2024.06.25

DXP連載第1回 最近よく目にする「DXP」とは何か?

CX(顧客体験)の向上に取り組んでいる方は、最近「DXP」という単語を目にすることが増えてきたのではないでしょうか。DXPとは、Digital Experience Platform(デジタルエクスペリエンスプラットフォーム)の略称で、多様化したチャネルを統合し、一貫したCXを提供するためのツールです。今回の記事は、DXPの定義、歴史、必要性、主要な機能について詳しく紹介します。

DXPとは?

DXPとは、CMS(コンテンツ管理システム)、MA(マーケティングオートメーションツール)、CRM(顧客関係管理)、パーソナライゼーション、分析と最適化など、様々なソリューションを内包する統合プラットフォームです。

DXPは「統合」プラットフォームではありますが、システムや機能の単なる集合体ではありません。マーケティングやビジネスの視点から重要な固有の機能を持ち、その定義や役割も多岐にわたります。テクノロジービジネスの先駆者たちは、DXPを次のように定義しています。

 

  • コンテキスト化されたデジタルエクスペリエンスの構成、管理、配信、最適化をサポートするコアテクノロジーの統合セット [注1]
  • 顧客体験をカスタマイズして提供するために必要なコアテクノロジーの統合セット[注2]
  • 顧客のデジタル体験を全体的にサポートするためのアプリケーションのシステム。APIやイベントによってバインドされ、良質なデータを通じて接続される[注3]

 

これらの定義を参照すると、いかにDXPがカスタマージャーニーやCXといった、「体験管理」に寄り添ったソリューションであるかがわかります。実際、DXPは「デジタルカスタマーエクスペリエンスプラットフォーム(DCX)」と呼ばれることもあり、「企業が顧客とのつながりを推進するためのマーケティングプラットフォーム」とも定義されています。

DXPは、組織のブランドやビジネスを最大化すべく、あらゆるデジタルチャネルを通じてユーザーとの接点を最適化し、優れた顧客体験を提供・管理するために、今日まで進化を続けてきました。続いて、DXPがCXにどのように寄与するのか、その成り立ちや役割について、紐解いていきます。


CXから見るDXPの役割

広告、クチコミ、メディアの記事などをきっかけにして、商品に興味・関心を持ち、Webサイトやアプリで調べる、問い合わせる、実際に店舗に向かう。こうした経験は誰でもあると思います。

これらの一連の行動の中で自身の体験が一貫しているかどうかが、昨今のCXの質を大きく左右します。下記のような「一貫した体験」は、もはや当たり前と感じる方も多いかもしれません。

 

  • デジタル広告からWebサイトへアクセスすると、より詳しい関連情報が閲覧できる
  • ECサイトでカートに入れた商品がモバイルアプリでも表示され、店頭受け取り可能な店舗が検索できる
  • 検討中、購入済みの商品について、メールやチャットで問い合わせを行った内容を、電話先の担当者が把握してくれている

 

しかし、これらの体験が一貫していない場合、生活者はどのような感情をもち、行動をとるでしょうか。ローカル検索マーケティングソリューションを提供している Uberallの調査によると、約50%もの生活者が、より一貫したCXを提供している競合他社へ移ってしまうそうです。[注4]

このような一貫した体験が当たり前と感じられるのは、デジタルチャネル(Webサイト、モバイルアプリ、ソーシャルメディアなど)において、多くの企業がカスタマージャーニーのあらゆるタッチポイントを最適化し、一貫した顧客体験を提供してきた結果かもしれません。このために用いられているテクノロジーが、DXPなのです。

DXPとはリアル・デジタルのあらゆる顧客接点を網羅し、CXを一貫させるための統合型ソリューションである
Zoom

DXPの歴史

DXPというソリューションは、Webやデジタルマーケティングの発展とともに進化、統合されてきました。

2000年代半ば、インターネットの普及とともにデジタルマーケティングの重要性が高まり、企業は迅速な情報発信と運用の効率化が求められるようになりました。このニーズに応える形で、専門的な知識がなくともWebページを容易に更新できるCMSが発展してきました。

2010年代に入り、SNSを用いた情報発信が盛んとなり、顧客とのエンゲージメントを最大化するために、MA、CRMなど、様々な概念やソリューションが登場してきました。統合型マーケティングプラットフォームというソリューションが普及し始めたのもこの頃です。

2010年代の後半からは、DX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が高まり、企業はさらにCXの統合的な管理を求めるようになりました。この流れを受け、CMSや統合型マーケティングプラットフォームの機能を包括的に統合し、CXを最適化するDXPが登場しました。

DXPは、ユーザーの動向や企業のニーズに密接に連動して進化してきました。これからも新たなデジタルチャネルが登場するたびに、DXPは適応し、進化を続けるでしょう。ユーザーが一貫したCXを重視するかぎり、DXPの導入はこれからも必要不可欠です。


DXPが持つ機能

マーケティングの発展とともに進化してきたDXPですが、具体的にどのような機能があるのでしょうか。以下に一般的なDXPの機能をまとめます。

① CMS ( コンテンツ管理)機能

いわゆるCMSとしての機能で、Webサイトやモバイルアプリのコンテンツを管理するための機能です。コンテンツの作成、編集、公開、削除、バージョン管理やワークフロー管理などが含まれます。

②パーソナライゼーション機能

ユーザーの行動やプロファイルに基づいてパーソナライズされたコンテンツや体験を提供する機能です。ユーザーの行動データを収集、分析することにより、顧客一人ひとりのニーズに寄り添った情報提供を可能とします。

③MA(マーケティングオートメーション)機能

キャンペーン管理、メールマーケティング、顧客セグメンテーションなどの機能を含みます。

④ CRM (顧客関係管理)機能

顧客データの統合と管理、顧客セグメンテーション、顧客サポート、CRMの統合などの機能を提供します。

⑤DAM(デジタルアセット管理)機能

画像、動画、音声ファイルなどのデジタルアセットを、企業内部および外部で効率的に利用するための機能です。一般的にはデジタルアセットの一元管理、検索、タグ付け、バージョン管理、共有・配布、ライセンス管理などの機能が含まれます。

⑥分析、レポート機能

デジタルエクスペリエンスの分析とレポートを行うための機能を提供します。

⑦その他

他にもEC機能、フォーム、多言語のサポート、マルチサイト・マルチデバイスのサポート、ソーシャルメディアの統合管理、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)や、セキュリティ機能、コンプライアンス対応機能などを含むソリューションもあります。


代表的なDXPソリューション


導入前に向き合うべき課題:DXPは万能ではない

DXPを導入すれば、すぐに一貫したCXを提供できるようになるわけではありません。  
DXPはビジネス目標に対するアプローチであり、手段です。DXPを導入・活用するにあたり、本当に重要なのは、自社の戦略や要件と正しくマッチング、および運用体制の構築による自走化だと私たちは考えています。

新しいソリューションを導入するには、戦略や運用方針の策定、組織デザイン、業務定着化のプランニングなど、事前の準備が必須です。 

電通デジタルではDXPの導入にあたって、課題の分析、ソリューションの選定、中長期的なKGI・KPIの設定、運用支援までワンストップでご支援可能です。ぜひお問い合わせください。

第2回記事では、DXPの導入時に向き合うべき課題や選び方について紹介します。



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