2024.12.11

データクリーンルームを活用してブランド広告の効果を検証できる Perception Shift Analyzerの活用事例を紹介

現代の広告市場では、商品やサービスのコモディティ化が進み、従来の広告指標だけでは生活者が持つブランド認識の変化を捉えるのが難しくなっています。この課題を解決するため、電通デジタルでは、生活者が商品やサービスに抱く理想のイメージを明確にし、その変化を捉えるKPI設計が可能な「Perception Shift Analyzer」を開発しました。このソリューションの特長や開発背景、活用事例について、担当者に聞きました。

ブランドリフト調査だけでは十分に効果を検証できないことも

――ブランド広告の効果測定に関して、クライアント企業が抱える課題は何ですか?

仲井:商品購入やサービス申し込みなど、コンバージョンが明確なダイレクトレスポンス広告と異なり、ブランド広告は、出稿による成果を定量的に判断するのが難しいという性質があります。成果を測るために、どのように目標とKPIを定め、取り組みを進めれば良いのかについては、多くの広告主にとって重要な課題です。

ブランド広告の効果測定については、ブランドリフト調査を実施することが一般的です。広告認知/サービス認知/利用意向などの標準的な設問を用意してその変化を把握することが多いですが、標準的な調査設計で得られた結果が、実際に知りたい成果と一致していないケースもあるのではないかと感じています。また、調査結果から具体的な要因分析が行えているか、シームレスに広告配信のターゲティングにつながる示唆が得られているかも課題として挙げられます。

仲井翔平(ストラテジー部門 ソリューション戦略1部コンサルティンググループ グループマネージャー)

Perception Shift Analyzerとは

――そうした課題解決のために、電通デジタルが開発した「Perception Shift Analyzer」は、どのようなソリューションですか?

佐藤:生活者が商品やサービスに抱く理想のイメージを明確にし、大規模かつ精緻なデータを活用し、 初期状態の把握、ターゲット設計、広告配信、効果検証まで一気通貫でサポートするソリューションです。パーセプションは、一般的なマーケティング用語としては、「生活者が商品・サービスの名前や存在を認知していて、どのような体験価値や便益を提供してくれるかを認識している状態」を指します。企業が求めるパーセプションと生活者が持つパーセプションのギャップを埋め、適切な状態に変化させることを支援するものです。

生活者が持つパーセプションが広告施策によってどのように変化しているかを分析するのですが、その際に、大規模かつ精緻な分析が可能なデータクリーンルームを活用して、より詳細な分析を行います。データクリーンルームの活用により、パーセプションシフトを起こしたい生活者の属性を事前に把握し、広告配信の効率化をすることができます。

また、実際に広告に接触したかどうかの判定も個人情報に配慮したセキュアな環境で許諾済みのIDベースで行うことができます。広告配信後にどの程度パーセプションシフトが起きたのか、IDベースで検証できる点は検証の確からしさの観点で大きいと思います。

Zoom

―― PerceptionShiftAnalyzerのようなソリューションはどのようなプロセスで生まれるのでしょうか?

仲井:我々が所属しているストラテジー部門ソリューション戦略1部コンサルティンググループは、クライアント企業のマーケティング課題に関して、国内電通グループ(dentsu Japan)が保有するソリューションを活用し、最適提案を行うことで課題解決を支援することを主な業務としています。

既存のソリューションを組み合わせながらマーケティング課題に対して解決策を提案していますが、そのなかで既存のソリューションで解決できない課題に対して、今あるデータや技術を用いて何か新たな解決策がないかを考えることも重要です。我々の部署には、日々クライアント企業と接する中で、企業のマーケティング課題に関するデータや知見が蓄積されていきます。これをソリューションとして昇華することで、よりクライアント企業の課題解決に貢献できると考えており、メンバーで集まり定期的にソリューション企画会議を行っています。

ソリューション開発に際しては、データサイエンス、データプライバシー、データクリーンルームなど、他の部署に在籍している専門家チームとも連携し、どのようにすれば現実的な課題解決を実施できるのかを議論して形にしていきます。

――Perception Shift Analyzerの具体的な活用事例を教えてください。


大手食品メーカー「企業名の認知度と、ブランドの愛着度・購入率に相関が見られた」

佐藤:大手食品メーカーの事例です。企業側が求めているパーセプションが実際にマーケティング活動によって変化しているのか、またその変化を効率的に発生させるためにどのような広告配信が効果的かという課題をお持ちでした。

これに対し、我々はデータクリーンルームによる0次分析を提案しました。この分析では、ターゲットをいくつかのセグメントに分類したうえで、認知度向上を図りたいセグメントのIDを抽出し、このユーザー群に特徴的な興味関心の属性を抽出しました。そのうえで、同じ興味関心属性を類似拡張したターゲットに向けて、企業名を認知してもらう広告配信を実施しました。

広告配信の結果をPerception Shift Analyzerで検証したところ、広告に接触したユーザーの企業名認知向上を確認できました。企業名の認知度アップと、購入率の向上に相関が見られ、狙いどおりのパーセプションシフトを起こせていたことが確認できました。

佐藤潜一(ストラテジー部門 ソリューション戦略1部 コンサルティンググループ)

ブランドリフト調査との違い

――一般的なブランドリフト調査とPerception Shift Analyzerの違いは何ですか?

仲井:大規模かつ精緻な分析が可能なデータクリーンルームと連携し、分析している点が一番の違いです。全体でどのぐらいのパーセプションシフトが起きたのかは、ブランドリフト調査でもわかります。Perception Shift Analyzerの場合はそれだけでなく、プラットフォームが保有しているユーザーの興味関心、状況、属性データを掛け合わせて分析することで、パーセプションの変化が起きた要因や、それがどのようなユーザーに対して起きていたのかを深掘りして分析することができます。さらに、その属性データを使って、シームレスに広告を配信できます。

また、利用可能なデータも幅広いので属性データの粒度も細かく見たうえで、傾向値を掴むことができます。実際にWEB上の行動から類推されたデータを使うことでアンケート回答から得られる意識データに加えて無意識の部分も含めてさまざまなデータを分析できるのも、大きな違いです。


より本質的な課題解決のご提案が可能に

――Perception Shift Analyzerの今後の展望をお聞かせください。

佐藤:Perception Shift Analyzerは、アスキングデータとデータクリーンルームを併用することで、顧客像をより明確に可視化したうえで、プラットフォームが保有しているユーザーデータを分析できるので、分析から広告配信までをシームレスにつなげられる点が、一番の強みであり特長です。今後は、このソリューションを通じて、クライアント企業のKPI設計における悩みを解決し、より本質的なマーケティングPDCAを回すことができるようなサポートを実施したいと思っています。

仲井:データクリーンルームの活用は多くの企業様に浸透していると感じています。一方で分析の自由度が高いこともあり都度要件定義に多くの時間がかかっていたかと思います。Perception Shift Analyzerは、データクリーンルームの機能をソリューションパッケージとして扱うことで、要件定義にかかるコストを下げて提供できます。データクリーンルーム分析に興味をお持ちの企業には、ぜひこれを機会に一度使ってみていただきたいと思っています。

また、Perception Shift Analyzerは、電通グループが提供する統合ソリューションMFG Solutionsの1つです。他のさまざまなソリューションを組み合わせることで、ブランド広告の効果検証、パーセプションシフトに留まらない、より本質的な課題解決のご提案が可能です。

我々は、企業の皆様が抱える課題に対して、どのような解決がベストなのか、一緒に考えるところから伴走しますので、お気軽にご相談ください。

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