2025.02.27

Brazeで実現する!従来型MAを脱却するモバイルサービスの高度化とは

「MAを導入したものの、思うような成果が出ない」「モバイルアプリでのサービス提供をしているが、成功の糸口がつかめない」――こうした課題に多くの企業が直面しています。生活者のエンゲージメントを高めるためには、モバイルサービスをどのように進化させるべきなのでしょうか。Brazeの北川祥三氏と電通デジタルの杉尾直高に、成功のポイントを聞きました。

快適なコミュニケーションを実現するBraze

――Brazeとはどのような製品ですか?

北川祥三氏(Braze):Brazeはカスタマーエンゲージメントプラットフォームを提供する会社です。2011年にニューヨークで設立され、日本法人が設立されてから今年で5年目を迎えますが、現在日本国内でも100社以上と多くの企業に採用されています。

特徴的なのは、リアルタイム性やクロスチャネル対応が可能で、ユーザー中心のコミュニケーションを実現する設計になっているところです。ユーザーにとって「快適さ」が重要であるとの考えから、多様なチャネルでの情報受け取りをサポートし、高いスケーラビリティも評価されています。 

北川 祥三氏(Braze株式会社 アライアンス本部 アライアンスマネージャー)

――電通デジタルとの協業について教えてください。

北川:私たちの「Braze Alloys」パートナープログラムに電通デジタルが参加しており、ソリューションパートナーとしてクライアント企業の事業成長をともに支援しています。

Brazeの導入時、関連システムにおける業務の変革やシステム環境の整備が求められますが、電通デジタルは豊富な経験を持つパートナーですので、Brazeの可能性を最大限に引き出すコンサルティングが提供されることを期待しています。

――電通デジタルは、Brazeにどのような期待を持っていますか?

杉尾(電通デジタル):私たちは、クライアント企業のブランドと顧客のエンゲージメントを強化するために最適なツールを模索していますが、その中でもBrazeはモバイルでの体験における課題解決に最適な製品として非常に高い期待を寄せています。 

特に注目しているのは、APIの活用です。これはBrazeの中核となるコンセプトです。Brazeはプラットフォーム内でデータを完結させることなく、他のデータと連携し、複数のチャネルにプッシュする仕組みが整っています。これは、特にモバイル中心のサービスにおいて非常に相性が良いアプローチです。

他のツールでもモバイルへのプッシュ配信は可能ですが、Brazeの強みはリアルタイムでの配信や、顧客の状況に即した精度の高い配信が可能な点です。これにより、Brazeを活用することで、より効果的で優れたマーケティング施策を期待できると考えています。

杉尾 直高(データ&エンゲージメント部門 CXMストラテジー事業部 事業部長)

Brazeで実現するモバイルサービスの高度化とは

――Brazeを活用したモバイルサービスの高度化に関して、電通デジタルが目指すところを教えてください。

杉尾直高:現在、MAを利用したマーケティングは一般的な手法の一つとなっています。しかし、シナリオに沿って大量のメールやプッシュ通知を送り、ユーザーの反応に応じて配信内容を変更するという従来の方法では、スマートフォンが普及した現代のユーザーを満足させることは難しくなっています。

これからの時代に求められるのは、ブランド側の都合で一方的に情報を配信するのではなく、ユーザーにとって価値ある情報が何かを判断した上で提供し、その情報をきっかけにユーザー自身が行動を起こしたくなるようなコミュニケーションを「サービス」として提供することです。しかし、現状ではそこまで深い取り組みを行えているブランドはまだ少ないのが現実です。

提供した情報に価値を感じてもらうことが、ユーザーのエンゲージメントを高める第一歩です。重要なのは、どのようにそのきっかけをつかみ、適切なコミュニケーションを通じて関係を築いていくかという点です。これが、私たちが目指すモバイルサービスの高度化であり、その実現においてBrazeは最適なソリューションだと考えています。

出典:2024年開催イベント「Braze City x City Tokyo」より抜粋
Zoom

たとえば、タクシーの配車アプリやGPSを活用したルート案内アプリなどにおいては、適切なプッシュ通知と高度なリアルタイム性が求められます。Brazeが持つAPIベースのアーキテクチャは、これらのニーズに強力に応えられる能力を持っています。

――モバイルコミュニケーションの高度化に関して、Brazeの優位性はどこにあると考えていますか?

北川:杉尾さんも述べられたように、Brazeの基本コンセプトの一つである「疎結合(そけつごう)のアーキテクチャ」が大きなポイントです。疎結合とは、システム設計やソフトウェア開発において、構成要素間の依存度を低くする設計手法を指します。

ブランドがユーザーと適切にコミュニケーションを取るには、ブランドが保有するデータを鮮度の高い状態で迅速に利用することが重要です。高い依存度を持つ密結合型のシステムでは、このスピードに対応できない場合があります。しかし、Brazeはモジュール型の疎結合アーキテクチャを採用しており、ブランドのデータを柔軟に活用できる設計になっています。

これにより、多様なデータを取り込むためのAPIが多く用意され、データの利活用がしやすい環境を提供しています。この柔軟性が、Brazeの大きな強みです。


電通デジタルが提供するモバイルサービス

――Brazeを使ったモバイルサービスの高度化について、具体的にどのように進めているか教えてください。

杉尾:電通デジタルでは、昨年、BrazeがLINE公式アカウントとの連携機能を開始したタイミングで、Brazeを活用したモバイルコミュニケーション最適化サービスの提供を開始しました。

具体的なサービスとしては、クライアント企業の状況やニーズに応じた以下のメニューを用意しています。

  • Braze統合CX戦略コンサルティング(期間: 3ヵ月~)
  • マーケティングアーキテクチャ診断・To Beデザインサービス(期間: 2ヵ月~)
  • Braze Starter Pack(期間: 2ヵ月~)
  • Braze PoC(概念実証)サービス(期間: 3ヵ月~)
  • 顧客接点最適化サービス(期間: 6ヵ月~)

私たちの最終的な目標は、ブランドとユーザーのコミュニケーションを通じてエンゲージメントを高めることであり、それに足るサービスをブランドと共に作り上げることです。その実現に向けて、戦略立案から始めるケースや、PoC(概念実証)で得た知見をサービスに反映するケースなど、さまざまなアプローチに対応できるようにしています。

――電通デジタルのこうした取り組みについて、Brazeはどのように捉えていますか?

北川:私が感じるところでは、まだ「良いものを作っていれば売れる」と考えている製品志向の企業も多いように思います。しかし、主要な購買層の世代が変化しており、近い将来、スマートフォン以外のデバイスが主流になる可能性もあります。

調査によれば、スマートフォンにインストールされているアプリの数は平均で約40個であり、その中で毎日使用するアプリは5~10個程度にすぎません。このような背景から、現在のスマホ普及時代においてこそ、ブランドが消費者に選ばれるための本質的な工夫が必要です。

この点において、日本の生活者理解が深い電通デジタルが、その豊富な知見を生かし、ブランドとユーザーのコミュニケーション支援を通じて、価値を高めつつ事業成長につなげてくださることは非常に心強いです。市場の不確実性が今後さらに増すことが予想されますが、そうした中でも、適切なインサイトを提供し、モバイル最適化サービスを組み合わせた質の高いコンサルティングを提供することが重要だと思います。


AI活用によりクリエイティビティを進化

――今後の展望をお聞かせください。

杉尾:先ほど紹介した「モバイルコミュニケーション最適化サービス」をさらに多くの企業に提供していきたいと考えています。

私たち電通デジタルの強みは、生活者への深い理解にあります。その理解を基に、どれだけサービスを高度化するアイデアやクリエイティビティを発揮できるかが求められています。特にこの点に注力し、クライアント企業の事業成長に貢献していきたいと思います。

また、大規模な運用では生産性の向上が必須です。クリエイティビティを発揮するためには効率化も重要な要素です。そのため、BrazeにおけるAIの活用は、今後の大きなテーマになると考えています。

北川:業務の自動化において、AIの活用は欠かせないものとなっています。Brazeでは、これまで「Sage AI by Braze」として提供していたAIソリューションを昨年「Braze AI」に改名し、今後さらにその機能強化を図っていく予定です。Braze AIは、顧客の行動、嗜好、属性データをリアルタイムに処理することで、より適切で迅速な意思決定を行うことができます。

AIの導入は、マーケティングの実行段階での作業効率を高めるだけでなく、クリエイティビティにも大きな影響を与えると考えています。AIを活用することで、ユーザーに感情的な価値を提供できると確信しています。これはBrazeとして、今後さらに推進していきたい方向性です。

今後は、AIという最先端技術を活用し、マーケティング業務の効率化とパーソナライズを進めるとともに、技術的な資産を最大限に活用し、創造性豊かなアイデアを具体的な施策として実現できるよう努めていきたいと考えています。

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