2024.10.15

自社アプリでお悩みの企業へ ユーザーの愛着を育み、復活へと導く アプリ開発の処方箋

今や、ユーザー1人あたり1ヵ月に47個ものスマホアプリを利用している [注1] とも言われるなかで、本当にユーザーに使われ、ビジネス価値を創出するアプリを作り上げるにはどうしたらいいのでしょうか。2024年6月、電通グループはフラー株式会社(以下、フラー)と資本業務提携し、新たなアプリ市場を創造するチーム「D-FULLER」を立ち上げました。本記事では、フラーおよび電通デジタル両社の知見とともに、アプリ市場のトレンドやアプリを事業成果につなげる秘訣を解説します。

※この記事は、2024年8月に開催されたウェビナーを採録し、再構成したものです。

アプリの進化と最新トレンド

電通デジタル

カーン シャヒーム

トランフォーメーション事業部 マネージャー

フラー株式会社

林浩之

執行役員 デジタルパートナーグループ長

「あらゆる企業において、スマホアプリは単なる顧客接点の1つではなく、事業そのものを支える重要サービスになっている」と電通デジタルのカーンは言います。

これまで10年以上、アプリに携わる事業を進めてきたフラーが、ここ数年のトレンドと認識しているのが、「非IT企業の躍進」です。フラーの林氏は、その一番の要因を「2020年のコロナ禍による緊急事態宣言」だと指摘します。「これを機に、多くの企業がDX、そしてアプリ化に本気で向き合わざるを得なくなりました」(林氏)

林氏は、非IT企業のアプリ活用の成功例として、App Ape Award2023特別賞を受賞した「松屋フーズ公式アプリ」「chocoZAP(チョコザップ)ジム&宅トレアプリ」をはじめ、「CoDMON」「Woodstock」「フーマーフレッシュ」などの事例を解説しました。

CoDMON(コドモン)

保育園・幼稚園・学童・小学校・習い事・塾をはじめとした保育・教育施設向けのアプリです。「ITの浸透が難しい領域の現場で、CoDMONは本当に上手にアプリを活用できています。実際に保育者と保護者の体験だけではなくて、大量の紙業務をアプリに置き換えることを実際に実現していて、それに伴って保育者、保護者双方の負担を大きく軽減しています。業務負担と提供価値の双方において、すごく良い例です」(林氏)

chocoZAPジム&宅トレアプリ

入退室、予約、機器の利用方法など、さまざまなアクションにおいて、アプリが中心設計されており、店舗体験の中心にアプリを据え置いているのが特徴です。「アプリからユーザーの利用データを取得し、マーケティング施策の実施などに活かしている点が、アプリの利用方法として優れていると感じます」(林氏)

アプリはこれからどのように進化するのかについて、林氏はここ1年で急激に注目を集めている生成AIに着目しています。多くのアプリが生成AIを組み込むことにより、もう一度進化する大きなムーブメントが目前に迫っています。そうした予測のもと、フラーもしっかり取り組んでいきたい」と語りました。


ユーザーの愛着を育み、復活へと導くアプリ開発の処方箋

「良いアプリ」を作るために必要な条件は何か? これまで10年以上にわたり、スマホアプリに向き合い続けてきたフラーが辿り着いた答えをまとめたのが、「良いアプリの7ヵ条」です。林氏はこの7つのうち、3つの内容を紹介しました。

目的が一言で言える

ひと言で言える目的を設定する最大の利点は、重要な決定を行う際の判断軸に使えることだと林氏は言います。たとえば、フラーが提供する「長岡花火公式アプリ」の目的は、「最高の4時間を体験してもらうこと」です。

プロジェクトの上流工程で、フラー社では目的を言語化するための時間を必ず設けています。また、クライアントの商品やサービスを、必ず自身で体験するようにしています。「我々が自発的に体験した経験を元に一緒に考える。これによって、主体性をもって目的の言語化に向き合えるし、良いものづくりにつながります」(林氏)

カーンは、ここで言う「目的」は「コアバリュー」であると再定義。開発前に設定し、リリース後は最短かつ最適な形でユーザーに浸透させることも非常に大事であると言います。「アプリのユーザー数が伸び悩んでいるのであれば、コアバリューが機能に落とし込まれているか、機能は明確にコアバリューを表現するものになっているか、その点を確認することが大事です」(カーン)

継続的に改善されている

リリース時に100点満点のアプリは存在しません。100点を目指すには、継続的な改善が必要となります。「スマホアプリの利点の1つは、利用動向を把握しやすいこと。データをもとに、ユーザーの課題をつぶさに把握しながら、筋道立てて改善を続けていくことが重要です」(林氏)

カーンは、継続的にプロダクトを改善するためのポイントを2点挙げます。

1つ目は、先行指標(マジックナンバー)の抽出です。「アプリの様々な機能のうち、MAUにつながるアクションが先行指標。そこにどのように最短でたどり着くかを見極めて、プロダクトを改善していくことが非常に重要です」(カーン)

2つ目は、PDCAサイクルの高速化です。アプリで成功している企業は、年間で膨大な数のPDCAサイクルを回しており、それこそが成功の要因の1つだとカーンは指摘します。「リリースして得られるフィードバックが非常に大事で、それを意識したサイクルを組むと良い流れになります」(カーン)

もう一度使いたくなる仕組みがある

「初めてそのアプリを使った人が、すぐまた使いたくなる仕組みは絶対入れるべき」と林氏は強調します。それを目的とした一般的な施策にランクアップ施策が挙げられるが、その際のコツとして、「これくらいなら達成できそうというレベルを設定し、そのアプリでの初めての成功体験を得られやすくしておくことが大事」だとアドバイスしました。

カーンは、この「もう一度使いたい」と思わせる仕組みを評価する重要指標として、継続(リテンション)率に言及しました。「7日間継続率は70%、月間継続率は50%あることが理想。この数値に達していなければ、先行指標を見極めて、分析して、改善していく必要がある」と解説。継続率を上げるための代表的な施策として、フックモデルやネットワークエフェクトを使う戦略を紹介しました。


アプリ開発、デジタルサービス化をトータルで支援

電通デジタルとフラーによるアプリ開発チーム「D-FULLER」は、ビジネス変革のドライバーとしてのアプリ開発、デジタルサービス化をトータル支援するサービスを提供しています。D-FULLERが提供する代表的なサービスは6つあります。

アプリ診断&顧客体験改善

フラー社が開発した国内最大級のアプリ分析ツール「App Ape」で取得したアプリ利用データと、電通デジタルのディレクター・デザイナーによる「市場」「体験」「使いやすさ」の3点からの評価、この2軸で既存アプリの診断・改善提案を行います。また、市場トレンドの分析、競合分析、ターゲット/コアバリュー分析、利用分析、ヒューリスティック評価、デザイン分析・評価なども行っています。

アプリ事業戦略企画~開発、グロース支援

新規作成か、既存アプリのリニューアルかを問わず、アプリを作っていく中で、事業戦略から実際の開発、グロース支援まで、一気通貫でサービス提供を行います。また、プロダクト課題だけでなく、業務課題を特定し、チームが反復的なグロースを自走できるプロジェクト業務改善も行っています。

特化型アプリの企画/開発

AI、拡張現実(ARkit、ARCore)、指紋認証、顔認証、ビーコン技術、Car Play(車との接続)といった先端テクノロジーと業界知見を活かして、特化型アプリの企画開発を行います。目指すのは、アプリでしか利活用できないテクノロジーや、データを使った新しい体験によるユーザーの定着化です。

チャネル横断開発/マーケティング

アプリ開発時に店舗/基幹システムとの連携、および既存Webサイトやその他のチャネルも含めたOMO設計を支援します。また、サービスリリース後も、オンライン×オフラインのサービス/チャネルの戦略設計と運用を伴走します。

アプリ・WebサイトUI/UX刷新

KPI課題やオペレーション上の課題などを明らかにしたうえで、アプリ/WebサイトのUI/UX刷新を行います。

デザイン組織・デザインオプス導入

一貫性ある顧客体験を提供することを目的に、UI/UXガイドライン策定。デザイン組織を立ち上げて、スピード感ある開発・運用ができる自社体制を構築します。

また、上記のメニュー以外にも、課題の壁打ち、最適なご支援内容の判断なども対応しています。本記事の内容に興味を持った方は、ぜひお気軽にご相談ください。


配布資料抜粋版ダウンロード

【ウェビナー資料】「電通デジタル×FULLER ユーザーの愛着を育み、復活へと導く アプリ開発の処方箋」の配布資料の抜粋版をダウンロードいただけます。

脚注(出典)

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