2024.10.16

アウディ:潜在顧客層への革新的アプローチで新規来店率向上

docomo data squareを活用した来店計測

大変革期を迎えている自動車業界で、EV(電気自動車)を積極的に推進しているドイツ自動車大手フォルクスワーゲンのプレミアムブランド、アウディ。電通デジタルは、docomoのターゲティングアプローチと基地局を活用し、新規顧客獲得を伴走支援しています。docomoのデータを活用して「EV関心層」を定義し、オンライン行動だけでなくオフライン行動も統合した来店計測を実現。取り組みと、その成果について電通デジタルの担当者に聞きました。

EVシフトの加速で潜在顧客層へのアプローチが課題

――アウディ様ではどのような課題を抱えていたのでしょうか?

渋谷健太:約15年前からアウディ様の全国のディーラーへの集客支援をしているのですが、長く紙DMを活用してきました。ただ、グローバルではほとんど紙を使わなくなっていますので、デジタルシフトを進めて効果検証ができる仕組みを整え、PDCAをさらに高速で回せるようにしたいというご要望をお持ちでした。

澁谷篤:紙DMを活用してきたのは、既存顧客へのアプローチに力を入れていたというのもあります。現在、日本国内に正規ディーラーを121店舗展開していますが、コンタクトがあった既存顧客に紙DMを送付するというのがコミュニケーションの中心でした。

一方で、アウディ様では2026年以降に発売する新車を全てEVにすることを目標としています。EVはまだ充電インフラが整っていないこともあって市場が小さいですし、これまでの自動車に関心を持たなかった人がEV関心層になる可能性は十分にあります。アッパー層だけでなく、カジュアル層ともしっかりコミュニケーションをとっていかなくてはなりません。そういった潜在顧客層で細かくターゲティングをし、トライアンドエラーを繰り返しながら新規顧客を獲得していきたいという思いをお持ちでした。

渋谷:デジタルシフトが進み、情報が入手しやすくなったことで、検討目的でディーラーを訪れる人が減ったという問題もあります。購入する車を決めてから来店する方が多いので、今までと異なるデジタルを活用したアプローチでディーラーの新規来店率を高める方法を模索していました。

渋谷健太(オウンドメディアエクスペリエンス部門)

――そうした課題に対して、電通デジタルはどのような提案をしたのでしょうか?

渋谷:まずは会員を保有するポイントカードやECサイト、保険などのデータ活用をご提案しました。しかし、一定の会員数があっても、セグメントをしていくとEV関心層と考えられるターゲットのボリュームがかなり小さくなってしまったのです。自動車に関連するサービスとあまり連携していないという事情もありました。

そこで、部署を超えて社内の様々な人に相談をしたところ、「docomoはビッグデータを持っており、基地局があるから位置情報などと紐づけて、紙DMを見た人がどのくらいディーラーを訪れたか来店計測ができる可能性もあるのでは」というアドバイスをいただきました。すぐ中沢さんのいるdocomoソリューション担当のチームを紹介してもらったことが、アウディ様の課題解決につながる提案ができたきっかけとなりました。


約1億人の会員基盤でエッジの効いたセグメントを生成

――docomoソリューションの特徴を教えてください。

中沢真由子:docomoは、約1億人の会員基盤があります。この会員の方々の位置情報データや「dポイント」「d払い」の決済にまつわるデータ、アンケート、サービス利用履歴などがすべてOneIDで紐づけられているのが最大の特徴です。紙DMの「ダイレクトメール送付サービス」とデジタルの「docomo Ad Network」はそれぞれ媒体が異なりますが、ユーザーのIDと突合させることができるので、オフラインからオンライン行動を一気通貫で分析できます。

渋谷:会員数の多さだけでなく、幅広いサービスと紐づいているので、EV関心層というエッジの効いたターゲティングをしても一定数のボリュームが確保できます。それに、メール広告は専用フォルダに届くため残存性が高く、自動車という検討期間の長い商材には適していました。

また、docomoには、ユーザーの使用許諾を取得したデータをセキュアに活用・分析できるので、過去施策も含めた継続的な分析が可能です。より反応率の高いユーザーの特徴を把握し、モーメントを捉えた訴求もできます。

Zoom

そうした特徴を生かして、EV関心層を意識したエッジを効かせたセグメントを生成し、紙DMやメール広告などを配信後に、ディーラーへ来店したユーザーの分析まで立体的な施策が実施できるdocomoの活用をご提案しました。

Zoom

――キャリアのデータ基盤と、オンライン・オフライン両面のマーケティングの組み合わせが立体的なユーザー分析を可能にしたということですね?

渋谷:それが実現できるようにチームも編成しています。私はプロデューサーとして、アウディ様の要望や課題感を把握し、中沢さんはdocomoの広告配信メディアである「ダイレクトメール送付サービス」(紙DM)や「docomo Ad Network」(デジタル広告)を担当しているので、その知見を注入してもらっています。澁谷さんは長くアウディ様のクリエイティブを担当しているので、施策に最適化した紙DMやデジタル広告のデザインを最短距離で実現できます。

このように配信メディアとクリエイティブの双方を固められるチームを作ることができるのは、多彩な専門領域を持つ電通デジタルならではではないかと思います。メディアの特性を把握しなければ適切な配信はできませんし、クリエイティブに落とし込むスピードが遅いとクライアント企業の競争力強化に貢献できませんので、大きな強みだと思っています。


配信メディアとクリエイティブがワンチームで取り組む

――領域横断型チームならではの強みやシナジー効果は、実際に施策を進める中でどのように発揮されましたか?

澁谷:クリエイティブはメディア特性に合わせて最適化すべきなので、同じチーム内で議論できるのはよかったと思います。ビジュアルに使う素材は同じでも、たとえば自動車のスペックや空間の快適さを訴求するのと、試乗予約で記念品がもらえるといったキャンペーンを展開するのとでは、見せ方が変わってきます。

また、企画の提案から広告制作、広告配信後の分析・レポーティングまでワンストップで支援しているので、厚みのあるフィードバックが得られるのも大きいですね。トライアンドエラーと言っても、そのサイクルを効率的に回していくのは決して簡単ではないので、そこに向かっていけるチームになってきたと感じています。

澁谷 篤(ブランドエクスペリエンスクリエイティブ部門 エクスペリエンスデザイン第2事業部)

中沢:実際、縦割りという印象は全くなく、自由に相談をさせてもらっています。配信メディアの担当として、ここまで施策に深く関わることはこれまでなかったので、やりがいもありますね。施策を重ねていくことで、データ基盤としてできることの可能性も広げられるのではないかと考えています。

中沢真由子(プラットフォーム部門 プラットフォーム1部 ドコモグループ)

渋谷:どうしてもそれぞれの専門領域の中で、「こうするべき」という考え方はあると思います。しかし、フラットな関係の中でコミュニケーションを深めていくと、「こうしたほうがいいのでは」という意見がお互いに出てきやすくなって、凝り固まっていた部分がほぐれる感覚がありますね。そうしたコラボレーションの良さがうまく機能するチームになってきました。

――そうしたシナジー効果は、アウディ様への提案にも波及していますか?

澁谷:中沢さんのチームが加わったことで、ミーティングの“空気”はかなり変わったのではないでしょうか。というのも、従来は紙DMが主体だったので、効果検証がしにくかったところもありました。もちろん振り返りはしますが、どうしても感覚値になるので、手応えの共有もなかなかできません。一方、docomoを活用した施策は配信後の分析ができるので、改善すべきポイントも見えやすいですし、具体的な改善案も出しやすくなります。

渋谷:そういった意味では、施策だけでなくチームとしても活性化できたといえるかもしれません。データを共通言語としたディスカッションができるのはやはり意義深いですね。成果が出ているということもありますが、すでに1年以上にわたって施策を継続できているのは、アウディ様としても価値を感じていただけているからだと思っています。


3回目の施策で新規来店率67%を達成

――成果についてお聞かせください。

中沢:2024年4月時点で3回の施策を実施しましたが、初回から来店率は上昇し、2回目で大きく伸びました。3回目も前施策比で125%アップと着実な成果が出ています。大きな課題だった新規顧客獲得に関しては、3回目の施策で新規来店率が67%という結果が出ました。配信後の分析も含めて、PDCAが効果的に回せているのではないかと思います。

渋谷:とりわけ、67%という新規来店率については、アウディ様からも「ここまで成果が出た施策はこれまでになかった」と高く評価されました。また、全国のディーラーから「国産自動車に乗っているお客様が来店された」「docomoの広告を見て来店された」という従来なかった反応が本部に寄せられているそうで、アウディ様のご担当者からは「輸入車ディーラーの敷居の高さを解消する効果があった」という言葉もいただきました。

中沢:デジタル施策は数字で評価されることがほとんどですが、渋谷さんの話にあったようにディーラーから反応をいただけたのはとてもうれしかったですね。実店舗を巻き込んでポジティブな雰囲気を一緒に生み出せていることが、新たな施策のアイデアにもつながっているのではと思います。

澁谷:自動車業界が大変革期を迎えているといわれる中で、ディーラーもどうやって新規顧客を獲得すればいいのか模索していると思います。そこに伴走することで結果が出せたのは非常に良かったですね。自動車業界だけでなく、デジタルシフトで顧客の動きが変わった業界にも横展開できる取り組みだと感じています。

渋谷:位置情報を軸とした施策なので、実店舗を持つ業界とは相性がいいと思います。商業施設や飲食店、住宅展示場などに拡大していくことで、来店計測やターゲティングの精度もさらに高まっていきますので、今後幅広く展開していきたいと思っています。


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※東洋経済オンラインにて掲載された記事広告です

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