電通デジタルでは、2024年1月から世の中のコマースニュースをお届けするウェビナー「電通デジタルコマースニュース」を開催しています。第2回の本記事では、ソリューションディレクターの髙田拓之とUXデザイナーの三谷知世が、開催したウェビナーの内容を振り返りながらお届けします。今回のテーマは、コマース業界のトピックスと顧客体験設計プロセスについてです。
2024年2月のコマーストピックス
髙田:第1回目では2023年のコマーストピックスの振り返りをしましたが、今回は2024年2月に取り上げられたコマース業界のトピックスの一部をお伝えします。
Shopifyプラン改定:ShopifyPlusの決済手数料が業界最安ランクに
Eコマースを運営していくのに、クレジットカードの決済手数料は軽視できません。Shopify社では2月9日よりShopifyのプラン変更に伴い、決済手数料も見直しました。ShopifyPlusの決済手数料がこれまでクレジットカード(VISA/master)の決済手数料3.15%でしたが、 EC業界でも最安ランクの2.90%になっています。
3.0%を下回るのは決済代行を行っているECプラットフォームではおそらく初ではないでしょうか。これからECサイトを作りたい方、決済手数料にお悩みの方はこの機会にShopifyPlusへの切り替えを検討しても良いかもしれません。
SEOで重視している要素
Eコマースで重要なのはSEO対策です。内部SEO、外部SEO、コンテンツSEOなど様々ありますが、実際にEコマース事業者が重視している要素は何でしょうか?
リンクアンドパートナーズ社の調査 [注1] によると、「コンテンツの質」を重視している要素が最も高く48.5%、ついで「キーワード選定」が42.4%、「デバイス別で正しく表示される」が28.6% となっています。
また、信頼性と独自性のあるコンテンツはSEO対策において有効かというアンケートでは、「とても有効だと思う」30.4%、「どちらかといえば有効だと思う」56.2%と、8割以上がコンテンツは有効だと答えています。
SEO対策をどのように実施しているかについては、「自社内で完結させている」41.6%、「専門家のアドバイスを受けつつ、社内で実施している」51.5%、「専門の代行サービスに委ねている」6.9%と、自社内で行っていることが多い傾向です。
Googleの検索エンジンに寄り添ったユーザーにとって欲しい情報があるコンテンツや、それを作成するために狙いたいキーワードを選定することが重要です。
CriteoでLINE販路を拡大
Criteoでは、コマースデータ・AI技術を使い、LINEの公式アカウントでパーソナライズなレコメンドメッセージを配信できるようになりました。
LINE公式アカウントを通じて、 Criteoの膨大なコマースデータを活用したデータやAI技術により、 ユーザーに最適でパーソナライズされたレコメンデーションメッセージを配信することで、ユーザーとのエンゲージメント強化が可能となります。企業・ブランドは、多種多様化するユーザーのニーズや興味関心に合うパーソナライズされたコンテンツを届けることができ、効率良くコンバージョンを向上させることができます。
昨年、電通デジタルのLINEサービスTONARIWAで実装され、2月にはさらに2社が追加された、LINEヤフー社、Criteo社ともに注目のソリューションです。
- Criteoを利用していて、チャネルを拡げたい
- LINEで顧客を育成してファンを増やしたい
など、新たな販路を模索しているEC事業者におすすめです。ぜひ電通デジタルにお気軽にお問い合わせください。
理想の顧客体験について考える
三谷:ここからは、UXデザイナーの三谷がお届けします。
ECサイトをはじめとしたwebサイトの改善やリニューアルを行う際には、顧客体験(CX)全体で課題を捉えることが大切です。ユーザービリティや情報設計といったwebサイトのUX向上ももちろん必要ですが、購入体験や販売プロセスなど、顧客体験全体の課題を捉えておくことで、課題解決できる幅は広がります。
ECサイトにおいては「売上」が非常に重要な指標ですが、売上アップのための業務に追われてしまい、理想の顧客体験について議論がされないままwebサイトの改修を進めてしまうといった経験はないでしょうか。
- 商品ページの更新に追われてwebサイト全体の改善が後回しになっている
- 売上アップのためにwebサイトの改修を行っているが、つぎはぎ状態になっている
- 商品やカテゴリごとに担当部署が違うためwebサイト全体の情報にバラつきがある
売上アップのための短期的な改善施策も大事ですが、長期的な目線でより良い顧客体験を提供するためには「課題発見」から始めることが重要です。
あるべきwebサイト改善のステップ
顧客に提供したい体験について議論がなされず、どこを変更するのか、どんなシステムを導入するのか、といった具体的な要件定義からスタートしてしまうと、リリース後、顧客体験に問題が起きてしまうことがあります。
要件定義から始めるのではなく、まずは提供したい顧客体験について議論をし、現状のwebサイトの本質的な課題を捉えたうえで、要件定義を行います。また、リリース後もそのままにせず、想定していた顧客行動とギャップがなかったのか、分析と改善を行うサイクルが重要です。
電通デジタルでは、サービスデザイン思考から生まれたアプローチで要件定義前のコンサルティング領域から運用改善まで4つのステップを一気通貫で対応しています。
ここでは、「ステップ1:発見」「ステップ2:定義」について解説します。
発見フェーズでのワーク
「発見」のフェーズでは、要件定義に入る前に以下のようなワークを行い、ビジネス課題と顧客体験課題を明らかにします。そして、後続ステップにおいて核となるリニューアルの方針=「顧客体験戦略」を策定します。
カスタマージャーニーマップによる課題発見
カスタマージャーニーマップによる課題発見では、定量分析、ペルソナ作成、ユーザーインタビューなどの調査をもとに、現状の顧客体験フローを見える化して、課題を明らかにします。さらに、課題に対する改善方針を立て、あるべき顧客体験フローを設計します。
ジャーニーを描かずに議論をすると、「商品詳細→カート」などの部分的な問題だけにフォーカスしてしまいがちですが、一連の顧客体験を見える化することで流入からカートに到達するまでどんな経路を辿るのか、どこが離脱ポイントになっているのか、データを踏まえて正しく把握できます。ここでは、ジャーニーとして形にすることではなく、データや事実をもとに課題を可視化することで、プロジェクト全体で共通認識をもつことが非常に重要です。
また、商品到着後の顧客体験に不満がないかという点も踏まえてwebサイトの改善を進めていくことで、webサイトに限らないタッチポイントで起きている課題に対してもアプローチが可能になります。
定義フェーズでのワーク
「定義」のフェーズでは、前段で決めた顧客体験戦略をもとに情報設計を行います。webサイトの構造設計、ワイヤーフレームの作成に加え、ユーザーテストを行うことでユーザビリティの検証と新たな課題の発見・解決を行います。
現状の構造とあるべき姿を可視化しながらwebサイトの構造設計を行います。特に、ECにおいてはカートに至るCVまでの主要導線やカート落ちさせないための回遊動線も考慮しながら設計を行います。ワイヤーフレームの作成では、構造設計を踏まえて必要なページの構成を検討し、導線の優先順位も落とし込みます。
ユーザーテストによる課題発見
さらに、ユーザーテストで主要な画面・導線を実際に使ってもらい、想定していた行動とギャップがないか、ユーザービリティに問題がないかを検証します。問題があった場合には再度ワイヤーフレームのフェーズに立ち戻って検討し、ブラッシュアップします。
ユーザーテストを行うことで分かることは、以下5つといわれています[注2]。
- ユーザビリティ上の問題がある箇所
- ユーザーは製品やwebサイトをどのように考えているか(満足度)
- 実際に目的を達成したユーザーの数
- タスク完了に必要な時間
- 作業中に発生した間違いの数
ECサイトにおいては「カートに入れる」という明確なタスクがあるため、ユーザービリティを検証するためにも、ユーザーテストを実施することは特に有効です。時間や工数はかかりますが、リリースしてから起こる問題を減らすためにもこのステップを踏むことは意味があります。
リリース後の運用改善
「発見」と「定義」のフェーズを経て、デザインやコーディングを行う「開発」のフェーズに進み、ページを公開します。リリースしたところで終わりではなく、想定した効果があったのかを検証し、改善を繰り返すサイクルが大事です。公開後、データが蓄積されたらまずは検証から始めましょう。
まとめ
webサイトの改善を行う際には、まずは「課題発見」からスタートしてみてください。 現状の課題を顧客体験全体で捉えてwebサイトを設計することで 、より良いユーザー体験に繋がります。
電通デジタルではコンサル領域から開発まで一気通貫で対応可能です。ご予算やスケジュールに応じて柔軟に調整できますので、webサイトの改善でお困りのことがあればぜひご相談ください。
本記事が皆さまの業務に少しでもお役立ていただければ幸いです。
電通デジタルコマースニュース
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脚注(出典)
1. ^ 株式会社リンクアンドパートナーズ SEO対策の課題に関する調査
2. ^ ユーザーテストから得られる 5 つの主要な指標とは | アドビ UX 道場
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