケティングにおけるデータマネジメントの究極の目的は、「顧客の解像度を上げて何が喜ばれるのかを理解し、その期待に応える価値を提供すること」です。この究極の目的を推察できるデータとは何かを念頭に置きながら、データプランニングを進めていくことが大切です。

しっかりと見なければいけないのは、何かのアプローチをとった後の反応データや行動データです。メールを配信した後、その開封率やそこからの購入率などといったKPIを指標とする企業は多いと思います。もちろん、その指標は重要なものですが、さらにそこから顧客の軸で深掘りし、解像度を上げていくことが重要だと考えます。

-電通デジタルではどのような分析手法を採用しているのでしょうか?

赤堀:我々がよく使うのは、複数の軸を設けて多面的に顧客層を分析する手法です。例えば、属性情報やRFMに加えて、Webやアプリ、リアル店舗などの「利用チャネル」や、ECや銀行、証券など複数のサービスを展開している企業の場合には自社の「利用サービス」などを軸にすることが考えられます。

これらの軸は、分析するプロジェクトによって多種多様に変わってくるでしょう。仮説、試行、検証を繰り返し、データを収集する中で、軸を再検討するケースも往々にしてあります。こうした地道な取り組みが、顧客解像度を上げ、顧客に喜ばれる施策へと繋がるのだと思います。

属性情報やRFMに加え、多面的な軸で自社の顧客層を俯瞰的・網羅的に分析
Zoom

Brazeでデータマネジメントのハードルを越える

-とはいえ、このような理想を実行するのは簡単ではありません。どのようなハードルがあるのでしょうか。

赤堀:2つあると考えています。1つ目は、データの鮮度の問題です。昨日買った商品が、また今日リコメンドされては困ります。鮮度の高いデータをいかに効率よく集められるかが重要になってくるでしょう。

2つ目が、施策を打って検証改善を行うサイクルを、いかに負荷なく回していけるかです。あるセグメントデータの抽出や施策の実装に多大な工数・時間がかかっていては、素早いサイクルを回すことはできません。

赤堀亮介(株式会社電通デジタル テクノロジートランスフォーメーション第1部門 ソリューション&アーキテクチャデザイン事業部 事業部長)

吉永:私は、マインドセットの持ち方が重要だと考えています。Brazeを使えば、大量のプッシュ通知を顧客に送ることも可能です。しかし、これが正しい使い方とは言えません。検証改善サイクルを、ただアジャイルで回していけば、何かしらの結果が出る時代ではもうありません。どうすれば、顧客に寄り添った気持ちのいいコミュニケーションができるのだろうか、それならばどのようなデータを使えばいいのだろうか、と考えるマインドセットを持つことが大切だと思うのです。

-Brazeを使えば、こうしたハードルを乗り越えられるということですね。

吉永:私たちが、常日頃持っている考え方に「テクノロジーがクリエイティブの足枷になってはいけない」というものがあります。例えば、明日セールが始まるので、今日生まれたアイデアをすぐに試したいとなったとしましょう。Brazeであれば、その場ですぐ実行できます。しかもA/Bテストも試せる上に、高いスケーラビリティがあるがゆえに、何万人という顧客にその日のうちに送れるのです。

こうした突発的に生まれたクリエイティビティのあるアイデアを、テクノロジーが足枷となって実現できないというような世界を、私たちはなくしていきたいのです。

赤堀:そういう意味でも、Brazeは深く考え抜かれた上で、設計構築されたソリューションだと感じます。UIは直感的でとても使いやすいですし、痒いところに手が届く、きめ細やかな設定ができるのにも驚かされました。エンジニアスキルがないマーケターでも、使いこなせるように作り込まれています。


マーケティングトランスフォーメーションの実現に向けて

-Brazeと電通デジタルとが連携することで、今後どのようなことを実現していきたいですか?

吉永:米国では電通のような広告会社がBrazeと積極的に連携しており、新しいクリエイティブな事例が次々に生まれています。昨年、ニューヨークで開催されたBrazeのイベントに参加した時にも、多くの人が、クリエイティブとデジタルの融合がこれからのトレンドだと語っていました。

電通デジタルのように、クリエイティブとデジタルとマーケティングに三位一体で取り組み、クライアント企業と伴走できるケイパビリティを持つ企業は、それほど多くありません。ぜひ、マーケティングを変革する「マーケティングトランスフォーメーション」を、一緒に具現化していきたいと思っています。

赤堀:私たちは今、真のカスタマーエクスペリエンスマネジメント(CXM)の実現を標榜しています。その目指す姿は、クリエイティブとシステムとデータを融合し、最高の体験を顧客に提供していこうというものです。

こうした顧客体験を実現するには、Brazeのような洗練された機能を持つソリューションが必要不可欠です。これまで私たちが長年培ってきた、戦略の立て方や組織体制作りのノウハウなどを活かして、Brazeならではの日本初マーケティング事例を作っていきたいですね。

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