2024.12.19

ポストSDGsのビジネスチャンスは?未来からバックキャスティングで事業構想を支援する「電通 未来ファインダー100 ®」

電通デジタルが参画している電通未来事業創研は、「電通 未来ファインダー100 ®」をアップデートし、2024年度版の提供を開始しました。短期的な発想に縛られることなく未来事業を構想するために、「電通 未来ファインダー100 ®」をどのように活用すればいいのか。電通デジタルの事業成長支援の特長と併せて、2024年度版の改訂に関わったメンバーに話を聞きました。

未来から逆算して事業創造を支援するツール

――「電通 未来ファインダー100 ®」は未来を予測するためのツールなのでしょうか?

高橋:いえ、未来を予測するツールではなく、社会と個人が望む未来の暮らしを構想し、ビジネスチャンスを発掘するために知っておきたい情報がまとめられたインプットツールです。2024年版では「焦点となる未来」を、2030年までの達成目標であるSDGsの価値観が当たり前となった2040年(ポストSDGs)に設定しています。

――「電通 未来ファインダー100 ®(2024年版)」の内容を簡単に教えてください。

高橋:2024年版では、「2040年はこうなっているのではないか」という未来の姿を、8つのカテゴリー・100個のトピックに分けて紹介しています。

各テーマには表面と裏面があります。表面は2040年の未来を考えるために必要な定量データ(市場規模予測など)と、その情報を踏まえた人や社会の変化、社会課題などを予測し、記載しています。

裏面は「未来チャンス」として、2040年の未来に向けて、現在起きている具体的な兆しの事例と、2040年の未来で何が起こり得るのか、どのような機会が存在するのかを、ヒト・社会・事業、それぞれの視点で記載しています。

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ビジョン思考で構想し、アジャイルに具現化を支援

――「電通 未来ファインダー100 ®」を活用した、電通デジタルの事業創造、パーパス、ビジョン策定のアプローチの特長は何ですか?

内記:ビジョン思考で考えることを大切にしています。ビジョン思考とは、あるべき未来を立脚点とし、バックキャスティングで現在の方向性を考える思考法です。事業創造のご支援に際しては、特にこの思考法を重視して方針を立てています。

また、ビジョンやパーパスを考える際にも、このビジョン思考は有効だと考えています。我々は、クライアント企業を巻き込み、一緒にビジョンを描いていくことを大切にしています。一般的に、ビジョンやパーパスを策定しても、クライアント企業担当者一人ひとりの解像度が漠然としていると、具体的な事業構想も抽象的になりがちです。それに対して、我々のご支援の中では「電通 未来ファインダー100®」をインプットツールとして用いたワークショップ形式でクライアント企業と共に未来を描きます。その後、描いた「ありたき姿」に向けて適切なソリューションを選び、アジャイルに事業創造や実行支援を行えます。提案したアイデアの正否を早急に検証し、最低限の時間と労力で、未来志向の事業をお試しいただくことができるところが、電通デジタルならではの特長であり、強みだと認識しています。

高橋朱実(トランスフォーメーション部門 新規事業開発ユニット)
内記利宏(トランスフォーメーション部門 新規事業開発ユニット)

――主な用途としては、事業開発や商品開発を想定していますか?

工藤:対象や用途は限定していませんが、事業創造、商品開発だけでなく、既存事業の変革、マーケティング、人材採用などに使うことも可能です。

たとえば、デジタルマーケティング施策の一環として、Webサイトをリニューアルしたいというご要望があったとします。通常であれば、現状のペインを洗い出し、競合分析を行い、より多くの流入が得られるように、CXに基づいたデザインや導線設計を行う、という流れが一般的です。

ここにビジョン思考を組み合わせると、「そもそもWebサイトは、5年後、10年後にも、現在と同じような位置づけのメディアなのだろうか」という視点が生まれます。その視点を起点に、未来を見据えた会社全体のデジタルマーケティング戦略を構想したうえで、その中でWebサイトが果たすべき役割を意識したリニューアルというご提案が可能になります。

こうした中長期視点での事業開発、商品開発、マーケティング戦略を検討している企業には、より高次のご支援が可能です。

工藤萌(トランスフォーメーション部門 新規事業開発ユニット)
吉田圭(トランスフォーメーション部門 ディレクター )

「電通 未来ファインダー100 ®」を体験するセッションの目的と内容は?

――2024年10 月に開催した「電通未来ファインダー100®を活用した、2040年(ポストSDGs)の新しい市場を探索するセッション」の目的と内容を教えてください。

内記:クライアント企業の皆様に「電通 未来ファインダー100 ®」を体験いただくことを目的に、ワークショップと講演会の2部構成にて、オフライン(リアル)で10月7日・18日の2日程開催しました。

第1部は、「参加者と共に考える――電通未来ファインダー100を活用したワークショップ 」で、「電通 未来ファインダー100 ®」の考え方と使い方、ビジョン思考の思考プロセスを説明した後に、実際に「電通 未来ファインダー100 ®」を使ったワークショップを実施し、参加者の皆様にバックキャストでアイデアを出していく流れを体験していただきました。

第2部は、「有識者と考えるディスカッショントーク」として、18日は中村慎一氏(元損保ジャパン常務執行役員)と石川善樹氏(予防医学研究者、ウェルビーイング研究の第一人者)の対談講演を行いました。一方的に話を聞くだけの座学形式ではなく、講演者とインタラクティブに会話していただく形式をとりました。

――どのような業種や職種の方たちが参加したのでしょうか?

高橋:経営戦略、経営企画、R&D(研究開発)の方々が約半数で、あとは人事や行政機関の方など、さまざまな業種や職種という感じでした。

――参加した方々の感想や反応はいかがでしたか?

吉田:大変好評で、「視座が上がった」「視野が広がった」というご感想が多かったです。ワークショップで体験し、講演会で頭の中を整理するという構成が良かったのか、その後の懇親会も活気ある会話が交わされており、非常に盛り上がりました。

高橋:特に今回は、中村さん、石川さんの対談から、「ライフスタイルが大きく変化するときに、新しいビジネスチャンスが生まれる」ということを強く実感し、ためになったと感じた方が多かったようです。

普段、戦略思考でビジネスに取り組んでいる方には、ビジョン思考によるバックキャスティングは飛び道具のように感じられるかもしれません。しかし、時代の変化を捉えてマーケットリーダーになるためには、戦略思考と改善思考だけではなく、ビジョン思考を併せ持つことが必要だと我々は考えています。そうした我々の想いも受け取っていただけたのではないかと思っています。

――ワークショップではどのようなアウトプットが出てきましたか?

工藤:参加者を6つのチームに分けてそれぞれ別のテーマでワークに取り組んでいただきました。その際に出たアウトプットの1つが「休む・リラクゼーション」をテーマに取り組んだチームの「夢見る青春タクシー」というアイデアです。「電通 未来ファインダー100 ®」のテーマにある[思考・感情テック]と[AI]を掛け合わせて発想されました。

「夢見る青春タクシー」は、後期高齢者の方が病院への送迎で自動運転タクシーを使うとき、乗っているあいだの時間で寝ながら自分の望む夢を見ていただくというサービスです。夢の内容は、過去の麗しい記憶だけでなく、“推し”との交流ができる推し活的な内容も選ぶことができ、VR(バーチャルリアリティ)で体感できます。そうした夢を介して脳を活性化させることで認知症予防が期待でき、また病院と連携してリアルタイムでバイタルチェックもできるというアイデアです。

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高橋:興味深いのは、「電通 未来ファインダー100 ®」を活用することによって、こうした独創的なアイデアが参加者の皆さんから次々に出てきたことです。「電通 未来ファインダー100 ®」に掲載された未来のテーマに触発されて、現状認識からのフォアキャスティングでは思いつかないようなアイデアの発想を促した好例だと思います。


2040年のマーケットリーダーになれるように、事業創造・変革を支援する

――「電通 未来ファインダー100 ®」を活用したコンサルティングサービスについて、今後の展望をお聞かせください。

高橋:電通デジタルには、デジタルマーケティング、AI、テクノロジーなど、さまざまな領域の専門家が在籍しており、事業のプランニング、構想から開発、実行支援までをワンストップで行えることが大きな強みです。

SNSなどを使った現状分析から未来の兆しを掴み、生活者から必要とされるサービスを構想するだけでなく、プロトタイプを作ってPoCを実施して世の中に問い、その結果をもとに改善を繰り返す、そのPDCAの実行精度とスピードが事業を成長させるためのカギです。電通デジタルは、クライアント企業が2040年の市場においてマーケットリーダーになれるように、未来に向けた事業創造・変革を形にして世に問うことを、スピーディに支援したいと考えています。

吉田:今回紹介した「電通 未来ファインダー100 ®」を使ったワークショップや講演会は、今後も定期的に開催します。興味のある方はぜひ電通デジタルのWebサイトをチェックしていただくか、直接お問い合わせください。「電通 未来ファインダー100 ®」を通じてビジョン思考を体験できる機会ですし、新規プロジェクトを始めるかどうかの判断にも活用できます。個別相談にも応じていますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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