2025.03.26

媒体を横断した統一指標で、広告の真の価値を見極める!「Health Checker」「Quality Reach Report」の活用法

広告配信の選択肢が増える中で、「プラットフォームの効果を一目で横並びで把握したい」「レポート作業を効率化したい」というニーズが高まっています。こうした課題を解決するために、電通デジタルは「Health Checker」と「Quality Reach Report」を開発しました。これらのツールを活用することで、広告の「本当の価値」を正しく評価し、より効果的な配信戦略を立てることが可能になります。今回はその開発担当者に、特徴や活用方法を聞きました。

「広告効果を統一指標で可視化したい」というニーズの高まり

――デジタル広告の効果測定に関して、広告主にはどういうニーズがありますか?

大山:さまざまなプラットフォーマーにおける広告配信が進む中で、どのプラットフォームが優れたパフォーマンスを発揮しているのかを、横断的に、統一指標で確認したいというご要望が多いと感じています。また、単に数字だけで判断するのではなく、表示されたインプレッションの「本当の価値」を知りたいと考えるのは当然です。こうした分析にはCookieだけでは限界があるため、アドベリフィケーションやリーチ計測ツールが不可欠であり、我々もそうしたツールの導入をお手伝いしてきました。

しかし、こうしたツールは、豊富な指標や計測データを提供するがゆえに、結局何を見ればよいのか、何を基準に広告効果の良し悪しを判断すべきかを見失いがち、という課題がありました。また、複数のツールを導入している企業も少なくありませんが、ツールごとに活用するケースが多く、せっかくならばより複合的に成果を見ていきたいというご要望も多くありました。

今回開発したHealth Checker(ヘルスチェッカー)、Quality Reach Report(クオリティリーチリポート)の2つのツールは、こうしたニーズに答えるもので、そのインプレッションにいったいどれだけの価値があったのか、どれだけの媒体パワーがあったのかを媒体横断的に確認できるようになっています。

大山春香(ストラテジー部門 ソリューション戦略部)

広告の「本当の価値」を見極める新たなツール

――「Health Checker」と「Quality Reach Report」の概要を教えてください。

大山:「Health Checker」と「Quality Reach Report」は、この2つを合わせて、「MIERO Digital powered by Clear Code(MIERO CC)」という1つのツールとしてMIERO(ミエロ)に内包されています。

MIEROは、デジタル広告の配信実績データや成果レポートをオンライン上で統合・可視化する統合マーケティングダッシュボードで、全顧客向けのサービスとして2019年11月から提供しています。20以上の主要媒体を網羅し、API連携やRPAの導入などにより、媒体データの取得とレポートの自動化を日次で行うほか、アドベリフィケーション関連指標や電通グループ独自の広告効果指標などを搭載することで、デジタル広告の信頼性・透明性を担保する機能も有しています。

今回紹介する「Health Checker」と「Quality Reach Report」は、この信頼性・透明性を強化するためのツールです。アドベリフィケーションやリーチ測定ツールの重要指標を厳選し、ダッシュボードとして提供しています。

「Health Checker」と「Quality Reach Report」の開発は2024年5月頃に開始し、同年12月にリリースしました。

広告効果を一目で可視化!「Quality Reach Report」の強みとは?

――「Quality Reach Report」はどのようなツールですか?

大山:「Quality Reach Report」は、媒体ごとの広告効果をすべて同じ計測指標で評価し、各媒体のメディアパワーを可視化して一目でわかるようにするためのダッシュボードです。各種の第三者計測のツールを活用してオリジナルの評価指標を作成し、それをダッシュボード化することで、各媒体を一律に評価します。

大きな特徴の1つは、オリジナルの評価指標を作成している点です。複雑な指標を統合し、メディアプランニングに必要な示唆を提供することで、媒体予算の最適化にも貢献します。

Zoom

――電通デジタルが独自で開発したツールとのことですが、どのような点に注力しましたか?

大山:我々は、アドベリフィケーションが注目され始めた初期から取り組んでおり、国内では有数の知見を持ち、さまざまな広告主と第三者計測を活用してきたという自負があります。「Quality Reach Report」には、そのノウハウも組み込まれています。

開発にあたっては、どの指標を組み合わせるかという点に特に苦労しました。多岐にわたるアドベリフィケーションや広告指標の中から適切な指標を選び、最適な組み合わせを見つけるために、多くのクライアント企業にヒアリングを実施しました。

広告の安全性を守る!「Health Checker」の活用方法

――「Health Checker」はどのようなツールですか?

大山:「Health Checker」は、アドベリフィケーション指標(アドフラウド、ビューアビリティ、ブランドセーフティ)に特化したダッシュボードです。自社の立ち位置をより把握しやすくして、よりアドベリフィケーション指標を最適化しやすくするためのツールです。

アドベリフィケーションの主要スコアを、自社の実績・参考値・媒体平均のレーダーチャートで可視化することで、自社の実績を相対的に確認できます。また、ドメインごとに指標を並べ替え、一目で結果がわかるダッシュボードを提供しているため、アドベリフィケーション指標の最適化に向けたコミュニケーションが容易になります。

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――どのような形で活用されているケースが多いですか?

大山:特に多くのブランドを持つ企業や、コングロマリットとして多様な事業を展開しているクライアント企業に広く活用されています。特に、ブランドやキャンペーンごとにデータを並べて比較し、そのパフォーマンスを評価する使い方が一般的です。

また、ビューアビリティの判断をより簡単かつ適切に行う目的で導入されるケースもあります。媒体ごとに適切な評価基準は異なりますが、それを人力で都度判断するのは難しく、業務負担を軽減するためにツールを活用する企業も増えています。

アテンション計測にも対応し、広告効果を多角的に測定できるツールへ

――「Health Checker」と「Quality Reach Report」の開発について、今後の展望を教えてください。

大山:大きく2つの方向で考えています。1つ目は、各種変数の重みづけを考慮したモデル化です。「Health Checker」と「Quality Reach Report」が広く導入されることで、データの蓄積が進み、重み付けに関する実績も増えていきます。その実績をもとに、より適切な評価モデルを構築していきたいと考えています。たとえば、クライアント企業ごとに最適な評価モデルを作ることで、電通デジタルならではのオリジナリティを強く打ち出し、より優れたツールへと進化させていきたいと思っています。

2つ目は、生成AIの活用です。生成AIの機能を取り入れることで、誰にでも使いやすいツールにしていきたいと考えています。アドベリフィケーションに関して、日本はまだ遅れをとっています。多くの広告主にアドベリフィケーションの重要性が認識され、「Health Checker」と「Quality Reach Report」の導入が進むことで、日本全体の広告価値が向上することを期待しています。

現在、アドベリフィケーションの領域では、アテンション計測のニーズが高まっています。アテンションとは、「本当にユーザーの注目を集めた広告だったか」を測定する指標で、広告の表示時間や画面上の表示面積によって視認性を判断する従来のビューアビリティに加え、広告の画面占有率、密度、ユーザーの視線の動き、スクロールの動き、音量の変化など、さまざまな要素を総合的に考慮して評価されます。

このアテンション計測のニーズの高まりは、「広告はきちんと見られて初めて価値が生まれる」という認識が広がっていることと密接に関係しています。実際に主要なベンダーの多くがすでにアテンション計測を実装し始めています。我々のツールも将来的にはアテンションスコアを採り入れ、広告効果をより多角的に測定できるものへと進化させたいと考えています。

「攻め」と「守り」の両面から広告効果を最適化

――アドベリフィケーション対応に悩んでいるクライアント企業の広告担当者に向けて、メッセージをお願いします。

大山:広告配信において、インプレッションの価値をどう捉えるかがますます難しくなっており、第三者計測ツールの必要性・重要性も高まっています。しかし、その複雑さや最適化の難しさから導入に踏み切れない企業も多いのではないでしょうか。

「Health Checker」と「Quality Reach Report」は、独自指標を用いた偏差値化や、レーダーチャート、バブルチャートによる可視化機能を備えており、結果を直感的に理解しやすい設計になっています。広告計測の難しさに不安を感じている方にこそ、ぜひ導入をご検討いただきたいツールです。

「Health Checker」は、広告の効果がないインプレッションを排除する「守り」の側面が強いダッシュボードです。一方、「Quality Reach Report」は、リーチの最大化をサポートする「攻め」のダッシュボードです。この2つを活用することで、第三者計測ツールの機能を最大限に生かしながら広告の最適化を進め、最終的には広告効果そのものを向上させることができます。

生活者に受け入れられる広告を展開するためには、適切な配信ができているかどうかをチェックすることが不可欠です。アドベリフィケーションに関してお悩みがある場合は、どんな些細なことでも構いませんので、ぜひご相談ください。

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