2024.07.25

Metaと電通デジタルが取り組む3大テーマ

Metaと国内電通グループは、クライアント企業の事業成果を最大化するために様々な領域で協業が進んでおり、特にここ数年はMetaでもAI、データ、Instagramの3つが大きなテーマになっています。
今回は、この3つのテーマについて両社で座談会を実施。Metaで国内電通グループを担当する水谷晃毅氏と、電通デジタルでMetaとの協業を推進するソーシャルプラットフォーム部 Metaグループの高真二、電通デジタル独自のInstagramマーケティング理論を提唱する小西勇輝に話を聞きました。インタビュアーは、ソーシャルメディアプランニングへの深い知見をもち、広告活用とオーガニック運用の一体化を推進するプロフェッショナル集団「Social Connect Group」の土屋美空です。

Metaと電通デジタルが今取り組む3つの大きなテーマとは

電通デジタル・土屋美空:まずは電通デジタルとMetaとの協業についてお伺いします。Metaでは、Facebookを筆頭に、Messenger、Instagram、WhatsApp、Threadsなどの様々なアプリの提供をはじめ、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)といったソーシャルテクノロジーの活用など幅広い範囲で進化をされています。現在、電通デジタルはMetaとどのような協業に取り組んでいるのでしょうか? 

電通デジタル・高真二:我々のグループは、Metaにおけるビジネスモデルのコアである広告ビジネスを軸に、Metaが注力するプロダクトやソリューションを積極的に活用しています。さらに、独自のソリューション・プロダクトを協業で開発・提供し、電通デジタル・国内電通グループの多くのクライアント企業に向けて、Metaが提供するプラットフォームを活用したマーケティング支援・導入をサポートしています。 

その中でも2024年、特にMetaと力を入れて取り組んでいるテーマは3つあります。1つ目はAI、2つ目はデータ、3つ目はInstagramマーケティングです。この3つのテーマはMetaが注力している領域であると同時に、電通デジタルとしても独自のプロダクトの開発や支援実績を持つケイパビリティでもあります。まさに両社の強みを活かしたビジネスモデルを軸に協業を進めているところです。 


Metaと電通デジタルが描く新しいAI活用の形

土屋:3つのテーマについて、1つずつ両社にお話を伺います。まず1つ目が「AI」です。今年も4月18日(米国時間)、最先端のオープンソースの次世代大規模言語モデル「Meta Llama 3」を発表するなど、MetaはAIへの投資に非常に積極的な印象がありますが、MetaとしてのAIの独自性や強みをどのように考えていますか? 

Facebook Japan・水谷晃毅氏:2004年にFacebookがサービスインしてから、MetaはAIとともに成長してきました。AIは常にMetaのイノベーションの中心にあり、UXの向上やマーケティング成果の向上のすべてをAIが下支えしています。他のデジタルプラットフォームと比べて大きなアドバンテージの一つは、利用者数です。AIの精度には機械学習に使用するデータの量が大きく影響しますが、現在、毎日全世界で約32.4億人(DAU)がMetaの提供するプラットフォームを使っています。利用者のデータが多いことで、機械学習も回りやすく、非常に高い精度で予測ができるようになっているのが特徴です。 

水谷晃毅 氏(Facebook Japan合同会社 Agency Partner Manager )

土屋:2022年に「Meta Advantage」を導入するなど、広告ビジネスにおいても積極的にAIを導入していらっしゃいますね。 

水谷:「Meta Advantage」は広告のあらゆるプロセスを自動化するツールセットで、広告主はこれを活用することで広告予算をより効率的に活用できます。さらに「Meta Advantage」を活用したショッピングキャンペーン広告、通称ASCは 従来配信よりも機会学習モデルが改良された配信キャンペーンです。ターゲティングの精度が高い、ユーザーに合わせてクリエイティブやクリエイティブフォーマット、配信先を決定する精度が高いという特徴があり、現在非常に導入が進んでいます。 

土屋:ASCの導入増加に伴い、Metaが提供する広告を活用する広告会社においては、ターゲティングもAIに任せながら、効果が出るクリエイティブの追求にリソースを集中させていて、まさに質、量、スピード全てが求められている世界になってきています。そのような状況の中、電通デジタルの「∞AI(ムゲンエーアイ)」が登場しました。

:電通デジタルは昨年、企業の次世代マーケティング活動を統合的に支援するAIサービスブランド「∞AI」をリリースしました。「∞AI」のうち、運用型広告において、広告クリエイティブ制作のプロセスごとに各AIが支援し、バナー広告や検索連動型広告の改善に寄与するアプリケーションが「∞AI Ads」です。 

この「∞AI Ads」と最初に連携したのがMetaの広告で、広告のクリエイティブの出稿履歴と実績データを「∞AI Ads」に学習させて、クリエイティブの質と量を追求しています。まさに「効果が出るクリエイティブの追求」という部分において、我々独自のプロダクトを活用しています。 

土屋:昨年、電通デジタルではASCの導入率を大きく伸ばすことに成功しましたが、やはりこうしたAIにおける協業連携が大きな要因になっているのでしょうか? 

:その通りです。日頃から様々な形でMetaの皆さんとAI関連で協業していることで、∞AI Adsの連携はもちろん、「どのようにASCを導入するか」といった支援サポートについても電通デジタル内できめ細やかに対応し、多くのクライアント企業にご導入いただくことができました。 

高真二(株式会社電通デジタル プラットフォーム部門 ソーシャルプラットフォーム部 Metaグループ グループマネージャー)

圧倒的な支援実績を持つデータビジネス連携とは

土屋:続いて、2つ目のテーマとして挙げられたのが「データ」です。先ほどのAIのベースともなる「データ」ですが、Metaのソリューションには様々なビッグデータがあります。電通デジタルでは、どのようなことに注力しているのでしょうか? 

:データ領域では現在、Metaのデータクリーンルームである「Facebook Advanced Analytics (FBAA)」に注力しています。国内電通グループは2018年から先行でライセンスの提供を受け、いち早く活用の取り組みを進めてきました。サードパーティCookieが使えなくなっている現状、Metaの広告において、さらなる広告効果の可視化を実現するのが FBAAです。 

土屋:Metaでは、FBAA活用の重要性をどのように考えていますか? 

水谷:AIで自動化が進むトレンドで、その成功要因を紐解くことができるFBAAは重要性が高まっていると考えています。もちろんFacebook、Instagramの広告接触データ自体も非常に重要なのですが、最も重要なのは「そのデータをどう活用するのか?何を分析するのか?」ということです。株式会社電通(以下、電通)・電通デジタルは圧倒的な支援実績があり、最もノウハウがあります。広告指標はもちろんのこと、FBAAでしか見えない成果や実績の可視化によって、Metaが提供する広告のROASを可視化していくことは、もはや必須な状況です。電通・電通デジタルと協業推進を強固にしている点は、まさに我々としても大きな武器であると考えています。

土屋:Facebook、Instagramの広告接触データはもちろん、電通・電通デジタルでは様々な企業と連携することで活用できるデータがあり、それを掛け合わせて分析することで、活用方法が無限に広がりますよね。 

:国内電通グループが特に得意としているのは、テレビ視聴データとの統合分析です。テレビの実視聴データに基づくデジタル広告配信・効果検証の統合マーケティングプラットフォームである「STADIA」とFBAAを連携することで、オンオフ施策を横断した柔軟な分析が可能になりました。さらに、オフライン購買データを連携させることで、店頭での購入などオフライン購買へのMetaの広告の貢献度の可視化もできるようになりました。 FBAAはまさに電通、電通デジタルの強みが非常に活かせるソリューションだと思っています。


Instagramを活用したマーケティング支援の進化

土屋:そして、3つ目のテーマは「Instagram」です。もはやコミュニケーションインフラと言ってよいほどの普及が進んでいるInstagramですが、現状のユーザートレンドを改めて教えてください。 

水谷:日本国内のMAAについては、最後に公表している数字は2019年の3300万ですが、その後も右肩上がりに伸び続けており、Instagramはまさに日本の中でも当たり前に日常的に使われるプラットフォームとなってきています。その中でも特に利用が進んでいるのは「動画利用」です。現在ではInstagramの利用時間のうち50%はリール動画によるものです。リールの公開が2020年8月だったことを考慮すると、驚異的な浸透度合です。 

土屋:昨年、Metaはリール広告の拡大・強化を発表しました。リールのユーザー活用がこれだけ進んだ背景には何があると考えていますか? 

水谷:いくつかポイントがありますが、まず1つは「サウンドオン」です。リールは、音をオンにしながらコンテンツを楽しむことも多く、利用者に伝えられる情報量も多くなっていきます。もう1つは「縦型フルスクリーン」という動画フォーマットであること。フルスクリーンで表示する視認性の高さは、利用者にとってワンランク上のリッチな動画視聴体験を提供できるようになると考えています。

土屋:リールの縦型フルスクリーン動画コンテンツも、昨今非常にトレンドになっていますよね。 

:電通デジタルでは、広告ビジネスにおいてはもちろんのこと、この領域においてはオーガニック運用と呼ばれる企業公式Instagramのアカウント活用でも、リール活用・縦型動画コンテンツは重要だと考えています。 

動画視聴時間が伸びていることによる広告在庫量としての視点はもちろん、先ほど水谷様からもあったフルスクリーンで表示という視認性の高さを活かした動画広告体験の提供による、パフォーマンスの最大化なども期待できます。

また、オーガニック運用においては、リールは新しいユーザーと繋がる場所として近年、多くの企業で活用が増えており、フィード投稿・ストリーズ投稿よりもリールをメインに活用するような企業も登場している状況です。 

土屋:リールは広告・オーガニック両方とも、いわゆるコミュニケーションファネルにおいて「ブランドとオーディンスとの関係構築」「自分ごと化を促進」「ブランドエクイティの蓄積」を促すことが得意で、つまりInstagramマーケティングにおいてとても効果的な手法であることが分かりますよね。電通デジタル独自のInstagramマーケティング理論を提唱する小西さんとしては、昨今のInstagramマーケティングをどのように考えていますか? 

電通デジタル・小西勇輝:Instagramには、ストーリーズ、フィード、発見タブ、リールなど、多様な面があり、ユーザーはこれらを使い分けています。ストーリーズやフィードは知っている人の情報をチェックして、誰かとつながる目的の使い方をする。発見タブやリールは、知らないことを調べる、新規の情報をとりにいく、という具合です。ユーザーがいろいろなモチベーションで使っているので、企業側は、そうしたユーザーの情報接触態度に合わせて、フルファネルでコミュニケーションできるというのが、大きな特徴です。 

 Instagramは未知の情報に出会いやすいプラットフォームです。特に、Z世代は自分にとってのモノの意味や、自分が使ったときにどういう価値があるのかを重視して積極的に情報を探す傾向があります。そうした生活者に対して、企業が広告とオーガニックの両面から価値共創的なアプローチをしやすいのも、Instagramの大きな特徴で、こういったユーザーの特徴をどう様々なInstagramマーケティングの施策に落としていくかが重要だと考えています。

小西勇輝(株式会社電通デジタル ソーシャルメディアエクスペリエンス部門 プランニング第2事業部 ソーシャルコネクトグループ)

土屋:Metaと電通が共同開発した Instagram活用マーケティングの新しいフレームワーク「Instagram Spiral Framework」は、今のInstagramマーケティングのトレンドとも連動しているのでしょうか? 

小西:「Instagram Spiral Framework」は、広告とオーガニックを統合的にプランニングして、コミュニケーション全体を最適化するフレームワークです。ブランドへの好意形成を図る「Seed(種まき)」、ユーザーを巻き込みながらブランド理解を深める「Involve」、何らかのきっかけで発火し購入に結び付ける「Trigger」の3つのアプローチを回しながら、ユーザーとの関係性を深めていくことができます。 

そして今、この3つのアプローチに対して最も効果的なのが、先ほどから出ているリールです。広告・オーガニックどちらにおいてもリールは「Seed・Involve」に対して効果にアプローチすることが可能ですし、結果的に「Trigger」の領域にも好影響を与えることが可能です。つまり、Metaがおすすめするリールが「Instagram Spiral Framework」のプランニングフレームをより強固にしている状態で、非常に両社の強みが現れている状況なのではないでしょうか。 


電通グループの強みを掛け合わせ、クライアント企業の事業成長に貢献する

土屋:最後に、ここまでのお話を踏まえ、改めてMetaと国内電通グループがどのように協業していくべきかをお聞かせください。 

水谷:AIを活用していく上では、クリエイティブとデータが間違いなく大事になってきます。またオーガニックと広告の協業も大きなテーマですが、Metaだけではオーガニック施策のフォローまで手が回らないところがあります。そうした領域について、電通、電通デジタルの皆様に協力していただくために、これからも引き続きパートナーシップを強めていきたいですし、それがクライアント企業にとっての価値にもなると思っています。 

:Metaのソリューションに国内電通グループ、電通デジタルの強みを掛け合わせ、独自のバリューを創出していくことで、クライアント企業の事業成長に貢献したいと考えています。国内電通グループとMetaは、お互いを尊重し合った良好な関係を長年にわたって維持しています。そうした関係性を今後も強化しながら、他社に先駆けて、私たちならではの方法で様々な取り組みを実践していきたいです。 

小西:私たちが支援している企業の中には、社内で企業公式アカウントとしてのオーガニック運用と広告の担当部署が違うなど、目指すべき方向性や方法が分断していることもあります。Social Connect Groupは、私や土屋のようなプランナーを起点にして、広告もオーガニックもデータも含めて一気通貫で連携し、全てに対応できることが大きな強みです。 

土屋:水谷様をはじめとしたMetaの皆様と強固なリレーションがあることも電通・電通デジタルとして大きな強みです。日々Metaの皆様と情報交換・協業連携することで、実現可能なソリューション開発や、AIやリールなどの最新のトレンドを活かしたプランニング設計が可能になります。この強固なパートナーシップを、引き続きクライアント企業の事業課題解決に活かしていければと考えています。

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